芝生の管理は雑草との戦い。スギナ、クローバーなど地下茎から再生するしつこい雑草、イネ科で除草剤が効きにくいスズメノカタビラ他、芝生の難防除雑草にキノコやゼニゴケなどよく話題になる雑草の種類と特徴、除草剤など雑草対策を見ていきます。広葉雑草とイネ科雑草、及び難防除雑草それぞれに効く除草剤を組み合わせて対策します。
芝生の雑草を予防する
密な芝生には雑草が生えにくくなりますので土壌改良や排水対策をして芝が元気に育つよう予防しましょう。また短めの刈り込みはチドメグサやスズメノカタビラの侵入を招きやすくなります。刈高を高くすることで予防になります。また芝生エリアだけでなく周辺から種子が飛び込んできますので目につく物は除去してしまいましょう。
周りの雑草を抑制する「アレロパシー」効果
密な芝生には雑草が入り込みにくいのは何故でしょうか。芝草にはアレロパシー(Allelopathy)と呼ばれるある植物が他の植物の生長を抑える物質を放出したりする効果があると言われています。
例えばセンチピードグラスの改良種ティフブレアは”東南アジア原産の暖地型芝草で、耐暑性、耐寒性ともに強い。アレロパシーの作用があり、雑草の発生や侵入を抑制する。”とされていています。芝草の種類によって「アレロパシー」の強弱はありますがセンチピードグラスは特にアレロパシーが強く法面の緑化及び雑草対策として使われることがあります。冬のオーバーシーディングに使われるペレニアルライグラスでもクローバーなどを抑制する「アレロパシー」効果が確認されています。
芝生造成初期の雑草対策
芝生を作って養生している初期は1番雑草が侵入しやすい時期です。増えると除去が困難になる雑草も多いので見つけ次第取り除きます。その際地上部だけでなく根こそぎ抜くことが大事です。スギナやクローバーなど地下茎や根から再生してしまう雑草も多いためです。手での除去が追いつかない場合や面積が広い場合は除草剤を使います。芝生以外を枯らす除草剤を選ぶよう必ず確認してください。
▼テコの力で根ごと抜ける草取りフォーク
芝生に生えるキノコ
梅雨時はよく話題になる芝生のキノコ。白いボール状のホコリタケ、茶色の傘を持つその名も「シバフタケ」が有名。写真のシバフタケは「むねさだブログ」のブロガー@むねさださんに提供いただきました。
↓写真が集まってきたので記事を分けました。
「ゼニゴケ」などのコケ類
水はけや日当たりが悪い所にはゼニゴケを始めとしてさまざまなコケが生える。大量に増えると芝生と混在して除去は困難。水はけのよい土壌に改良するのが望ましいが、コケ対策として除草剤の「キレーダー」が使えます。
▼芝生雑草:苔の写真
難防除雑草の代表格「スギナ」
トクサの仲間で地下茎からの再生力が強く茎がすぐ折れてしまうため根まで草取りできない難防除雑草。食用にもされるツクシでお馴染みだが農業、芝生では嫌われている。除草剤「MCPP液剤」がスギナによく効く。
▼芝生の雑草:スギナの写真
▼芝生の雑草:春のツクシ
ツクシの胞子からも増えるが地下茎からの再生力の方が脅威で難防除雑草の由縁である
オオバコ
多年生の雑草で全国に分布する。太くて短い根茎を持ち地面に張り付くような葉を出すことから刈り込みにも強い。種子と根茎により繁殖するので刈り込みである程度抑制できる。
▼芝生の雑草:オオバコの写真
ドクダミ
ドクダミ科の多年草。半日陰を好み潰すと強い臭いがする。ちぎれた地下茎からも再生するなど難防除雑草。
▼芝生の雑草:ドクダミの写真
セイヨウタンポポ
ヨーロッパ原産の帰化植物。一年中生育する。太くて長い直根があり残ると再生するので対策としては根ごと完全に抜く。
▼芝生の雑草:タンポポの写真
クローバー(シロツメクサ・アカツメクサ)
別名クローバー、ウマゴヤシとも呼ばれるシロツメクサ・アカツメクサは明治時代に牧草として導入され以後野生化したもの。ヨーロッパ原産のマメ科の雑草。「四葉のクローバー」は幸運の印、ともされるが芝生に生えた場合は雑草である。繁殖力が旺盛で荒れ地にも耐えるため緑化などのグラウンドカバーとしても使用される。
▼芝生の雑草:クローバーの写真
クローバー、カタバミ対策には除草剤
雑草対策でグラウンドカバーとしてクローバーを植えることがあるように繁殖力が強く対策は困難。シロツメクサは匍匐茎で増えるので刈り込みにも強い。地上の匍匐茎を除いてもヒゲ根から再生してしまう。アカツメクサは種で増えるので刈り込みによってある程度抑制できる。
「MCPP薬剤」がクローバー、カタバミ、スギナに効く除草剤として定評がある。適用できる芝生の品種に限りがあり日本芝、ケンタッキーブルーグラスには使用できるがベントグラス類、フェスク類、ライグラス類には使えない。ハケで葉に直接塗布する方法がある。
カタバミ
クローバーに似るが小さな黄色い花を付ける。地下茎と種で増える。多年草。
▼芝生の雑草:カタバミの写真
チガヤ
イネ科の雑草。地下茎があり葉が直立、30〜50cmになる。秋冬は葉が赤みを帯びることがある。春先に背の高い穂を出し綿毛化する光景が見られる。写真はザ・プリンス パークタワー東京が管理する「プリンス空中庭園」の芝生広場のチガヤ群落。ゴールデンウィークに綿毛の穂が見られた。
ヒメクグ
ハマスゲ、ヒメクグ等の多年生カヤツリグサ科は放置すると急速に広がってしまう難防除雑草。ヒメクグは高さ10cmほどの群落を作る。茎の先に種が集まったくす玉状の穂を付ける(写真)。
▼芝生の雑草:ヒナメグの写真
エノコログサ
イネ科エノコログサ属の一年草。猫じゃらしとしてお馴染みのエノコログサも芝生に生えれば雑草。穂を付ける前に草取りするが、日本芝の場合は除草剤アージラン液剤が使える。
▼芝生の雑草:エノコログサの写真
カモガヤ
カモガヤはイネ科の雑草。5-7月に花粉が飛びスギの後の花粉症の原因として知られる。オーチャードグラスの別名があり牧草として導入後野生化した。高さ1m程度になる。
▼芝生の雑草:カモガヤの写真
ハルガヤ
ハルガヤはイネ科多年生の雑草。ヨーロッパ〜シベリアのユーラシア大陸原産で日本では全国に分布する。30〜60cmに生長し分げつして株を形成する。耐寒性が強く日当たりがよく乾燥した場所を好む。ハルガヤは株が年々大型化すること、イネ科で除草剤の効果が薄い場合があるので適合除草剤を使用する。
▼芝生の雑草:ハルガヤの写真
アメリカスズメノヒエ
スズメノヒエは日本在来のイネ科多年草でアメリカスズメノヒエは南アメリカ産の帰化植物で牧草として世界に広まった。太い地下茎を持ち地表に張り付くようにランナー(匍匐茎)を伸ばす。30cm以上の株になる。
▼芝生の雑草:スズメノヒエの写真
メヒシバ
イネ科の雑草で一年生。緑色が鮮やかな柔らかい葉を付ける。
▼芝生の雑草:メヒシバの写真
オヒシバ
イネ科の雑草で一年生。メヒシバより逞しい。草丈は15cm程度で麦のような穂が出る。引き抜きづらく、踏みつけにも強い。
▼芝生の雑草:オヒシバの写真
オヒシバは数本の穂が放射状に出る。
スズメノカタビラ
芝生の代表的な雑草の一つ。イネ科の一年生雑草。踏みつけ、低刈り込みにも強くゴルフ場のグリーンでも生育する。
▼芝生の雑草:スズメノカタビラの写真
メヒシバ、オヒシバ、スズメノカタビラなどイネ科の一年生イネ科雑草に効く除草剤で対策する
対策としては「シバニードアップ」などの除草剤を使用する。「シバニードアップ」は日本芝に対して使用可能。一年生イネ科雑草やオオアレチノギク、カラスノエンドウ等に効き3ヶ月効果が持続する。草丈の高い雑草には効きにくいので注意。雑草発生前や草丈の低い時期(目安として 5cm以下)に散布する。
チドリグサ
常緑の多年草。チドリグサがある場所は日当たりが悪く水はけが悪い。匍匐茎から根と葉を出して広がるので対策が困難。土壌の改良が望ましい。
▼芝生の雑草:チドリグサの写真
コニシキソウ
北アメリカ原産の帰化植物。葉の中央に褐色の斑点が入るのが特徴。芝生にかぶさるように成長する。
▼芝生の雑草:コニシキソウの写真
ヤブガラシ
ブドウ科ヤブガラシ属のつる植物。芝生特有ではなくあちこちで見かける雑草です。名前の通り生育が旺盛で弦を伸ばして藪やフェンスを覆います。再生力が強く除草剤も効きにくい難防除雑草。花は7〜8月に咲き昆虫がよく集まります。秋に紫黒色の実を付けます。
サトウキビへの被害対策としてまとめられた沖縄県のヤブガラシ類の防除マニュアル
▼5枚の小葉からなるヤブガラシ(写真)の複葉
ノボロギク
キク科の一年草で積雪地以外では年中花を付けます。30〜40cmになり種が風に乗って分布を広げます。
▼芝生の雑草:ノボロギクの写真
ヨモギ
ヨモギはいたる所に自生する雑草でキク科多年草。種子と地下茎で増えます。大型化したヨモギは手で抜いた方が良いですが広葉雑草向けの除草剤が効きます。
▼冬のヨモギ
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