ガンバ大阪の本拠地、吹田サッカースタジアム。2017年シーズン、このスタジアムの芝生が荒れていたことをご存じでしょうか。
プロのスタジアムなのに、なぜ芝が荒れてしまったのでしょうか。管理が甘かったということですか。




単純な管理不足ではなく、夏芝と冬芝を切り替える「トランジション」という工程に原因があったようです。日刊スポーツの報道が、その背景を的確に伝えています。
日刊スポーツのサッカー担当・小杉舞記者は、ガンバが本拠地で勝てず苦しんでいる要因の一つとして明らかに芝生の状態が悪化していたことを挙げました。原因は、クラブW杯と天皇杯決勝の開催によって冬芝から夏芝への切り替えが遅れたことにあるとしています。本記事では、この報道内容を軸に、芝生管理の観点から吹田サッカースタジアムに何が起きていたのかを整理します。
日刊スポーツが報じた吹田スタジアムの芝トラブル
G大阪、本拠で苦戦の理由は持ち味殺す「芝生問題」 – サッカー現場発 – サッカーコラム : 日刊スポーツが該当の記事で、2017年8月22日に配信されました。小杉記者は、ガンバが吹田サッカースタジアムで勝ち切れずにいる原因の一つとして、芝生の状態を明確に指摘しています。
欧州のスタジアムと異なり、日本のグラウンドでは夏芝と冬芝を季節ごとにオーバーシーディングする管理方式が一般的です。記事では、2017年シーズンの夏芝が育たなかった理由として、冬芝から夏芝への切り替え、つまりトランジションが失敗した点を挙げました。シーズン終了後の冬期に開催されたクラブW杯と天皇杯決勝の影響があったとみられます。
専門用語をほとんど使わずに、オーバーシーディングという芝生管理の要点をここまで正確に伝えたスポーツ記事は珍しいものです。



オーバーシーディングとトランジションの基礎知識
日刊スポーツの記事を正しく理解するには、まず「オーバーシーディング」と「トランジション」という2つの用語を整理しておく必要があります。どちらもサッカーファンにはあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、芝生管理の現場では基本中の基本です。
オーバーシーディングとは、暑さに強い夏芝(暖地型芝)の上に、寒さに強い冬芝(寒地型芝)の種をまき、年間を通じて緑を保つ管理方法です。トランジションは、その夏芝と冬芝を季節に応じて主役交代させる作業を指します。日本のスタジアムでは、この切り替えのタイミングが芝の見栄えを大きく左右します。
欧州の多くのスタジアムは冷涼な気候のため、冬芝一種類で年間を通じて管理できます。一方、夏の高温多湿と冬の低温という気候差が大きい日本では、夏芝だけでは冬に枯れ、冬芝だけでは夏の暑さに耐えられません。季節に応じた切り替えが必要になるのは、こうした気候上の事情によるものです。
オーバーシーディングに潜むリスク
オーバーシーディングには、通年で緑を保てるという明確な利点があります。ただ、その裏側には見過ごされがちなリスクも存在します。
- 冬場も緑の芝を保てるため、シーズンを通じて美しいピッチを維持できる
- オフシーズンに大会やイベントを開催しやすくなる
- 冬芝の播種や生育を優先させると、夏芝への切り替えが後ろ倒しになる
- 切り替えが遅れると夏芝の勢いが落ち、翌シーズンのピッチ状態に響く
- 芝の劣化が進んだ場合、全面張り替えに数千万円規模のコストがかかる
よくあるパターンは、オフシーズンに大きな大会が開催されたためにトランジションを遅らせ、その結果夏芝の勢いが失われ、全面芝張り替えが必要になるという流れです。
実際、ラグビーの聖地“秩父宮ラグビー場”の芝生管理でも、2010年6月に秩父宮ラグビー場が芝張替え工事に踏み切っています。その原因は、2009年6月に開催された「ジュニアワールドカップラグビー」に合わせてトランジションを遅らせたことにあるとされています。



オフシーズンの大会開催は、翌シーズンの芝の状態に想像以上の影響を及ぼすことがあります。
本当にトランジション失敗が原因だったのか
ここで一つ、疑問が残ります。クラブW杯は2016年12月17日、天皇杯決勝は2017年1月1日に開催されました。いずれも夏芝が休眠している時期であり、オーバーシーディング自体には直接影響しないようにも思えるのです。
吹田サッカースタジアムの夏芝がバミューダグラスかティフトンかは断定できませんが、暖地型芝草は15度前後で生育を始め、25度から35度で最も盛んに育ちます。大阪の気候であれば、冬芝から夏芝へのトランジションは4月から6月に行うのが通例で、時期的な余裕は十分あるはずです。



| 芝の種類 | 特徴 | オーバーシーディングでの採用 |
|---|---|---|
| ティフトン | 繁殖力が強く、冬芝との競合に耐えやすい | 採用されやすい |
| コウライシバ | 家庭でも一般的だが、春の芽生えが遅い | 採用されにくい |
もう一つ考えられる要因があります。吹田サッカースタジアムがオープンしたのは2016年シーズンで、夏芝としては1シーズン目に過ぎませんでした。2016年シーズンの夏芝も状態が良くなかったと聞いており、その影響が翌春に持ち越された可能性は十分にあるでしょう。
新しい施設では、芝生管理の方法そのものが試行錯誤の段階にあるはずです。数シーズンは経過を見守る姿勢が必要かもしれません。
冬芝から夏芝への切り替えの流れ
一般的なトランジションは、次のような段取りで進められます。オフシーズンの大会日程によって、この流れが後ろにずれるほど、夏芝への影響が大きくなる点がポイントです。
4月頃から冬芝の生育を抑え、地面に日光と熱が届きやすい状態を作ります。
気温の上昇に合わせて夏芝の生育を後押しし、根の張りを強くします。
6月頃までに夏芝がピッチの大部分を覆うようにし、シーズン本番に備えます。
写真で見る吹田サッカースタジアムの芝の変化
ガンバの吹田移転後、最初のシーズンとなった2016年5月。この時期の投稿釣りの予定が狙ってる魚がまだ沖にいるため断念、、、 久しぶりのサッカー観戦✨やっばー! #魚がいない#泣く泣く釣り中止#魚が寄ってこないらしい#初めての吹田スタジアム#ガンバ大阪を見ると、5月ながら夏芝への切り替えが進み、きれいな緑を保っている様子が伝わってきます。 森本将也さんの記録です。
2017年5月の投稿2017.05.05 ★ ★ 初めての吹田スタジアム。 相手に先制されたのも、ガンバのゴールも 授乳室のテレビモニターで見るというオチ… みんなと喜びのハイタッチしたかったなぁ。 冷房きいてたから授乳室の方が快適やったけど。 サポーターのチャントやらすんごい歓声の中で 子どもたちは爆睡。 どこでも寝れるタイプかーい。 試合結果は引き分けでした。 ★ #ガンバ大阪 #ガンバ大阪vs清水エスパルス #吹田スタジアム #初めての吹田スタジアム #サッカー観戦 #ガンバサポーターでも、ピッチ全面がきれいな芝で覆われています。 yumikoさんが撮影したこの時期は、まだ大きな問題は見られませんでした。
夏場は毎日の西洋芝の水やりが欠かせません。試合前に散水する様子を写した投稿試合開始間近✨ 盛り上がってきた😃 #ガンバ大阪 #吹田スタジアム #絶対勝利( ⚽️ゆう⚽️さん)からも、スプリンクラーを使った散水管理の様子がうかがえます。
しかし、2017年11月のシーズン最終戦を記録した投稿うぃーあーさっぽろぉー! * 今年最後の遠征!! 今年3回目の大阪!!笑 前入りして たこ焼き4軒はしごしてたら 海遊館行くの遅くなった結果、 真っ暗でほとんど見えない。笑 ジンベイさんは美ら海より 大きかったし見やすかった☺️💕 * イナさんユニ着てたら ガンバサポさんに話しかけられて 熱く語り合った。笑 お互い、 イナさんをこれからも宜しくお願いします。 って言って別れたけど、愛されすぎ😭 こなっちゃんにも会えたし、 吹田スタ最高すぎ😭💕 今年イチバン楽しい遠征でした🙇 * さて年末どう過ごすか考えないと。 仕事の整理もしたいしな。 確定申告もやらなきゃ、忙しい。 年始は初サッポロ行きます✈︎💫 * #遠征 #コンサドーレ札幌 #大阪 #吹田スタジアム #最高 #海遊館 #暗くなる前がおすすめ #たこ焼きNo1は大阪で1番おいしいなんとか #夜はみんなでプリクラ撮ったり #笑いすぎて腰痛 #楽しかったのも束の間 #あと2日で仕事さばかないとやばめ #お疲れ様でしたでは、サイドの芝が薄くなっている様子が確認できます。撮影者は@ saya.555zさんです。同じ月に撮影された別の投稿#吹田スタジアムは、すでに冬芝に切り替わったピッチの様子を伝えており、スタジアムツアーで芝の近くまで入れたことがわかります。撮影は Chie Hisadaさんによるものです。
これらの投稿を時系列に整理すると、状態の変化がより見えやすくなります。
| 時期 | 芝の状態 | 補足 |
|---|---|---|
| 2016年5月 | 良好 | 吹田移転後、夏芝への切り替え期 |
| 2017年5月 | 良好 | ピッチ全面がきれいな状態 |
| 2017年10月末 | まばら | ゴール前の荒れが目立つ |
| 2017年11月 | やや薄い | サイドの芝の減少が確認できる |
| 2017年12月 | 冬芝へ移行 | スタジアムツアーで近距離観察が可能に |
春先の状態が良好だったにもかかわらず、シーズン後半にかけて夏芝が薄くなっていった経緯は、日刊スポーツが指摘したトランジションの遅れという説明と整合します。
吹田サッカースタジアムの芝の不調は、単なる管理不足ではなく、オフシーズンの大会開催に伴うトランジションの遅れが背景にあった可能性が高いといえます。加えて、施設の新しさゆえの試行錯誤も影響したと考えられます。芝生管理は1年で完成するものではなく、数シーズンをかけて土台が整っていくものです。
よくある質問
- オーバーシーディングとは何ですか。
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暑さに強い夏芝の上に、寒さに強い冬芝の種をまき、年間を通じて緑を保つ芝生管理の方法です。日本の多くのサッカースタジアムやラグビー場で採用されています。
- トランジションとはどのような作業ですか。
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季節に応じて夏芝と冬芝の主役を切り替える作業です。日本の気候では、春に冬芝から夏芝へ、秋に夏芝から冬芝へ切り替えるのが一般的な流れとなっています。
- 吹田サッカースタジアムの芝はいつ悪化していましたか。
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2017年5月時点では良好な状態でしたが、同年10月末から11月にかけてゴール前やサイドの芝が薄くなっていく様子が確認されています。日刊スポーツの報道によると、この年の夏芝への切り替えがうまく進まなかったとされています。
- ティフトンとコウライシバの違いは何ですか。
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ティフトンは繁殖力が強く、冬芝との競合に耐えやすいため、オーバーシーディングを行うスタジアムで採用されやすい芝草です。一方、家庭で一般的なコウライシバは春の芽生えが遅く、冬芝に負けやすいため、こうした施設ではあまり使われません。
- 芝生の全面張り替えにはどれくらいの費用がかかりますか。
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施設の規模や工事内容によって差はありますが、スタジアム規模の全面張り替えでは数千万円規模の費用がかかるケースがあります。秩父宮ラグビー場でも、トランジションの遅れが原因で大規模な張替え工事が必要になった例が報告されています。









