芝生を選ぼうとすると、「夏芝」「冬芝」「日本芝」「西洋芝」といった言葉がすぐに出てきます。それぞれの違いを理解しないまま植えてしまうと、冬に枯れた、夏に全滅したという失敗につながりかねません。この記事では芝生の種類と特徴を体系的に整理し、地域・用途ごとにどの芝を選べばよいかを解説します。初めて芝生を張る方から、現在の芝の種類を調べ直したい方まで、幅広くお役立てください。
芝生って種類が多くてどれを選べばいいかわかりません。まず何を基準に考えればいいですか?




まず「夏芝か冬芝か」、つまり暖地型か寒地型かを知ることが第一歩です。次にお住まいの地域の気候と合っているかを確認すれば、選択肢がぐっと絞られますよ。
芝生の種類と簡単な見分け方
芝生には多くの種類や品種があり、ゴルフ場と一般家庭でも使われるものが異なります。後から引き継いだ庭で芝の種類が不明なケースも少なくありません。まずは「一般的な見分け方」の基本を押さえておきましょう。
なお、家庭向けの西洋芝の種は複数の品種を混合して販売されているものが多く、初期生長が早い品種・耐暑性が強い品種・傷みからの回復が早い品種など、3種類程度をブレンドしたものが一般的です。そのため、単一品種で揃っていない場合もあることを念頭においてください。
- 冬に枯れるなら「日本芝(暖地型芝草)」、冬も常緑なら「西洋芝(寒地型芝草)」が目安(ただし西洋芝にも暖地型のバミューダグラスがある)
- 柔らかく濃い緑色なら西洋芝、葉幅が広めでチクチクするなら日本芝の可能性が高い
- 北海道で一般的に見かける芝はケンタッキーブルーグラス、関東以西では高麗芝(コウライシバ)が最多
- ゴルフ場のグリーンはベントグラス(特にペンクロス)、フェアウェイは高麗芝、ラフはノシバが多い
- オーバーシード(季節切り替え)に使われるのは西洋芝、特にペレニアルライグラス
冬枯れする夏芝(暖地型芝草)と年中緑の冬芝(寒地型芝草)
芝生を大きく分類すると、温暖な地域に適した「暖地型芝草(夏芝)」と、寒冷地に適した「寒地型芝草(冬芝)」の2種類になります。日本芝はすべて暖地型芝草(夏芝)であり、西洋芝には暖地型・寒地型の両方が存在します。この違いを知ることが、芝生選びの最初のステップです。
| 比較項目 | 暖地型芝草(夏芝) | 寒地型芝草(冬芝) |
|---|---|---|
| 成長適温 | 30℃前後(高温多湿に強い) | 15〜20℃(春・秋に旺盛) |
| 冬の状態 | 地上部が褐色に枯れ休眠 | 常緑を保つ |
| 夏の状態 | 旺盛に成長 | 25℃以上で成長停止、夏枯れの危険 |
| 主な品種 | 高麗芝、ノシバ、バミューダグラス、ティフトン | ベントグラス、ブルーグラス、フェスク、ライグラス |
| 芝生の作り方 | 切り芝を張るのが一般的 | 種まきで育てるのが一般的 |
| 適した地域 | 関東以西〜沖縄 | 北海道・東北、または全国(管理が必要) |
夏芝は冬に枯れてしまうため、1年中緑の芝生を楽しみたいなら冬芝を植えるか、夏芝をベースに冬は冬芝の種をまく「オーバーシード」を活用する方法があります。どちらを選ぶかは地域の気候と管理にかける手間によって異なります。
「日本芝=夏芝、西洋芝=冬芝」は誤解です。西洋芝にもバミューダグラスやティフトンのような暖地型(夏芝)の品種が存在します。
日本芝と西洋芝の違い
暖地型・寒地型の分類とともに理解しておきたいのが「日本芝」と「西洋芝」の違いです。それぞれに異なる強みと弱みがあり、庭の環境や管理スタイルに合わせて選ぶことが大切です。
- 日本芝
-
もともと日本に自生していた品種群で、日本の高温多湿な気候に最もよく適応しています。「高麗芝」は日本で最も普及している芝生品種です。乾燥・病害虫・暑さに強く、西洋芝と比べて葉の伸びが遅いため芝刈りの回数が少なくて済むのも魅力です。ノシバのように種が流通している品種もありますが、タイル状の「切り芝」を張るのが一般的です。
- 西洋芝
-
日本芝と比べて葉が細く柔らかく、寒地型の西洋芝であれば冬でも美しい緑が楽しめます。種から育てられるため初期コストが低い点もメリットです。一方で、関東以南の高温多湿な夏には弱く夏枯れのリスクがあります。成長が早い分、芝刈りや水やりの頻度も高くなります。近年はバミューダグラスやティフトンなど暖地型西洋芝の普及も進んでいます。
- 日本芝:管理の手間が少なく、初心者や多忙な方向き
- 西洋芝:冬でも緑を保てる(寒地型)、初期コストが安い(種まき)
- 暖地型西洋芝:見た目の繊細さと夏の耐久性を両立
- 日本芝:冬に枯れるため、冬の景観を維持できない
- 寒地型西洋芝:関東以南の夏は夏枯れのリスクが高い
- 西洋芝全般:成長が早く芝刈り・水やりの頻度が増える
地域の気候に合った芝生の選び方
芝生選びで最初に考慮すべきは「その土地の気温が芝の生育に適しているか」です。夏芝は寒すぎると根付かず、冬芝は暑すぎると夏枯れしてしまいます。日本列島は南北に長く気候差が大きいため、居住地域のゾーンに合った芝種を選ぶことが失敗しないための基本です。
植物の生育適温の目安として「温量指数」という指標があります。これは月平均気温が5℃を超えた月について、各月の平均気温から5℃を差し引いた値を合計したもので、植生帯の指標として活用されています。失敗しないための芝生の選び方のページに日本列島の温量指数のゾーン図が掲載されています。
月平均気温がセ氏5度を超えた月だけ取り出し、各月の平均気温から5度を差し引いた値を合計したもの。一般に、植物の活性には5度以上の温度が必要とされる。そのため、植物の生育可能期間についての積算温度の一として、植生帯の指標となる。(デジタル大辞泉)
寒地型西洋芝が適したエリアです。夏でも20℃を超えにくいため、暖地型芝草(日本芝)の生育には向きません。ケンタッキーブルーグラスが広く使用されており、青みがかった美しい葉色が特徴です。
寒地型西洋芝とノシバの両方が選択肢になるエリアです。管理の手間を減らしたいならノシバ、美しい芝生を楽しむことを優先するなら寒地型西洋芝を選びましょう。
高温多湿に強い高麗芝・ノシバ、または暖地型西洋芝のバミューダグラスやティフトンが適しています。太平洋側の沿岸部は夏の暑さが特に厳しいため、寒地型西洋芝をメインにするのは困難です。冬も緑の芝生を楽しみたい場合は、高麗芝をベースにオーバーシードで冬季だけ西洋芝に切り替える方法がおすすめです。
芝生選びに関わる重要な性質・特性
地域の気候への適合性を確認したら、次に品種ごとの特性を比較しましょう。耐寒・耐暑だけでなく、庭の日当たりや使用状況に応じた特性も重要な選択基準です。
- 耐寒性
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低温に対する強さ。寒冷地での越冬や春の立ち上がりに影響します。
- 耐暑性
-
高温に対する強さ。夏枯れのリスクを左右する重要な特性です。
- 耐陰性
-
日陰環境への耐久性。建物や樹木の影になる場所では特に重要です。
- 耐旱性
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乾燥に対する強さ。水やりの手間や水道代にも直結する特性です。
- 耐踏圧性・回復力
-
踏みつけへの強さと、傷んだ後の回復スピード。子どもが遊んだり、スポーツをする庭では特に重視される特性です。
スポーツ競技場や公園では「耐踏圧性」「すり切れ抵抗性」「傷害からの回復力」も重要な選定基準となります。競技施設向けにはバミューダグラス系のティフトンや高麗芝が採用されることが多いです。
代表的な芝草の品種と特徴
現在の主流品種を暖地型・寒地型に分けて解説します。それぞれの特徴を理解したうえで、自分の庭の条件に合う品種を選んでください。
ノシバ(暖地型・日本芝・夏芝)
日本各地に広く自生している日本芝の代表格です。葉幅は4mm以上と広く粗めでチクチクとした触感があります。日本の気候に最も適応しており、肥料もほとんど必要としません。暖地型芝草の中でも耐寒性が最も強く、耐病性・耐乾性・耐踏圧性にも優れています。切り芝での入手が容易なほか、種まきで育てることも可能です。
高麗芝(コウライシバ)(暖地型・日本芝・夏芝)
東北以南の日本列島で最もポピュラーな芝生品種です。葉幅は1〜4mmとノシバより細く、密生して美しい芝面を形成します。ランナー(匍匐茎)でよく広がり、きめ細かく均一な芝生に仕上がるのが最大の魅力です。耐暑性・耐旱性・病害虫への強さも高水準。葉がさらに細い「姫高麗芝(ヒメコウライシバ)」もあり、より繊細な仕上がりを求める場合に使われます。スポーツ競技場・校庭・公園・一般家庭・ゴルフ場のフェアウェイなど用途は多岐にわたります。
バミューダグラス・ティフトン(暖地型・西洋芝・夏芝)
世界の暖地で最も広く利用されている西洋芝です。耐暑性・耐旱性・耐踏圧性に優れ、傷みからの回復も早い。暖地型でありながら西洋芝ならではの葉の繊細さと柔らかさを持ち合わせています。ランナーの発達が旺盛で成長も速いため、芝生の造成期間が短くて済みます。改良種のティフトンは葉がより細く、刈り込みや踏圧からの回復がさらに早い優れた品種で、国立競技場などのスポーツ施設でも採用されています。
ベントグラス類(寒地型・西洋芝・冬芝)
葉が非常に細く、短く刈り込んでも密生するためゴルフ場のグリーンに最適な品種です。長いランナーを持ちますが根が浅く乾燥に弱い面があります。高温多湿に弱く、関東以南では夏枯れが発生しやすいため、一般家庭での管理は難易度が高め。肥料を多く必要とするなど、手間がかかる品種でもあります。
フェスク類(寒地型・西洋芝・冬芝)
暖地でも比較的よく生育し、西洋芝の中では環境への適応力が高い頑丈な品種群です。乾燥や日陰にも耐えられるため、西洋芝の中では扱いやすい部類に入ります。葉の質感は粗いものから細かいものまで品種によって幅があり、ゴルフ場のティー・フェアウェイやスポーツ競技場で広く使用されています。
ライグラス類(寒地型・西洋芝・冬芝)
初期成長が非常に早い反面、耐暑性に乏しく寿命が短い特徴があります。特に「ペレニアルライグラス」は冬の葉色が鮮やかで美しく、短命な性質を活かして高麗芝への「オーバーシード」に最もよく使われる品種です。冬の間だけ緑の芝生を楽しみたいというニーズにぴったりです。また、芝生の種まきについての詳細情報もご参照ください。
ブルーグラス類(寒地型・西洋芝・冬芝)
世界で最も広く栽培されている西洋芝の品種群です。代表格の「ケンタッキーブルーグラス」は欧州など寒冷地で最も一般的な芝生であり、名前の通り青みがかった葉色が印象的です。耐寒性が特に強く半日陰でも育ち、地下茎でよく広がります。初期成長はやや遅めですが、踏圧にも強く公園や家庭用芝として重宝されます。さび病には弱い点に注意が必要です。
管理の手間を最小限にしたいなら高麗芝・ノシバなどの日本芝、冬の緑を楽しみたいなら寒地型西洋芝か高麗芝+オーバーシード、美しさとスポーツ性能を求めるならティフトン・バミューダグラスが有力な選択肢です。
まとめ:芝生の種類と特徴
芝生選びの基本は「夏芝か冬芝か」「日本芝か西洋芝か」という2軸の理解から始まります。南北に長い日本列島では地域の気候が大きく異なるため、居住エリアの暑さ・寒さに合った品種選びが失敗しない庭づくりの第一歩です。
- 夏芝(暖地型)は冬に枯れ、冬芝(寒地型)は年中緑だが夏枯れのリスクがある
- 日本芝は管理が容易で高温多湿に強く、日本の庭に最もなじむ品種群
- 西洋芝は冬の美しさが魅力だが、寒地型は関東以南での夏越しが難しい
- 関東以西は高麗芝、北海道はケンタッキーブルーグラスが最も一般的
- 冬も緑を保ちたいなら高麗芝ベースのオーバーシードが現実的な選択肢
芝生の種類に関するよくある質問
- 夏芝と冬芝、どちらが管理しやすいですか?
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一般的には夏芝(高麗芝など)の方が管理しやすいとされています。冬に休眠するため年間を通じた芝刈り頻度が少なく、病害虫への耐性も高めです。冬芝(寒地型西洋芝)は夏の管理に注意が必要で、関東以南では夏枯れ対策が欠かせません。
- 高麗芝と西洋芝を混在させても問題ありませんか?
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混在自体は問題ありませんが、見た目の統一感が失われることがあります。高麗芝(夏芝)は冬に枯れ、西洋芝(冬芝)は冬も緑を保つため、12月頃には茶色と緑が混在した状態になります。意図的にオーバーシードで季節ごとに使い分けるのであれば有効な手法です。
- オーバーシードとはどういう方法ですか?
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オーバーシードとは、夏芝(主に高麗芝)が冬に枯れる前に、その上から冬芝(主にペレニアルライグラス)の種をまき、季節ごとにメインの芝を切り替える方法です。冬の間は西洋芝が緑を保ち、翌春の気温上昇とともに夏芝が復活します。ゴルフ場でも広く採用されているテクニックです。
- 北海道で芝生を張る場合、どの品種がおすすめですか?
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北海道では夏でも気温がそれほど上がらないため、寒地型西洋芝が適しています。なかでもケンタッキーブルーグラスが最もよく使われており、耐寒性が高く半日陰でも育ちやすい点が北海道の環境に合っています。フェスク類やライグラス類との混合種も市販されており、家庭用として手に入れやすいです。
- 子どもが遊ぶ庭に向いている芝生の品種は何ですか?
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踏圧に強く傷みからの回復が早い品種が適しています。関東以西なら高麗芝やバミューダグラス系のティフトンが優秀です。北海道・東北なら踏圧に強いケンタッキーブルーグラスが候補になります。いずれも耐踏圧性と回復力を持ち、活発に遊ぶ子どもがいる庭での使用実績が豊富です。










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