芝生の種まきの時期は、芝の種類で変わります。ケンタッキーブルーグラスなどの西洋芝(寒地型)は、暑さが落ち着いた9〜10月の秋まきが最適で、春まきなら3〜5月。野芝やバミューダグラスなどの暖地型は、暖かくなった5〜6月ごろが適期です。種まきの手順と、発芽させるコツも解説します。
- 西洋芝(寒地型)は秋まき(9〜10月)が最適。関東以西の春まきは、最初の夏に枯れやすい
- 暖地型(野芝・バミューダグラス)は5〜6月ごろ、気温が20度を超えてから
- 高麗芝は種がほとんど流通していないため、切り芝を張るのが一般的
- 発芽するまで土を乾かさないことが最大のコツ。不織布をかけると乾きにくい
芝の種類別・種まきの適期(早見表)
| 芝の種類 | タイプ | 種まきの適期 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ケンタッキーブルーグラス、ライグラス、フェスクなど | 西洋芝(寒地型) | 秋:9〜10月(春:3〜5月も可) | 関東以西の春まきは夏越しが難しい |
| 野芝(ノシバ) | 日本芝(暖地型) | 5〜6月ごろ | 発芽に時間がかかり、覆うまで時間がかかる |
| バミューダグラスなど | 暖地型 | 5〜6月ごろ | 気温が十分に上がってからまく |
| 高麗芝(コウライシバ) | 日本芝(暖地型) | ― | 種はほとんど流通していない。切り芝を張る |
以下では、種まきと芝張りの比較、準備から発芽後の管理までの手順を順に解説します。
種まきと芝張り、費用と特徴の比較
関東以西で最もよく使われている高麗芝は種がほとんど流通しておらず、切り芝を張るのが一般的です。一方、西洋芝は種から育てられる品種が多く、切り芝より材料費を大幅に抑えられるのが魅力です。面積が広くなるほど、この差は大きくなります。
切り芝は1束でおよそ1㎡分です。価格は産地・店舗・時期で変わりますが、高麗芝の切り芝はホームセンターや通販で1㎡あたり数百円〜1,000円台が目安です。種は品種によって違いますが、播種量は1㎡あたり10〜20g程度(タキイ種苗の品種カタログなど)なので、同じ面積なら材料費は切り芝よりかなり安く済みます(例:カネコ種苗 西洋芝のタネ J.ガーデングラス、高麗芝の切り芝)。
| 比較項目 | 種まき | 切り芝(芝張り) |
|---|---|---|
| 材料費 | 安い | 種まきより高い(1㎡あたり数百円〜1,000円台が目安) |
| 使える芝の種類 | 西洋芝・ノシバなど | 高麗芝・ノシバ・西洋芝など |
| 養生期間 | 長い(発芽〜定着まで1〜2か月) | 比較的短い |
| 雑草の入りやすさ | 入りやすい(土が見えている期間が長い) | 入りにくい |
| 作業の手軽さ | 整地・種まき・発芽までの水やりが必要 | 整地して並べ、目土と水やり |
ランナー(匍匐茎)がよく伸びるティフトンは、地面を覆う速さを生かした「鳥取方式」で知られていますが、三倍体のため種子ができず、ポット苗などで植えます。種から育てられるバミューダグラスには「リビエラ」などの品種があり、タキイ種苗のカタログでは芝の質がティフトンにほぼ匹敵するとされています。



種まきが主流にならない3つの理由
費用が安いにもかかわらず、家庭の庭では切り芝を張る方法が主流です。その理由は次の3つです。
理由1:寒地型の西洋芝は夏枯れしやすい
30度を超える日が続く地域では、寒地型の西洋芝は夏に弱って枯れやすくなります。暑さに強い日本芝ではノシバが種から育てられますが、葉の幅が広くチクチクするため、家庭の庭には高麗芝が好まれます。その高麗芝は、種がほとんど流通していません。
関東以西で寒地型の西洋芝を春にまくと、最初の夏を越せずに枯れてしまうおそれがあります。秋まきが基本です。
理由2:管理の手間が多い
西洋芝は生長が早いため、芝刈りや水やりの回数が多くなります。芝生の種類と特徴でも触れているように、寒地型の西洋芝は夏場の朝の水やりが欠かせません。広い面積ではスプリンクラーなどの設備も必要になってきます。ゴルフ場のグリーンが一年中きれいなのは、専門の管理者が手間をかけて手入れしているからです。
理由3:養生中に雑草が生えやすい
種から育てる場合、土が見えている期間が長くなり、その間に雑草も生えてきます。芝生の雑草対策に出てくるスギナ・ハマスゲ・クローバーなど、根から再生する雑草はとくにやっかいです。切り芝に比べて養生期間が長いぶん、雑草対策の手間も増えます。
- 夏の高温多湿で寒地型の西洋芝が枯れやすい
- 生長が早く、芝刈り・水やりの回数が多い
- 養生中に雑草が入りやすい
- 定着するまで芝生に入れない期間がある
芝の種類別・地域別の種まき時期
種まきの成否を大きく左右するのがまく時期です。芝は「夏芝(暖地型)」と「冬芝(寒地型)」に分かれ、発芽・生育に必要な気温が違います。
夏芝(暖地型):ノシバ・バミューダグラスなど。気温が20度を超えてからまく。生育適温は25〜35度。
冬芝(寒地型):ケンタッキーブルーグラス・ベントグラス・ライグラス・フェスクなど。生育適温は15〜25度。暑さが落ち着いてから、または春先にまく。
種苗メーカー(タキイ種苗)の品種カタログに載っている播種適期は、次のとおりです。地域区分はメーカーの目安です。
| 芝の種類(品種の例) | 地域 | 播種適期 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ノシバ(ゼニス) | 関東以西 | 5〜7月 | 東北・冷涼地は5月下旬〜7月上旬、九州は4月中旬〜8月上旬 |
| バミューダグラス(リビエラ) | 中間地・暖地 | 4〜7月、8月下旬〜10月中旬 | 冷涼地は5〜7月。家庭では気温が十分に上がる5〜6月がまきやすい |
| ケンタッキーブルーグラス(ムーンライトSLT) | 北海道・冷涼地 | 5〜8月 | 北海道の主流 |
| ケンタッキーブルーグラス(ムーンライトSLT) | 中間地・暖地 | 3〜6月、8月下旬〜10月 | 関東以西は夏越しを考えると秋まきが安全 |
芝生の種まき:準備から発芽後の管理までの手順
当サイトでプランターに芝の種をまいて育てた記録は、【3月】プランターに芝生を植えバルコニーで育てるなどで紹介しています。以下の手順を参考に、発芽までの管理を進めましょう。
必要な道具と資材
- 芝の種
-
ホームセンターや園芸店では、複数の品種を混ぜた種が手に入ります。特定の品種がほしい場合は、タキイ種苗・雪印種苗・サカタのタネ・カネコ種苗などの種苗メーカーや、その通販を利用すると便利です(例:雪印種苗のオンラインストア)。
- レーキ(熊手)
-
土を耕す・ならす・浅い溝を作るなど、いろいろな作業に使います。レーキでサッチングなど、ふだんの芝の手入れにも使えます(例:OWL ガーデンレーキ)。
- フルイ
-
種まき後に目土(目砂)を均一に数mmかぶせるときに使います。手でまくよりもむらなく仕上がります(例:ステンレスのフルイ)。
- 床土・目土(目砂)
-
どちらも水はけのよいものを選びます。芝生の目土・目砂で紹介しているように、ホームセンターでは洗い砂に肥料や土壌改良材を混ぜた芝生専用品が便利です(例:平和 芝の目土・床土)。
種まきの手順:整地から発芽後の管理まで
種まきは芝張りに比べて土が見えている期間が長く、雑草が入りやすくなります。スギナ・ハマスゲ・クローバーなど、根から再生する種類はとくに念入りに取り除きましょう。根ごと取りきれない場合は、非選択性の除草剤を使う方法もあります。散布してから種をまくまでに空ける期間は、製品のラベルで確認してください。
クワなどで地面を深さ20cmほど耕し、土の塊・石・雑草の根を取り除いてから、レーキで平らにならします。粘土質や硬い地面は、表土を取り除いて芝生用の床土(床砂)を入れます。水たまりができないよう、1mあたり1〜2cm低くなるゆるやかな傾斜をつけると、水はけがよくなります。
整地した土の表面をレーキで軽く引っかき、1cmほどの浅い溝を作ります。種は袋に書かれた播種量を守ってまきます。むらなくまくコツは、「種を2〜3等分して、縦・横・斜めと方向を変えてまく」ことです。分けた種をペットボトルに入れると作業しやすくなります。
種をまいたら、レーキで土を軽くならして種に薄く土をかぶせます。目土の厚さは3〜5mm程度が目安で、フルイを使うと均一に仕上がります。その上から水を通す不織布(例:シンセイ 農業用不織布 らくらくガードスーパー)をかぶせ、四隅を竹串やピンで固定します。不織布は乾燥や表土の流出を防ぎ、鳥に種を食べられるのも防ぎます。最後に十分に水をやってください。
発芽して芽が1cmほどに育ったら、不織布を外します。芝生に踏み入らないよう養生を続け、草丈が5cmほどになったら最初の芝刈りと施肥を行います。その後も草丈が5cmほどに伸びるたびに3〜4cmに刈り、一度に葉の長さの3分の1以上を刈らないようにします。
種をまいた直後は、ハトなどの鳥に種を食べられることがあります。不織布をかけても狙われる場合の対策は、次の記事で紹介しています。



発芽までの日数は芝の種類で違い、ケンタッキーブルーグラスのように2〜3週間かかるものもあります。ひととおり発芽しても、まばらな部分には「追いまき」が有効です。芝が5cmほどに伸びて1回目の芝刈りを終えたあとに、芽のない部分へ種をまいて目土で覆います。追いまき後も、しばらくは芝生に入らないよう養生してください。
失敗しないためのチェックリスト
- 芝の種類(夏芝・冬芝)と、住んでいる地域の気候を確認した
- 種まきの前に雑草(スギナ・ハマスゲなど)を根ごと取り除いた
- 水はけのよい床土・目砂を用意した
- 種を2〜3等分し、方向を変えてむらなくまいた
- 目土の厚さを3〜5mmにし、不織布で保護した
- 発芽するまで土を乾かさないよう水やりを続けた
- 草丈5cmで最初の芝刈り・施肥をした
よくある質問:芝生の種まきの時期と方法
- 春は芝生の種まきに適した時期ですか?
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春は種まきに使える時期です。寒地型の西洋芝は3〜5月ごろ、暖地型(ノシバ・バミューダグラスなど)は気温が20度を超える5〜6月ごろがまきやすい時期です。梅雨入りの前に発芽をそろえておくと管理が楽になります。ただし関東以西では、寒地型の西洋芝を春にまくと最初の夏を越せないおそれがあるため、秋まきのほうが向いています。春に種から育てるなら、暖地型のバミューダグラス(例:リビエラの種子)も候補です。
- 夏や冬でも芝生の種まきはできますか?
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冬は気温が低く発芽しにくいため、どの芝も避けてください。真夏は、寒地型の西洋芝なら暑さで発芽後に枯れやすく、暖地型でも強い日差しと高温で発芽まで土を湿らせておくのが大変です。北海道や冷涼地では夏が涼しいため、寒地型の西洋芝を8月ごろまでまけます。
- 秋はいつまで芝生の種まきができますか?
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寒地型の西洋芝は、関東以西の平地なら9〜10月が適期です。冬までに根を張らせるため、遅くとも10月中にはまき終えましょう(東京の10月の平均気温は18.0度、11月は12.5度。気象庁の平年値)。8月末から9月の連休ごろが、家庭での秋まきにまきやすい時期です。暖地型の芝は、冬までに定着する期間が短くなるため、春〜初夏にまくのが基本です。
- 11月・12月でも発芽しそうですが種まきして良いですか?
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ノシバ・バミューダグラスなどの夏芝は、気温が足りないため発芽しません。冬芝(寒地型)は発芽することもありますが、寒地型の生育適温は15〜25度で、東京でも11月の平均気温は12.5度(気象庁の平年値)まで下がります。根を十分に張らないまま冬を迎えるため、翌春(3月以降)まで待つことをおすすめします。
- 北海道での芝生の種まきに適した時期はいつですか?
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北海道では寒地型のケンタッキーブルーグラスが主流で、種まきの適期は5〜8月です(タキイ種苗の品種カタログ)。高麗芝の生育適温は25〜35度で、北海道には向きません。ケンタッキーブルーグラスは種から育てられるため、切り芝が手に入りにくい地域でも始めやすい芝です(例:ケンタッキーブルーグラスの種)。北海道の芝生事情は北海道の芝生は違う!?(北海道ファンマガジン)も参考になります。
- 高麗芝でも種まきできますか?
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高麗芝は種がほとんど流通していないため、切り芝を張るのが一般的です。日本芝を種から育てたい場合は、ノシバの種(例:タキイ種苗の「ゼニス」。ノシバ ゼニスの種子)が売られています。関東以西でのまきどきは5〜7月です。
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- 芝生や花壇に猫のフンをされる:フンや尿は、芝生が丸く枯れる原因にもなります。→ 猫よけ対策
- 庭にフンをされる・ゴミを荒らされる:ハクビシンやアライグマの可能性があります。→ アライグマ対策






