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冬でも常緑!芝生にオーバーシードする方法

ペレニアルライグラス

 

 

冬になると地上部が枯れる夏芝、茶色く枯れた芝生を見て「一年中グリーンを保ちたい」と感じたことはないでしょうか。ゴルフ場やサッカースタジアムが冬でも青々としているのは、「オーバーシード(オーバーシーディング)」という技術のおかげです。この記事では、夏芝をベースに冬芝の種をまいて常緑を実現するオーバーシーディングの方法を、時期・手順・失敗原因と対策まで網羅的に解説します。

読者

冬も緑の芝生を保ちたいけど、何から始めればいいの?

専門家

秋にペレニアルライグラスの種をまくオーバーシードが定番の方法です。準備・手順・切り替え作業のポイントを順番に見ていきましょう。

目次

競馬場が発祥!オーバーシードで一年中グリーンを実現する仕組み

「最初から冬でも緑を保てる西洋芝を使えばいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、関東以西の太平洋側は夏の気温が高く、耐暑性の低い西洋芝は夏枯れのリスクがあります。一度夏枯れしてしまうと一から芝生を作り直すことになり、春に自然回復する夏芝と比べてデメリットが大きいのです。

そこで考え出されたのが、夏は夏芝をメインに使い、冬は寒さに強い西洋芝の種をまいてメインの芝草を季節ごとに入れ替える「オーバーシード」という手法です。この技術はJRAが開発し、競馬場からスポーツ競技場・ゴルフ場へと広まっていきました。

JRAに通年緑化を決意させたきっかけは、ジャパンカップの苦い教訓です。第1回ジャパンカップが開催された1981年当時の東京競馬場の芝馬場は野芝単独であり、11月末には冬枯れして茶色になっていました。そのため、外国の招待者には「どこに芝馬場があるの」などと言われてしまいました。それ以来、冬期も青々とした芝馬場で競馬をしたいという関係者の悲願を達成するため、調査試験に着手することになりました。通年緑化とオーバーシード法の技術開発

オーバーシードの仕組み

夏芝は寒くなると地上部が枯れ地下部が休眠します。その休眠期に寒さに強い西洋芝の種をまいて冬の間は冬芝をメインにし、春に夏芝が復活したら冬芝を締め出す。この季節ごとの入れ替えがオーバーシードの基本的な考え方です。

オーバーシードに使われる芝草の組み合わせを選ぶ

オーバーシードに使う冬芝の定番品種は「ペレニアルライグラス」です。秋に種をまき、夏芝が休眠する冬のメイン芝として活躍し、初夏には自然に枯れて夏芝へバトンタッチするサイクルを繰り返します。なお、オーバーシーディング専用品種を使うことが大前提で、一般の西洋芝を「混植」すると夏に両者が混在して見た目が乱れます。

ベースとなる夏芝の選択肢は主に3つあります。既存の芝として高麗芝があれば、そのままオーバーシードが可能ですが、長期的には競合によって高麗芝が弱る場合があります。新たに庭を作る場合は、手間を減らしたいならバミューダグラス系(ティフトンを含む)がベースとして推奨されています。

ベース夏芝特徴オーバーシードとの相性
高麗芝(日本芝)一般家庭に最も普及。管理しやすい可能だが長期使用で競合負けのリスクあり
バミューダグラス生育旺盛・回復力が高いトランジションがスムーズで推奨
ティフトンバミューダグラスの改良品種回復力が高くオーバーシードのベースに最適
バミューダグラスが推奨される理由

オーバーシードのベースとして高麗芝よりバミューダグラスが推奨されるのは、冬芝との競合(トランジション)において、生育が旺盛で回復力に優れた品種のほうが夏芝側が押し返しやすいからです。「トランジションがスムーズ」と表現されます。

オーバーシードの時期と手順:種まきからトランジションまで

ペレニアルライグラスの種まき時期は9月中旬〜10月上旬が目安です。この時期を外れると発芽率が大きく下がるため、スケジュールを事前に確認しておきましょう。また、種まきで終わりではなく、翌春には夏芝へ戻す「トランジション」作業まで一連の流れとして計画することが重要です。

STEP
サッチングと芝刈りで下地を整える

種まき前に芝刈りサッチ取りを行います。サッチ(枯れた芝の堆積)が多いと種が地面に届かず発芽率が大幅に下がるため、この下準備が最も重要な工程です。

STEP
ペレニアルライグラスの種をムラなくまく

種を2〜3等分してペットボトルに入れ、縦・横・斜めと方向を変えながら複数回に分けてまくとムラが出にくくなります。まき終えたら目土で軽く覆い、種と土を密着させてください。

STEP
冬の管理:ペレニアルライグラスをメインに育てる

発芽後はペレニアルライグラスを冬のメイン芝として管理します。この期間も適切な芝刈りや水やりを継続し、春のトランジションに備えて夏芝の地下部を健全に保ちます。

STEP
春のトランジション:冬芝を低く刈って夏芝に切り替える

夏芝が芽吹き始めたら、ペレニアルライグラスの刈り高を2cm以下に下げます。冬芝を低くすることで夏芝に光が当たり、生育が促進されます。初夏にはペレニアルライグラスが自然枯死し、夏芝がメインに戻ります。

追いまき用の種を事前に確保しておきましょう。発芽にムラが出た場合にすぐ対処できます。追いまきする種はペットボトルに入れて保管しておくと作業が楽です。芝生の種まきのコツ

オーバーシードで使えるペレニアルライグラスの種はこちら。

オーバーシードの失敗原因と対策を徹底解説

オーバーシードは手順が多い分、失敗のポイントも複数あります。実際によく聞かれる失敗パターンとその原因・対策を以下にまとめました。事前に把握しておくことでリスクを大幅に減らせます。

失敗パターン主な原因対策
冬芝の芽が出ない種まき時期が遅い、サッチが多い、目土で覆わなかった9月中旬〜10月上旬に実施。事前にサッチングを徹底する
発芽にムラがあり見た目が悪い種まきが一方向のみで偏りが出た種を分割して縦・横・斜めと複数方向にまく。追いまき用種を確保しておく
初年度の競合で夏芝が枯れたベースの夏芝が十分定着していない状態でオーバーシードした芝生を作って数年後から開始。夏芝が優勢な状態を確認してから行う
トランジション失敗で夏芝が戻らない春に冬芝を伸ばしたまま放置し夏芝の生育を阻害した夏芝の芽吹き後、速やかに冬芝の刈り高を2cm以下に下げる
高麗芝が年々弱くなった西洋芝との競合で高麗芝が押し負けた長期継続するならバミューダグラス系(ティフトン等)への転換を検討する
初年度のオーバーシードは避ける

芝生を植えてすぐの初年度にオーバーシードすると、春の競合でベースの夏芝が枯れてしまうリスクがあります。夏芝がしっかり定着して優勢な状態になるまで、少なくとも数年間はオーバーシードを見合わせることを推奨します。

まとめ:オーバーシードのメリットとデメリットを整理する

オーバーシードは「一年中緑の芝生」という大きなメリットがある一方、毎年の種まき・冬の管理・春のトランジション作業など手間が増えることも事実です。自分の生活スタイルに合った管理工数かどうかを見極めた上で導入を判断しましょう。

  • 一年中緑の芝生を維持できる
  • 夏芝の夏枯れリスクを回避しつつ冬の美観を保てる
  • ゴルフ場・競技場レベルの芝生管理が家庭でも実現できる
  • 毎年秋に種まき作業が必要になる
  • 冬も芝の管理(水やり・芝刈り)が継続して必要
  • 春のトランジション作業を怠ると夏芝の回復に失敗する
  • バミューダグラスは生育が旺盛な分、管理工数が高麗芝より増える傾向がある
オーバーシードを成功させる3つの鉄則
  • 種まきは9月中旬〜10月上旬に、事前のサッチングを徹底して行う
  • ベースの夏芝が定着した数年後から開始する(初年度は見送る)
  • 春のトランジションを怠らず、冬芝の刈り高を下げて夏芝の回復を促す

よくある質問(FAQ)

オーバーシードに最適な種まきの時期はいつですか?

ペレニアルライグラスの種まきは9月中旬〜10月上旬が適期です。この時期を過ぎると気温が下がりすぎて発芽率が低下するため、スケジュールを事前に立てておくことが重要です。

高麗芝にオーバーシードはできますか?

可能ですが、長期間オーバーシードを続けると西洋芝との競合で高麗芝が年々弱くなる場合があります。長期的にオーバーシードを継続するならバミューダグラス系(ティフトン等)へのベース変更を検討することをおすすめします。

オーバーシードに使う種は専用品種が必要ですか?

はい、オーバーシーディング専用品種を使うことを強く推奨します。一般の西洋芝を混植した場合、初夏に夏芝と冬芝が混在して見た目が乱れ、きれいな芝生を保つことが難しくなります。

トランジションとはどのような作業ですか?

春に夏芝が芽吹き始めたタイミングで、ペレニアルライグラスなどの冬芝の刈り高を2cm以下に下げる作業です。冬芝を低くすることで夏芝に光が当たり、生育が促進されます。この作業を怠ると夏芝の回復が遅れる原因になります。

芝生を作った初年度からオーバーシードしてもいいですか?

初年度のオーバーシードは避けることを推奨します。ベースの夏芝が十分に定着していない状態で冬芝と競合させると、夏芝が負けて枯れてしまうリスクがあります。芝生を作って数年後、夏芝が優勢に定着してから開始するのが安全です。

 

 

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著者

「芝生の手入れ.com」のほぼ全ての記事を書いています。都内在住のブロガー/エディター。好きな芝はケンタッキーブルーグラス。育てている芝はコウライシバ・ノシバ、西洋芝のバミューダグラス・JターフⅡ。

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