3月は寒さが緩み、庭の芝生にも変化が見え始める時期です。コウライシバは新芽が動き出し、西洋芝は葉の色が一気に鮮やかになります。とはいえ「芝刈りはもう始めていいのか」「肥料はいつから必要なのか」と迷う方は多いのではないでしょうか。
コウライシバは芝張りや張替え、補修の適期に入りますが、芝刈りや施肥はまだ不要です。西洋芝は3月後半になると生育が盛んになり、月内に一度は芝刈りが必要になります。この記事では、暖地型芝草のコウライシバと寒地型芝草の西洋芝、それぞれの3月の手入れを分けて解説します。
芝生の管理はその土地の気候によって変わります。この記事では暖地型芝草の代表である高麗芝(コウライシバ)と、寒地型芝草の代表である西洋芝を取り上げ、関東以西のエリアを想定して説明します。
3月の気候と芝生の生育状況
東京の3月は平均気温が10度前後で、月の後半には最高気温が20度に達する日も出てきます。冬に休眠していたコウライシバはこの気温上昇を受けて芽が出始め、寒地型芝草の西洋芝も生育を再開します。冬にくすんでいた葉の色は、鮮やかな緑へと変わっていきます。
気温の上がり方は地域差が大きく、同じ関東以西でも沿岸部と内陸部では1〜2週間ほどずれることがあります。「気温が上がってきたな」と感じたタイミングが、その庭にとっての作業開始のサインだと考えるとよいでしょう。
「芽生え」と「萌芽」の違い
芝の芽が出る様子を「芽生え」といいますが、これは「萌芽(ほうが)」とも書きます。話し言葉として「萌芽」を使う場面はほとんどありませんが、文章語としては園芸の解説などで目にする表現です。意味はどちらも同じで、休眠していた芽が動き出すことを指します。
3月は芝生の種まきに適しているか
種まきの適期は、芝草の種類ごとに発芽適温が決まっているかどうかで判断します。日本芝のノシバや西洋芝のバミューダグラスといった暖地型芝草は25度以上が発芽適温です。一方、西洋芝のケンタッキーブルーグラスやベントグラス類、ライグラス類、フェスク類などの寒地型芝草は15度以上が発芽適温とされています。
3月の気温では暖地型芝草の発芽適温には届きません。寒地型芝草も、関東以西で平均気温が15度を超えてくるのは3月下旬以降です。したがって露地での種まきは3月下旬からが現実的な目安になります。
3月上旬に種をまいても、まったく無駄になってしまうのでしょうか。




屋外の露地では発芽が遅れがちですが、室内で保温すれば発芽適温に近づけられます。実際に3月上旬にまいた西洋芝の種が、室内保温で約1週間ほどで芽生えた例もあります。
庭に直接まくのであれば3月下旬以降まで待つのが無難です。早くから育苗を始めたい場合は、室内で気温管理をしながら発芽させ、気温が安定してから庭に移す方法もあります。






3月のコウライシバ(夏芝)の手入れ
コウライシバは暖地型芝草の代表で、夏に生育が旺盛になることから夏芝とも呼ばれます。3月は新芽が動き出す時期にあたるため、張替えや補修には適していますが、芝刈りや施肥、病害虫防除はまだ必要ありません。作業ごとの適否を分けて見ていきます。
芝生の張替え、補修
新芽が出るこの季節は、傷んだ部分の張替えや補修の適期にあたります。芽生えの勢いに乗って根付きやすく、他の作業が少ない時期でもあるため、気になる箇所があれば3月のうちに手を入れておくとよいでしょう。



芝刈り、水やり、施肥、病害虫防除
これらの作業は3月のコウライシバには不要です。芝草の春の芽生えは、地下で蓄えたエネルギーを使っておこなわれます。この時期に肥料を与えても、根の養分が芽生えに向かわず芝生の雑草を助けるだけになってしまいます。
乾燥が続く場合は例外です。水やりをすると芽生えが促進されるため、雨が少ない年は土の様子を見ながら水を与えるとよいでしょう。
芽生えの時期に施肥をすると、根に蓄えたエネルギーではなく肥料に依存した徒長を招くことがあります。焦って肥料を与えず、地下部の力で自然に芽生えるのを待つことが大切です。
芝張り
関東以西でのコウライシバの芝張りの適期は4〜5月です。3月は少し早めの時期になりますが、気候が暖かければ芝張り自体は可能です。ただし、気温が安定しない年は根付きが遅れることもあるため、天候を見ながら判断するのが安全です。
- 数日間気温が安定してから作業する
- 土壌をよくならしてから張る
- 張った直後にたっぷり水を与える
- 霜が残る早朝に作業する
- 乾燥した土のまま張って放置する



草取り
3月は越冬していた雑草が伸び始め、種から発芽する雑草も増えてくる時期です。近所の公園でも、この時期にスズメノカタビラのような株がまとめて抜かれている光景を見かけます。芝が雑草に負けないよう、見つけたら早めに除草するのが基本です。
3月の西洋芝(冬芝)の手入れ
西洋芝は寒地型芝草で、冬でも緑を保つことから冬芝とも呼ばれます。3月は生育がもっとも活発になる時期のひとつで、芝刈りや草取り、施肥といった作業が一気に必要になってきます。コウライシバとは逆に、こまめな手入れが求められる季節です。
芝刈り
3月の気温であれば西洋芝はすでに生育が盛んになっています。伸びるスピードが上がるため、3月下旬には一回、芝刈りをおこなう必要が出てきます。刈るタイミングが遅れると葉が徒長し、株が間延びしてしまうので注意しましょう。



草取り
芝生がまだ密になっていない時期は雑草が侵入しやすい状態です。見つけたらそのつど除草し、雑草が種をつける前に取り除いておくと、その後の管理が楽になります。
施肥と水やり
化成肥料を1平方メートルあたり20グラム与えたあと、水やりをおこないます。肥料の与え方が偏ると芝草の色濃度に差が出やすくなりますが、水やりによってある程度は緩和できます。
肥料をまいたあとすぐに水やりをすると、肥料が土に馴染みやすくなり、施肥のムラによる色の差が出にくくなります。まき方が均一かどうかより、施肥後の水やりを丁寧にするほうが結果に差が出やすいポイントです。



病害虫の防除
3月の手入れ早見表
コウライシバと西洋芝では、3月に必要な作業がほぼ正反対になります。どちらの芝を育てているかで手入れの中身が変わるため、まずは自分の庭の芝がどちらに当たるかを確認しておきましょう。
| 作業内容 | コウライシバ(夏芝) | 西洋芝(冬芝) |
|---|---|---|
| 芝刈り | 不要 | 3月下旬に1回程度必要 |
| 水やり | 乾燥時のみ | 施肥後に必要 |
| 施肥 | 不要 | 化成肥料を20g/m2 |
| 芝張り・張替え | 張替え・補修は適期、芝張りは早め | 対象外 |
| 草取り | 見つけ次第必要 | 見つけ次第必要 |
| 病害虫防除 | 不要 | 不要 |
2月・4月の芝生の手入れとの違い
3月の作業内容は、前後の月と比べるとその位置づけがわかりやすくなります。寒い2月はコウライシバの地上部が休眠中で、西洋芝も生長が止まっています。4月になるとコウライシバが一斉に芽吹き、およそひと月をかけて庭全体が緑に覆われていきます。西洋芝はこの時期に春の生育最盛期を迎え、芝刈りの頻度も上がっていきます。
つまり3月は、コウライシバにとっては芽生えの準備期間、西洋芝にとっては手入れの本格化が始まる月にあたります。
- コウライシバの傷んだ部分を張替え、補修する
- コウライシバの雑草を見つけ次第取り除く
- 西洋芝は下旬に一回芝刈りをする
- 西洋芝に化成肥料を与えて水やりする
- 種まきは平均気温15度を超える3月下旬以降に行う






まとめ
3月はコウライシバが芽生えを始め、張替えや補修に向く一方、芝刈りや施肥はまだ必要ありません。西洋芝は反対に生育が盛んになり、下旬の芝刈りと施肥、水やりが欠かせなくなります。種まきをするなら、露地では平均気温が15度を超える3月下旬以降が目安です。自分の庭の芝がどちらのタイプかを見極めて、季節に合った手入れをおこなうことが、春以降の芝生の仕上がりを左右します。
よくある質問
- 3月に芝生の種まきはできますか。
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関東以西の露地であれば、平均気温が15度を超える3月下旬以降が目安です。それより早くまきたい場合は、室内で保温しながら育苗する方法もあります。
- コウライシバと西洋芝で3月の手入れは何が違いますか。
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コウライシバは芝張りや張替え、補修が中心で、芝刈りや施肥はまだ不要です。西洋芝は生育が盛んになるため、下旬の芝刈りと施肥、水やりが必要になります。
- 3月にコウライシバへ肥料を与えてもよいですか。
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与える必要はありません。コウライシバの芽生えは地下に蓄えたエネルギーでおこなわれるため、この時期の施肥は徒長を助けるだけになってしまいます。
- コウライシバの芝張りはいつ行うのが適切ですか。
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関東以西では4〜5月が適期です。3月は少し早めの時期にあたりますが、気候が暖かく気温が安定していれば作業自体は可能です。
- 3月の草取りはどのタイミングでおこなえばよいですか。
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越冬した雑草や種から発芽する雑草が増える時期なので、見つけたそのつど除草するのが基本です。放置すると芝が雑草に負けてしまいます。







