美しい芝生を維持するうえで避けて通れないのが、雑草との戦いです。スギナやクローバーのように地下茎から何度でも再生するしつこい種、イネ科で除草剤が効きにくいスズメノカタビラ、梅雨時に突如現れるキノコやゼニゴケ――芝生には実に多様な雑草が侵入してきます。この記事では、芝生に生えやすい雑草の種類・写真・特徴と、除草剤など具体的な対策を体系的に解説します。広葉雑草・イネ科雑草・難防除雑草それぞれに有効な除草剤の選び方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
芝生の雑草を予防する基本:密な芝生を作る
雑草対策の根本は「健全で密な芝生を育てること」に尽きます。芝生の雑草をしっかり行い、土壌改良や排水対策を講じて芝が元気に育つ環境を整えると、雑草が入り込む隙間が生まれません。また、刈り込みの高さにも注意が必要で、短すぎる刈り込みはチドメグサやスズメノカタビラの侵入を招きやすくなります。刈高をやや高めに保つことが予防につながります。
さらに、芝生エリア内だけでなく周辺の雑草からも種子が飛び込んできます。目についた雑草は早めに除去し、種子が成熟する前に対処することが大切です。
周囲の雑草を抑える「アレロパシー」効果とは
密な芝生に雑草が入りにくい理由の一つとして、芝草が持つ「アレロパシー(Allelopathy)」効果が挙げられます。これは、ある植物が他の植物の生長を抑制する物質を放出する現象です。例えば、センチピードグラスの改良種ティフブレアは「東南アジア原産の暖地型芝草で、耐暑性・耐寒性ともに強く、アレロパシーの作用により雑草の発生や侵入を抑制する」とされており、法面の緑化や雑草対策として活用されています。
冬のオーバーシーディングに使われるペレニアルライグラスでも、クローバーなどを抑制するアレロパシー効果が確認されています。芝草の種類によって強弱はありますが、センチピードグラスは特にその効果が強いことで知られています。
- 土壌改良・排水対策で芝を元気に育て密度を上げる
- 刈り込み高を適切に保ち、低すぎる刈り込みを避ける
- 周辺の雑草も早期に除去し、種子の飛散を防ぐ
芝生造成初期の雑草対策:早期発見・早期除去が鉄則
芝生を作って養生している初期は、最も雑草が侵入しやすい時期です。一度増えると除去が困難になる種も多いため、見つけ次第取り除くことが重要です。その際、地上部だけでなく根ごと抜くことが大切です。スギナやクローバーのように地下茎や根から再生してしまう雑草も多いからです。
手での除去が追いつかない場合や面積が広い場合は除草剤を使います。必ず「芝生以外の植物を枯らす選択性除草剤」を選ぶよう、製品のラベルで確認してください。
テコの原理で根ごと抜ける草取りフォーク(


芝生に生える雑草の種類一覧:特徴と対策まとめ
芝生に侵入する雑草は大きく「広葉雑草」「イネ科雑草」「難防除雑草」「コケ・キノコ類」に分類できます。それぞれ繁殖の仕組みや効果的な対策が異なるため、まず種類を正しく見極めることが重要です。
| 分類 | 主な種類 | 繁殖方法 | 有効な対策 |
|---|---|---|---|
| 広葉雑草 | クローバー、カタバミ、オオバコ、タンポポ、ドクダミ | 種子・地下茎・匍匐茎 | MCPP液剤、根ごと手抜き |
| イネ科雑草 | スズメノカタビラ、メヒシバ、オヒシバ、エノコログサ | 種子 | シバニードアップ、アージラン液剤 |
| 難防除雑草 | スギナ、ヒメクグ、チガヤ、ヤブガラシ | 地下茎・胞子 | MCPP液剤、適合除草剤 |
| コケ・キノコ類 | ゼニゴケ、シバフタケ、ホコリタケ | 胞子 | キレーダー、排水改善 |
芝生に生えるキノコ:梅雨時に要注意
梅雨の時期になると芝生にキノコが発生するという声をよく耳にします。代表的なものは白いボール状の「ホコリタケ」と、茶色の傘を持つ「シバフタケ」です。写真のシバフタケは「むねさだブログ」のブロガー@むねさださんに提供いただきました。



キノコは土壌中の有機物を分解する菌類が地表に子実体(キノコ)を出したもの。見た目の問題が主ですが、フェアリーリング病(芝が環状に変色する病気)の原因菌と関連することもあります。
「ゼニゴケ」などコケ類の対策
水はけや日当たりが悪い場所には、ゼニゴケをはじめさまざまなコケが生えてきます。大量に増えると芝生と混在して除去が非常に困難になります。根本的な解決には水はけのよい土壌への改良が最も効果的ですが、コケ専用の除草剤「キレーダー」による対処も有効です。
コケ類の除去には![]()
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コケが生える環境(過湿・日陰)は芝にとっても生育不良の原因になります。コケだけを除去しても根本原因を改善しなければ再発します。土壌の透水性を高める土壌改良や、日当たりを遮る樹木の剪定も合わせて検討してください。
難防除雑草の代表格「スギナ」の特徴と対策
スギナはトクサの仲間で、地下茎からの再生力が極めて強い難防除雑草です。茎がすぐに折れてしまうため根まで完全に草取りすることが難しく、地上部を取り除いても地下茎が残ると再生し続けます。春先に出るツクシ(スギナの胞子茎)でお馴染みですが、農業や芝生管理では非常に厄介な存在です。
スギナには除草剤「MCPP液剤」が効果的です。クローバー・カタバミにも有効で、スギナの多い場所では優先的に使用を検討しましょう。
スギナはツクシ(胞子茎)の胞子でも増えますが、地下茎からの再生力の方がはるかに脅威です。地下茎は地中深く伸びており、少しでも残ると再生します。これが「難防除雑草」と呼ばれる所以です。
オオバコ:踏みつけにも刈り込みにも強い多年草
オオバコは多年生の雑草で全国に広く分布しています。太くて短い根茎を持ち、地面に張り付くような葉の広がり方が特徴です。このロゼット状の生育形態のため刈り込みへの耐性が高く、踏みつけにも非常に強い植物です。種子と根茎の両方で繁殖しますが、刈り込みによってある程度は抑制できます。
ドクダミ:半日陰の湿った場所に繁茂する難防除雑草
ドクダミ科の多年草で、半日陰で湿った環境を好みます。独特の強い臭いがあり、ちぎれた地下茎のわずかな断片からも再生する強い生命力を持ちます。根を完全に除去することが難しく、広葉雑草向けの除草剤を使用するか、繰り返し地上部を刈り取ることで徐々に勢力を弱めることができます。
セイヨウタンポポ:一年中生育する帰化植物
ヨーロッパ原産の帰化植物で、一年中生育します。太くて長い直根(主根)が地中深くまで伸びており、根が残ると再生してしまいます。対策としては根ごと完全に抜くことが最も確実で、タンポポ専用の草取りフォークや草取り器が便利です。
クローバー(シロツメクサ・アカツメクサ)の対策
シロツメクサ・アカツメクサは「四葉のクローバー」でお馴染みのマメ科雑草で、明治時代に牧草として導入された後に野生化したものです。繁殖力が旺盛で、荒れ地にも耐えられることから緑化のグラウンドカバーとしても使われますが、芝生においては厄介な雑草です。
シロツメクサは匍匐茎(ほふく茎)で広がるため、刈り込みだけでは除去できません。地上の匍匐茎を除いても、ヒゲ根から再生してしまいます。一方、アカツメクサは主に種で増えるため、開花前に刈り込むことである程度抑制できます。
クローバー・カタバミに効く除草剤「MCPP液剤」
クローバーやカタバミ、スギナに対して「MCPP液剤」(


| 芝の品種 | MCPP液剤の使用 |
|---|---|
| 日本芝(コウライシバ・ノシバなど) | 使用可 |
| ケンタッキーブルーグラス | 使用可 |
| ベントグラス類 | 使用不可 |
| フェスク類 | 使用不可 |
| ライグラス類(ペレニアルライグラスなど) | 使用不可 |
MCPP液剤は除草剤としての効果が高い反面、芝の種類によっては薬害を起こす可能性があります。必ず使用前に品種を確認し、ラベルの指示に従って使用してください。ハケで葉に直接塗布する方法も有効です。
カタバミ:小さな黄色い花が目印の多年草
クローバーに似た葉を持ちますが、小さな黄色い花を付けるのがカタバミの特徴です。地下茎と種の両方で増える多年草で、繁殖力が強く一度定着すると除去に手間がかかります。MCPP液剤が有効です。
チガヤ:春に綿毛の穂を出すイネ科雑草
イネ科の多年生雑草で地下茎を持ち、葉が直立して30〜50cmに成長します。秋冬は葉が赤みを帯びることがあり、春先には背の高い穂を出して綿毛化します。地下茎による旺盛な繁殖力が厄介で、早めの対処が重要です。



ヒメクグ・ハマスゲ:放置すると急拡大するカヤツリグサ科
ハマスゲ、ヒメクグなど多年生のカヤツリグサ科植物は放置すると急速に広がる難防除雑草です。ヒメクグは高さ10cmほどの群落を作り、茎の先にくす玉状の穂を付けます。早い段階での対処が不可欠です。
- スギナ:地下茎が深く、茎が折れやすいため根ごと除去が難しい
- ヒメクグ・ハマスゲ:放置すると急速に群落を拡大する
- チガヤ:地下茎が旺盛で引き抜いても再生する
- ヤブガラシ:つるが広がり、除草剤も効きにくい
イネ科一年生雑草:エノコログサ・メヒシバ・オヒシバ
エノコログサ(猫じゃらし)
イネ科エノコログサ属の一年草で「猫じゃらし」としておなじみですが、芝生に生えれば立派な雑草です。穂を付ける前に草取りするのが基本ですが、日本芝の場合は除草剤「アージラン液剤」が使えます。
メヒシバ・オヒシバ
メヒシバはイネ科の一年生雑草で、緑色が鮮やかな柔らかい葉を付けます。オヒシバはメヒシバより逞しく、草丈は15cm程度で麦のような数本の穂が放射状に出ます。引き抜きづらく踏みつけにも強い性質を持ちます。どちらも一年生のため、発芽前または草丈が低いうちに除草剤を散布することが効果的です。
スズメノカタビラ:芝生の最難敵イネ科雑草
スズメノカタビラは芝生管理における最も代表的な難防除雑草の一つです。イネ科の一年生雑草ながら、踏みつけや低刈り込みにも強く、ゴルフ場のグリーンのような過酷な環境でも生育します。芝生によく似た見た目のため発見が遅れがちな点も厄介です。
イネ科雑草に有効な除草剤「シバニードアップ」
メヒシバ・オヒシバ・スズメノカタビラなどのイネ科一年生雑草の対策には「シバニードアップ」(


- 日本芝(コウライシバ・ノシバ等)に使用可能
- 一年生イネ科雑草(スズメノカタビラ・メヒシバ・オヒシバ等)に効果的
- オオアレチノギク、カラスノエンドウなどにも効果あり
- 3ヶ月間効果が持続する
- 雑草発生前または草丈5cm以下の時期に散布するのが効果的
シバニードアップは草丈の高い雑草には効きにくい特性があります。雑草が発生する前、または草丈が5cm以下の低い時期に散布してください。
カモガヤ・ハルガヤ:背の高くなるイネ科多年生雑草
カモガヤ(オーチャードグラス)
カモガヤはイネ科の雑草で、高さ1m程度まで成長します。5〜7月に花粉が飛散し、スギ花粉シーズンの後に続く花粉症の原因植物としても知られています。牧草として導入後に野生化したオーチャードグラスの別名を持ちます。
ハルガヤ
ハルガヤはイネ科多年生雑草で、ユーラシア大陸原産。30〜60cmに生長し、分げつして株を形成します。耐寒性が強く、日当たりのよい乾燥した場所を好みます。株が年々大型化し、除草剤の効果が薄い場合もあるため、適合除草剤を選んで使用することが重要です。
アメリカスズメノヒエ・チドリグサ:地表を這う難防除雑草
アメリカスズメノヒエ
南アメリカ産の帰化植物で、牧草として世界各地に広まりました。太い地下茎を持ち、地表に張り付くようにランナー(匍匐茎)を伸ばします。30cm以上の大型株になることもあり、放置すると芝生に大きなダメージを与えます。
チドリグサ
常緑の多年草で、チドリグサが生えている場所は日当たりが悪く水はけの悪い環境であることが多いです。匍匐茎から次々と根と葉を出して横に広がるため、一度蔓延すると対策が困難です。根本的には土壌の排水性を改善することが最良の解決策です。
コニシキソウ・ヤブガラシ・ノボロギク・ヨモギ
コニシキソウ
北アメリカ原産の帰化植物。葉の中央に褐色の斑点が入るのが特徴で、芝生を覆うように横に広がって成長します。早めの除去が重要です。
ヤブガラシ
ブドウ科のつる植物で、名前の通り生育が旺盛で蔓を伸ばして藪やフェンスを覆います。再生力が非常に強く除草剤も効きにくい難防除雑草です。花は7〜8月に咲いて昆虫がよく集まり、秋に紫黒色の実を付けます。5枚の小葉からなる複葉が特徴的です。サトウキビへの被害対策としてまとめられた沖縄県のヤブガラシ類の防除マニュアルも参考になります。
ノボロギク
キク科の一年草で、積雪地以外では年中花を付けます。30〜40cmに成長し、種が風に乗って分布を広げるため、開花前の除去が特に重要です。
ヨモギ
いたる所に自生するキク科の多年草で、種子と地下茎の両方で増えます。大型化したヨモギは手で抜いた方が確実ですが、広葉雑草向けの除草剤も有効です。早期発見・早期除去が管理の基本となります。
芝生の除草剤の選び方:芝の品種と雑草の種類で決める
芝生の除草剤は「対象となる雑草の種類」と「使用する芝の品種」の両方を確認して選ぶことが重要です。間違った除草剤を使うと芝本体にも薬害が出ることがあります。
広葉雑草(クローバー・スギナ・カタバミ等)なのか、イネ科雑草(スズメノカタビラ・メヒシバ等)なのかを見極めます。判断が難しい場合は本記事の写真を参考にしてください。
日本芝(コウライシバ・ノシバ)か西洋芝(ベントグラス・ライグラス・フェスク等)かによって使える除草剤が異なります。MCPP液剤はベントグラス類・ライグラス類には使用不可です。
ラベルの使用方法・希釈倍率・散布時期を必ず守ってください。イネ科雑草には「シバニードアップ」、広葉・スギナ・クローバーには「MCPP液剤」、コケには「キレーダー」が代表的な選択肢です。
- MCPP液剤:クローバー・カタバミ・スギナに有効。日本芝・ケンタッキーブルーグラスに使用可
- シバニードアップ:イネ科一年生雑草に有効。日本芝に使用可。3ヶ月効果持続
- アージラン液剤:エノコログサなどに有効。日本芝に使用可
- キレーダー:コケ(ゼニゴケ等)対策に有効
よくある質問(FAQ)
- 芝生に最も生えやすい雑草はどれですか?
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スズメノカタビラ、クローバー(シロツメクサ)、カタバミが特に多く見られます。スズメノカタビラはイネ科で除草剤が効きにくく、ゴルフ場のグリーンにも生育するほど環境適応力が高い難防除雑草です。クローバーは匍匐茎で広がり、刈り込みだけでは根絶できません。
- スギナを根絶するにはどうすればよいですか?
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スギナは地下茎が深く広がるため、手での完全除去はほぼ不可能です。除草剤「MCPP液剤」が効果的で、繰り返し処理することで徐々に勢力を弱めることができます。日本芝やケンタッキーブルーグラスには使用可能ですが、ベントグラス類・ライグラス類には使えません。完全に根絶するには複数シーズンにわたる継続的な処理が必要です。
- 芝生に使える除草剤はどれですか?芝が枯れませんか?
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芝生専用の「選択性除草剤」を使うことで、芝を枯らさずに雑草だけを除去できます。ただし、除草剤によって使用できる芝の品種が異なります。MCPP液剤は日本芝・ケンタッキーブルーグラスには使用可ですが、ベントグラス・ライグラス・フェスクには使えません。必ずラベルで品種適合を確認してから使用してください。
- 梅雨の時期に芝生にキノコが生えてきました。どう対処すればよいですか?
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芝生のキノコは土壌中の有機物(枯れた根や芝の茎葉など)を分解する菌類が発生させたものです。子実体(キノコ本体)は見つけ次第取り除き、袋に入れて廃棄してください。根本的な対処としては、サッチ(芝の枯れた茎葉が積み重なった層)の除去(サッチング)と土壌の通気性改善(エアレーション)が有効です。
- 芝生にゼニゴケが広がっています。効果的な対策はありますか?
-
ゼニゴケは水はけが悪く日当たりの悪い環境で繁殖します。コケ専用除草剤「キレーダー」が有効ですが、根本的な解決には土壌の排水性改善が不可欠です。芝生エリアの地盤を整えて水が溜まらないようにし、日当たりを遮る樹木や構造物があれば剪定・調整することで再発を防ぐことができます。









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