芝を調べ始めると出て来る夏芝と冬芝、日本芝と西洋芝それぞれの違いについて説明します。夏に強い夏芝は冬地上部が枯れる特徴があり冬芝は冬も緑な代わりに夏の暑さに弱い特徴があります。
芝生の種類、簡単な見分け方
芝生にも種類や品種が沢山ありゴルフ場か一般家庭かでも異なります。後から引き継いで芝の種類がわからないこともあると思います。「一般論」として芝生の見分け方を先に書いておきます。家庭用西洋芝の種は品種ごとの特徴を活かすため複数種混ぜられているものが多いので単一品種でないこともあります。
- 冬枯れるなら「日本芝(暖地型芝草)」(正確には西洋芝にも暖地型芝草のバミューダグラスがある)、冬も常緑なら西洋芝(寒地型芝草)
- 一般にやわらかくて緑が濃いのが西洋芝、葉の幅が太めでチクチクするのが日本芝
- 北海道で一般に見かけるのは西洋芝のケンタッキーブルーグラス、関東以西で一般に見かけるのは日本芝の「高麗芝(コウライシバ)」
- ゴルフ場のグリーンに一番使われているのはベントグラス(特にペンクロス)。フェアウェイは高麗芝、ラフはノシバが多い。
- オーバーシーディングに使うのは西洋芝(特にペレニアルライグラス)
▼家庭向けの西洋芝の種は特徴が異なる芝が何種類か混合されている。初期生長が早い、耐暑性が強い、擦り切れなど傷みからの回復が早いなど3種類混合されているものが多い。
冬枯れする夏芝(暖地型芝草)と年中緑の冬芝(寒地型芝草)
まず芝生の種類は大きく「夏芝」と「冬芝」に分かれます。温暖な地域に適した「暖地型芝草」=夏芝、寒冷地に適した「寒地型芝草」=冬芝です。日本芝は暖地型芝草(夏草)で西洋芝には寒地型芝草(冬芝)と暖地型芝草(夏草)両方の品種があります。
▼高麗芝に西洋芝が混在する芝生の12月実例。冬枯れする夏芝(暖地型芝草)と年中緑の冬芝(寒地型芝草)の違いが良く表れている。
暖地型芝草(夏芝)は高温多湿や乾燥に強く日本の夏、30度以上でも成長します。日本の秋から冬、10度以下になる11月〜3月頃には地上部の葉が褐色に枯れ休眠状態となりますが春になるとまた成長を開始します。代表的な夏芝は日本芝のノシバ、高麗芝、西洋芝のバミューダグラス、ティフトン。タイル状の「切り芝」を敷き詰める「張り芝」で芝生を作るのが一般的です。
寒地型芝草(冬芝)は日本の冬でも常緑を保ちます。日本の春と秋、15度〜20度で成長し25度以上と5度以下で成長が止まりますが葉は枯れません。暑さには弱く「夏枯れ」の危険があります。代表的な冬芝は西洋芝のベンドグラス類やブルーグラス類、フェスク類、ライグラス類があります。種を撒いて芝生を育てるのが一般的です。北海道や東北などが生育に適しています。芝生の種まきについてはこちら。
夏芝と冬芝の区別が重要なのは夏芝は冬枯れするので常緑を目指すなら冬芝を植える、あるいは夏芝に冬芝の種を撒いて季節ごとにメインの芝を切り替える「オーバーシード」の必要があるからです。
日本芝と西洋芝
日本芝は元々日本に自生していた品種で日本の気候に合い「高麗芝」は日本で1番使われている芝生です。高温多湿に強く、乾燥に耐え、病害虫に強い。また西洋芝より葉の伸びが少ないため芝刈りの手間が少ないなどの特徴があります。ノシバなど種が流通している品種もありますが基本的にタイル状の「切り芝」を「張芝」するのが一般的です。
西洋芝は日本芝と比べて葉が細く柔らかく、寒地性西洋芝の場合冬も美しい緑が楽しめます。また種から育てられるので初期コストが安いのもメリットです。寒地性西洋芝は関東以南の夏の高温多湿や乾燥に弱く、成長が早いため芝刈りや水やりの手間がかかるのがデメリットです。最近はバミューダグラスやティフトンなど暖地性西洋芝も普及しています。
地域の気候に適した芝生の種類
暖地性芝草と寒地性芝草の特徴で説明したように芝生の選び方でまず制約条件となるのが生育に適した気温のエリアかどうかです。夏芝は寒ければ根付きませんし、西洋芝は暑すぎれば夏枯れしてしまいます。
この指標としては暖かさの基準「温量指数」で日本列島を大まかにゾーン分けしています。失敗しないための芝生の選び方 のページに日本列島の「温量指数」の絵が載っています。
月平均気温がセ氏5度を超えた月だけ取り出し、各月の平均気温から5度を差し引いた値を合計したもの。一般に、植物の活性には5度以上の温度が必要とされる。そのため、植物の生育可能期間についての積算温度の一として、植生帯の指標となる。寒さの指数とあわせて、温量指数とよばれる。生態学者吉良竜夫が提唱。(デジタル大辞泉)
北海道〜東北北部
寒地型の西洋芝が適しています。20度以上にならないため暖地型芝草(日本芝)の生育に適していません。ケンタッキーブルーグラスが良く使用されています。
東北南部〜本州の高標高地
寒地型西洋芝とノシバが適しています。メンテナンスの工数を下げたいならノシバ、管理に手間をかけてもきれいな芝生を楽しみたい場合は西洋芝が良いでしょう。
関東以西〜九州、四国、沖縄
高温多湿に強いノシバや高麗芝、暖地性西洋芝のバミューダグラスが適しています。特に太平洋の沿岸部は夏の暑さが厳しいため、寒地型芝の西洋芝をメインにするのは困難で夏芝の高麗芝が良く使われます。冬も緑の芝生を楽しみたい場合は高麗芝をベースにオーバーシードして冬は西洋芝メインにする方法があります。
芝生の選び方を左右する性質
芝生を選ぶ際には暑さ寒さへの耐性が重要なことがわかりました。寒さに強い「耐寒性」、暑さに強い「耐暑性」など品種ごとの特性を理解すると適切な芝生を選ぶ参考になります。その品種が生育するのに適した場所かに関わる特性です。
- 耐寒性:気温の低さに対する強さ
- 耐暑性:気温の高さに対する強さ
- 耐陰性:日陰に対する強さ
- 耐旱性:乾燥に対する強さ
- 耐湿性:湿度の高さへの強さ
この他スポーツ競技や公園など踏みつけに強い「耐踏圧性」、「すり切れ抵抗性」、「傷害からの回復力」などの特性があります。
代表的な芝草の品種
現在主流の暖地型芝草(夏芝)は日本芝の野芝・高麗芝、バミューダグラスを改良したティフトン。寒地性芝(冬芝)で主流なのはブルーグラス類、ライグラス類です。
ノシバ
分類:暖地型芝草・日本芝・夏芝
地域:東北〜四国、九州
用途:神社、仏閣、庭園、公園、ゴルフ場のラフ、河川敷や堤防、道路の法面、家庭用芝生。ただし一般家庭では高麗芝が一般的。
特徴・性質:ノシバは日本各地に広く自生している日本芝で葉が4mm以上と広くて粗くチクチクする。日本の気候に最も適していて、肥料もあまり必要としない。暖地性芝の中では最も耐寒性が強い。耐病性、耐乾性にも優れ踏圧にも強い。手に入りやすい切り芝の他、種から育てることも可能。
高麗芝(コウライシバ)
分類:暖地型芝草・日本芝・夏芝
地域:東北以南の日本列島で最もポピュラー
用途:スポーツ競技場、校庭、公園、一般家庭。河川敷や堤防、道路の法面、ゴルフ場のティーやフェアウェイ、ラフ。
特徴・性質:高麗芝(コウライシバ)は高温多湿に耐え、日本の気候に適している。葉が1mm〜4mmとノシバより細く密生する。耐暑性、耐旱性、病害虫にも強い。ランナー(匍匐茎)で広がりきめ細かく美しい芝生を作る。高麗芝より葉が細い姫高麗芝(ヒメコウライシバ)もある。
バミューダグラス
分類:暖地型芝草・西洋芝・夏芝
地域:関東以西の本州
用途:国立競技場などのスポーツ競技場、公園
特徴・性質:バミューダグラスは世界の暖地で最も利用され耐暑性、耐旱性、踏圧や擦り切れ圧にも強い。暖地型芝草でありながら西洋芝の葉の繊細さ、柔らかさを併せ持つ。ランナー(匍匐茎)がよく発達し成長も早い。改良種のティフトンは葉がより細く、刈り込みや踏圧からの回復が早い。
ベントグラス類
分類:寒地型芝草・西洋芝・冬芝
地域:北海道〜本州
用途:ゴルフ場のグリーン
特徴・性質:ベントグラス類は葉が細く短い刈り込みにも耐えるためゴルフ場のグリーンでよく使われる。長いランナー(匍匐茎)を持つが根が浅いため乾燥には弱い。反面高温多湿に弱く暖地では夏枯れしやすい。肥料を多く必要とするなど管理に手間がかかる品種。
フェスク類
分類:寒地型芝草・西洋芝・冬芝
地域:北海道〜本州
用途:ゴルフ場のティーやフェアウェイ、スポーツ競技場
特徴・性質:フェスク類は暑さには強くないものの暖地でもよく生育し頑丈。西洋芝の中では環境圧に強く乾燥や日陰にも耐える。葉は粗いものから細かいものまである。競技場などによく使われる。
ライグラス類
分類:寒地型芝草・西洋芝・冬芝
地域:北海道〜本州
用途:牧草、オーバーシード
特徴・性質:ライグラス類は初期成長が早く耐暑性が弱い。ペレニアルライグラスは冬の葉の色が綺麗で寿命が短い特徴からオーバーシードによく使われる。
ブルーグラス類
分類:寒地型芝草・西洋芝・冬芝
地域:世界で最も広く栽培されている西洋芝。北海道、東北北部。
用途:ゴルフ場のフェアウェイ、ラフ。スポーツ競技場、公園や家庭用芝生。
特徴・性質:ブルーグラス類の中でもケンタッキーブルーグラスは欧州など寒いエリアで最も一般的な西洋芝。青みがかった葉の色が特徴。寒さに特に強く半日陰でも育つ。初期成長は遅いが地下茎で増え、踏圧に強い。さび病に弱い。
まとめ:芝生の種類と特徴
夏芝(暖地性芝草)と冬芝(寒地性芝草)、日本芝と西洋芝それぞれの違い。夏に強い夏芝は冬地上部が枯れる特徴があり冬芝は冬も緑な代わりに夏の暑さに弱い特徴があります。南北に長い日本列島では地域の暑さ寒さに応じて芝生の種類を選ぶことになります。
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