芝生で気になるランナー(匍匐茎)。コウライシバやノシバなど日本芝はランナー(匍匐茎)で広がっていきます。匍匐茎と地下茎の違い、浮いてきたランナーを目土で手入れしたり、移植して芝生を増やせるかについて。
匍匐茎と地下茎
匍匐茎は「ほふくけい」と読みランナーと同じ物です。繁殖用の茎で上ではなく地上と平行、横に伸びて節から葉や根を出して生育範囲を広げます。地下茎は地上ではなく地下に伸びるタイプを指します。ちぎれた地下茎からも再生できるような芝生の雑草は根絶が困難です。匍匐茎を持つ植物で芝以外で代表的なのはイチゴで雑草のクローバー(シロツメクサ)やチドリグサも匍匐茎で繁殖します。
▼イチゴのランナー(匍匐茎)の写真
▼クローバーのランナー(匍匐茎)の節から芽が出ている様子
▼カタバミはランナー(匍匐茎)と種で繁殖する
ランナー(匍匐茎)で増える芝生
芝生に使われる芝草の多くはランナーを持ち、芝刈りで地上部を刈られても繁殖地を広げていきます。日本芝の高麗芝やノシバはこのタイプで高麗芝は日本で1番使われている芝草ですからみなさんランナーを見たことがあるはずです。芝刈りの目的の一つは高さ方向の成長を抑制することでランナーによる横方向の成長を促すことにあります。
▼芝生のランナー(匍匐茎)の節から葉が出ている様子
西洋芝のライグラス類などはランナーを持たないタイプの芝草ですが、生長点が地面間際の低い位置にあるため芝刈りされても再生できます。
芝生の軸刈り
芝刈り後に茶色く変色し枯れてしまう「軸刈り」は伸び放題の芝生では生長点が段々上の方に上がっていくため生長点が刈られた芝草が枯れてしまう現象です。「軸刈り」は日本芝の高麗芝・ノシバでも起きます。
▼伸びすぎた芝生。一気に刈ると軸刈りしてしまう。
芝生のランナーが地面から浮いてくる問題。手入れとして目土で埋めた方が良いか?
ランナーは「根」のように見えます。ランナーが地面から浮いている光景は良く見ますが「根」が浮いていて問題はないのでしょうか。
結論としてはランナーは「匍匐茎」と書くように地面を這う繁殖用の茎の一種なので地表に出ていても問題ありません。ランナーを目土で積極的に埋める必要もありません。表土が流出しランナーから生えた根が露出しているような場合には対策が必要です。
また地表近くは残りますのでランナー(匍匐茎)は気にせず芝刈りして大丈夫ですが立ち上がりが目立つようであれば目土を入れて落ち着かせると良いでしょう。
飛び出したランナー(匍匐茎)の処理
芝生のランナー(匍匐茎)がコンクリートやアスファルトに飛び出していると見た目がよくありません。飛び出したランナーは「エッジカッター」で切断します。完全に防止したい場合は「根止め板」を使います。
▼芝生の際(エッジ)の処理が見た目を左右する。写真は新宿御苑。
ランナーを移植して芝生を増やす方法
ランナーは繁殖用だと書きましたがではランナーを切り取って移植すれば芝生を増やせるでしょうか。禿げてしまったスポットに一気に生やせれば便利ですよね。
結論としてはランナーを切り取って目土で埋める方法で芝生を移植できます。株単位やランナー単位で植える方法は経済的なメリットは大きいですが切り芝と同じようにスコップで既存の芝生の一部を切り取って植える方が管理が楽です。