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芝生の種まき 時期と方法

タキイ種苗:バミューダグラス リビエラの種子

種まきで芝生を作る時期と方法。種まきには高麗芝など切り芝を張る方法と比べ芝生造成の初期コストが安いメリットがあります。日本芝のノシバでも発芽促進された種子があり西洋芝でも暖地型芝草のバミューダグラスなど種を使える芝草が出回っています。夏芝をベースに冬芝をオーバシードして常緑を保つ際も種まきします。

種まきvs芝張りの違い。種まきで芝生を作るメリットは圧倒的コスト

種まきで調べている人はご承知と思いますが改めて種まきと芝張りの違いを振り返ってみます。

関東以西で1番使われている高麗芝は種で増えず切り芝のみ流通していますが芝草の品種によっては種から育てられて切り芝よりずっと安い。芝生にしたい面積が大きければ効いてきますのでこれが最大のメリットです。

例えば切り芝の1束で1〜1.2平米相当です。下記の高麗芝は10束12500円ですので平米単価1250円です。ホームセンターのジョイフル本田で600円くらい、相当安い所でも500円ですから切り芝の平米単価500〜1000円程度でしょうか。(床土や目土、養生の手間などは一旦置いて考えます)

一方種子の場合カネコ種苗の「西洋芝のタネ」が1リットル1500円で10平米〜20平米ですから切り芝の1/10で済みます。品種によりますが結論としては種から芝を育てると切り芝の半額以下で済むと言えるでしょう。

ランナー(匍匐茎)の生育が活発で地面を覆うスピードが早いティフトンを使った鳥取方式が注目されていますが同様の性質を持つバミューダグラスのリビエラが画期的なのは種から育てられるからです。ティフトンは大型だが病気に強いギョウギシバと病気に弱いが繊細なアフリカギョウギシバを掛け合わせた3倍体で種子を形成しません。

種の方が安いならなぜ芝生の種が一般的にならないのか?

関東以西で1番使われているのは高麗芝です。なぜ安い種から育てないのか、という疑問が出てきます。

まず日本の高温多湿、特に30度以上が連日続くような地域では寒地型西洋芝は夏枯れしてしまい使えません。暑さに強い日本芝ではノシバが種子も使えますが葉が広く粗くチクチクするので緑化目的は別として家庭の庭には高麗芝の方が好まれます。高麗芝の種子は発芽率が低いため出回っていません。

次に西洋芝にも暖地型芝草がありますが西洋芝は一般に芝生の種類と特徴で触れたように成長が早いため芝刈りや水やりの手間がかかるデメリットは無視できません。ゴルフのグリーンでは西洋芝をメインにしていますがこれは専門の業者がノウハウと工数をかけてメンテンナンスしているから一年中きれいな緑を保てるのです。

最後に種から育てるということは養生に時間がかかるということです。その間に雑草も生えます。

芝生の種まきに適した時期

夏芝=暖地型芝草の場合:日本芝のノシバ、西洋芝のバミューダグラスなど。高麗芝は種まき不可です。暖地型芝草は20度以上が発芽適温、25〜35度が生育適温です。タキイ種苗ではバミューダグラスの種まきについて中間・暖地の春撒きなら4月から5月、秋撒きなら8月下旬〜9月前半を推奨しています。

=寒地型芝草の場合:、ベントグラス類、ライグラス類、フェスク類など各種西洋芝。寒地型芝草は15度以上が発芽適温、15〜25度が生育適温です。北海道など寒冷地の家庭向けではケンタッキーブルーグラスが一般的です。

タキイ種苗ではケンタッキーブルーグラスの種まきについて北海道、寒・高冷地なら5月~8月、中間・暖地の春撒きなら3月から6月、秋撒きなら8月下旬〜10月を推奨しています。中間・暖地では夏枯れのリスクがあるので秋まきがおすすめです。

芝生に種をまく方法

用意する物

種まきの前に芝草の種子、レーキ、フルイ、床土、、除草剤などを用意します。

芝草の種子

ホームセンターやガーデニング専門店では何種類かの西洋芝を混合した種子が売られています。特定の品種を手に入れるにはタキイ種苗、雪印種苗、サカタのタネ、カネコ種苗などの大手から通販または取り寄せます。

レーキ(熊手)

床土を耕したり、ならしたり、軽く溝を掘ったりするのに使います。レーキでサッチングするときなど日常の手入れにも使います。

フルイ

種をまいた後、目土(目砂)で数mm覆いますが均一に覆うのにフルイを使います。

床土、目土(目砂)

いずれも水はけが良いものを使います。芝生の目土・目砂で触れたようにホームセンターでは水はけの良い洗い砂に肥料や土壌改良材などを混ぜた物を売っています。

草取り、床土を入れて整地、排水対策

草取り:芝張りでも目地から雑草が生えやすい話はしましたが、最初土が露出している種まきではもっと雑草が入り込みやすくなるので念入りに草取りします。芝生の雑草対策に出てくるスギナ、ハマスゲ、クローバーなど地上部を取り除いても根から再生してしまう種類は見逃さないようにしましょう。種類によっては非選択性の除草剤を使う方法もあります。

整地:地面をレーキなどで5cm程度耕し、平らにします。土塊や石、雑草の根なども取り除きます。地面が硬い、粘土質などの場合は表土を取り除いて床土(床砂)を入れます。家庭用であれば肥料や水はけを考慮した芝生用の床土・床砂商品があります。

排水対策:西洋芝は水はけが悪い土壌に弱いため粘土質な所では洗い砂などで土壌改良します。また排水対策として1mで1〜2cm低くなる程度に傾斜を付け芝表面を水が流れるようにします。

簡単でムラのない種まきのコツ

整地済の土壌をレーキでひっかき、1cm程度の溝を掘ります。各品種ごとの撒種量の指示に従い芝草の種を撒きます。ムラなく種をまく方法は1.少しずつ、2.方向を変えてまくことです。具体的には種を二等分あるいは三等分し、縦と横の2方向あるいは縦横斜めの3方向に種まきします。何等分かした種子はペットボトルに入れると作業が楽です。

種まきが終わったらレーキで山を崩して種に土がかぶるようにします。土の厚みは3〜5mm程度でOKです。水を通す不織布で覆い、四つ角を竹串などで止めます。不織布には保湿・保温の他表土の流出や鳥による食害を防ぐ意味があります。十分に水やりし、以後毎日水やりします。

種まき後、最初の芝刈りまでの管理

発芽して芽が1cmくらいになったら不織布を外します。養生のため2cm程度になるまで芝生には入らないようにします。芝が5cm程度になったら最初の芝刈りと肥料を与えます。以後月一程度で5cmの高さになったら3cm程度に刈り込む作業を続けます。

発芽にムラがある場合は種の追いまき

種まき後2〜3週間で一通り発芽が終わります。まばらに生えたりムラがある場合は種を「追いまき」します。追いまきするとしばらく芝生に入れなくなりますので芝が5cm程度に伸びて一回芝刈りをした後に行うのが良いでしょう。追いまきの方法は芽が生えていない所に種を撒いて目土で覆うだけです。

芝生の種まきに関する質問と答え

芝生の種まきに関するよくある質問と答え。気温や梅雨入りの時期は毎年変動しますから余裕を持って作業計画を立てましょう。また寒くなってからの種まきはノウハウがある方は別として翌春を待つ方がおすすめです。

質問:春は芝生の種まきに適していますか?

回答:春は芝生の種まきに適した時期です。

夏芝、冬芝とも発芽適温の15度〜20度に達するからです。ご家庭ならゴールデンウィークに作業時間を取ると良いでしょう。梅雨入りから数週間早く発芽するよう逆算しましょう。なお関東以西では冬芝の種まきは春より秋がおすすめです。最初の夏を超えられない可能性があるので秋の方が確実だからです。

質問:夏・冬でも芝生の種まきはできますか?

回答:夏芝を夏・冬に種まきするのは避けてください。

梅雨入りや酷暑で種まき後の管理が難しい、冬はそもそも暖地型芝草の発芽適温に達しません。冬芝についても同様の理由で夏・冬は避けます。北海道、寒・高冷地では暑い時期が短いので〜8月まで種まき可能です。

質問:秋はいつまで芝生の種まきができますか?

回答:春まき、秋まきと言われるように秋も種まきの時期です。夏芝なら9月頭、冬芝なら10月上旬が目安。夏枯れリスクを回避できるので関東以西の冬芝の場合春まきよりも秋まきの方が安全です。

春なら夏に向けて夏芝が元気になる時期ですが秋から冬にかけて生育が悪くなっていきますから発芽適温を満たしつつ、ある程度生育してから冬を迎えるよう計算する必要があります。8月最終週の最低気温が20度前後に落ちてくる時期から9月の大型連休シルバーウィークまでがご家庭の種まきに適しているでしょう。

気象庁|過去の気象データ検索によれば関東では9月後半には平均気温20度を下回る日が出ますので夏芝(暖地型芝草)は9月頭が種まきのリミット。冬草(寒地型芝草)は北海道など寒冷地は秋まき不可、関東など中間・暖地では10月後半に平均気温15度を下回る日が出ますので10月上旬くらいが目安となるでしょう。

質問:気温的には11月・12月でも発芽しそうだけど種まきしても良い?

回答:ノシバ・バミューダグラスなど夏芝は発芽適温に達しないので不可、冬芝の西洋芝は発芽したとしても多くの地域で生育しないと思われます。翌春を待ちましょう。

冬芝=寒地型芝草は15度以上が発芽適温、15〜25度が生育適温です。関東では10月平均気温15度以上、11月は最高気温15度平均気温10度前後ですから防寒対策ができる方限定になるでしょう。

質問:北海道で芝生の種まきに適した時期

北海道の芝生で一般的な冬芝(寒地型芝草)のケンタッキーブルーグラスの種まきに適しているのは春・夏の5月上旬~8月下旬です。

関東以西では高麗芝が1番使われている話をしました。高麗芝では切り芝で買って来た芝生のマットを敷き詰める「張り芝」で芝生を作ります。高麗芝は25〜35度が生育適温なので北海道には適しません。北海道では以前から冬芝(寒地型芝草)が使われケンタッキーブルーグラスが主流です。ケンタッキーブルーグラスは種子から育てられます。

参考:北海道の芝生は違う!? – 北海道ファンマガジン [ファンマガ]

質問:高麗芝でも種まきできますか?

できません。高麗芝は発芽率が低く種子が市販されていません。

高麗芝は種子が流通していないので「」を買ってくることになります。ノシバであれば発芽促進処理を施した種子が出回っています。発芽率は80%程度とされています。