芝生の目土・目砂と目土入れ

芝生の管理でよく使う目土。細かい砂や土で芝生や目地を覆う「目土入れ」は芝生を保護して活性化し、でこぼこを直すなど芝生の手入れに必要な作業。洗い砂・川砂・黒ぼく土など目土の種類や目土入れに適した時期、量の目安など目土入れの方法。

目土を入れる目的

目土とは芝生の管理で使う水はけが良くキメが細かい土です。読み方は「めつち・めづち」。

目土を入れる目的はサッチの分解促進、露出した根や茎の保護、芝生のでこぼこを直すため、など幾つかあります。3〜5mm程度薄く撒き、レーキで平にした後水やりをして葉が出ている状態にします。葉が完全に覆われると枯れる原因になるので注意します。

サッチング、エアレーション、不陸(ふろく)=でこぼこを直すなど目土なしでは完結しない作業があります。なお目土を入れていくとグラウンドレベル=地面の高さが上がっていきますので可能ならそれを見越した芝生造成がおすすめです。

▼千代田区の公園で施された目土(目砂)
目砂

芝張りの後、目土で目地を埋める

切り芝のマットを隙間をあけて張る「目地張り」の場合、目地を埋めるように目土を入れます。目地張りは芝生の隙間の目土部分にランナーや根が生長して全面を覆う張り方です。目土の量は水やり後でも芝の葉が見える3〜5mm程度。芝の葉が完全に隠れてしまうと枯れる原因になりやり過ぎです。目土を入れた後はレーキで平にならした後、足で踏んで鎮圧し目土が流れない程度に水やりします。

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▼2017年12月、芝生のある東京駅丸の内駅前広場から皇居側に伸びる「行幸通り」の芝生補修で目地張りされている切り芝と目地を埋める目土
目地張りと目土

芝生の種まきの後、目土で保護する

西洋芝など種から育てられる芝草は切り芝より安いメリットがあります。種を撒いた後発芽するまで保温・保水するため目土で覆って流出しない程度に水撒きします。

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サッチングの後、芝生の保護用に目土を入れる

芝生に枯れ葉や根が半分腐ったような状態で堆積した物を「サッチ」と言い水はけや通気性が悪くなるのでレーキなどの道具で取り除きます。この作業が「サッチング」です。年1〜2回はサッチかきをしてその後目土で保護しましょう。露出した根やランナーが覆われ成長が活発になります。

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エアレーションで根切りした後、目土を入れる

芝生を作って何年か経つと土が踏み固められたり根詰まりして水はけや通気性が悪くなります。そこで定期的に「エアレーション」という穴あけ再生作業します。ローンスパイクという道具で穴をあけて根切りすると生育が活性化したり水はけや通気性が改善されます。穴には目土を入れ1ヶ月程度養生します。

苔対策で土壌改良する際に目土を使う

芝生に生えた苔は完全な除去が困難な厄介者。通気性・排水性が悪いのが苔が生える原因なので根本的には土壌改良します。具体的には芝生を剥がして掘り起こし水はけの良い床土を入れ新しい切り芝を張り目土を刷り込みます。

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でこぼこを直すため目土を使う

芝張りの前にどれだけ整地したとしても1-2年経つとでこぼこが出てきます。芝刈りや水はけのためには平らな方が良いので目土を入れて直します。大きなくぼみの場合芝生の葉を完全に覆わないよう何回かに分けて直すよう言われますが、深さ5cm以上の大きなくぼみの場合剥がして床土を入れて平にした後張り直した方が早いでしょう。

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目土と目砂の違い

かつては目土として「黒ぼく土」が多く使われてきましたが最近は扱いやすく水はけの良い砂=目砂の方が主流になってきています。つまり「目土入れ」で砂を入れる、ということがあります。従って土か砂かという違いはあまり意識しなくて良いでしょう。黒ぼく土を使う場合も砂を半分程度入れるよう書いてある本も多くなっています。

▼2017年12月に全面開業した東京駅丸の内駅前広場の芝生。目砂を使っている。
東京駅丸の内駅前広場の目砂

目土の種類と特徴。川砂が良いとされる理由

目土には洗い砂、黒ぼく土、赤土、芝生用に配合した園芸用の芝生用土などがあります。

川砂など「洗い砂」にする必要性

海・山・川から採取した砂を洗った物が「洗い砂」です。それぞれ海砂、山砂、川砂と区別します。水中あるいは地中から採取するので雑草の種が混じらないこと、固まらず水はけ・通気性が良い特徴から芝生に適しています。特に海砂の場合、塩分除去のため真水で洗う必要があり川砂の方が確実です。洗い砂の産地としては青森県、千葉県、茨城の霞ヶ浦などがあります。
例:ゴルフ場で使用される理由|株式会社 ルナサンド ~ハイクオリティな青森砂・目砂・目土~

床土(床砂)の主体に砂を使うこともあります。床土として使う場合、砂だけでは保水力・保肥力が弱いので土壌改良資材を混ぜるのが一般的です。

保水性を高めるパーライト、保肥性を高めるゼオライト、保水力・保肥力両方高めるバーミキュライトなど鉱物性の土壌改良材を1-2割混ぜたり、ゴルフ場では保水性・保肥性に優れたピートモス=水苔などに由来する泥炭を脱水・粉砕した土壌を混ぜたりします。

洗っていない砂には貝殻が多く含まれている物があります。その場合アルカリ性が強くなり生育不良や病害の原因となります。

「黒ぼく土」の特徴

火山灰が主体の地層から採取した上層土が「黒ぼく土」です。有機物の含有量が多く芝生の生育に適しています。踏圧が強い所では沈み込みやすい、雑草の種子がまじりやすいのがデメリットです。黒ぼく土は安いので芝生の目土に使いたい誘惑がありますが長期的には水はけが悪くなっていきます。

「赤土」の特徴

「赤土」は火山灰が主体の地層から採取した下層土です。「黒ぼく土」の下層ですね。有機物の含有量が少なく、踏圧が強い所では沈み込みやすい、雑草の種子は少ないという特徴を持ちます。赤土の中には水はけが悪い粘土質が多い物もありその場合芝生に適しません。庭が赤土の場合5-10cm掘り下げて床土を入れその上に芝生を張ると良いでしょう。

赤玉土は赤土を乾燥させて粒度で分類したものです。小粒でも大きすぎるので目土には使いません。

「芝生用土」の特徴

水はけや通気性を考慮して配合した後滅菌した土で芝生が好む弱酸性にしたり肥料を含んでいるものもあります。雑草の種子が混入していません。芝生用土はそのまま使えて便利です。

培養土、腐葉土、畑の土、真砂土、普通の土、砂利で代用できるか

砂主体で土壌改良材を配合した「芝生用土」をホームセンターでは「培養土」商品として扱っている場合があります。芝生用と書かれていれば問題ないでしょう。

身近で手に入る腐葉土や畑の土、真砂土、普通の土、砂利で代用したいという声も聞きますが雑草の種の混入や数mm厚にできる粒度かが問題です。腐葉土はふるいにかけて石や枝を除くなど下処理が必要かもしれません。短期的には大丈夫ですが畑の土、真砂土、普通の土などを入れていくと段々水はけが悪くなっていきます。

砂と赤玉土の細粒をベースにし、排水性・通気性を良くした芝生専用の培養土で、床用と目土用にご利用いただけます。元肥に病気の抑制効果があるイオウコーティング肥料が入っています。また、ミネラル補給・根腐れ防止効果がある珪酸白土(ミリオン)入りです。主原料:川砂、赤玉土、バーミキュライト、ゼオライト

目土入れに適した時期は4月

高麗芝の場合3月頃から芽が出ますがある程度葉が出て芝生の凹凸がわかりやすい4月は目土入れに適しています。4月に目土入れできなかった場合5月6月に行いましょう。春夏秋冬のうち目土入れんい適した季節は春〜初夏。

目土入れの方法と量、厚みについて

目土の量は水やり後でも芝の葉が見える3〜6mm程度が適量。芝の葉が完全に隠れてしまうと枯れる原因でやり過ぎです。目土を入れた後はレーキで平にならした後、足で踏んで鎮圧し目土が流れない程度に水やりします。