最新記事

【鹿島】カシマスタジアムの芝を5年ぶり張り替え通年緑化&芝生管理ビジネスに乗り出す

茨城県立カシマサッカースタジアム

Jリーグの競合鹿島アントラーズの本拠地「カシマスタジアム」が5年ぶりに芝生を全面張り替え、サッカースタジアムとしては世界初となる「シーショア・パスパラム改良型」という芝の新品種を採用しました。夏芝のみの通年常緑化でカシマスタジアムの稼働率向上、芝生管理ノウハウの事業化も計画しています。

追記:カシスタの芝生管理事業「ターフプロジェクト」の実際

Numberにカシスタの芝生プロジェクトに関する記事が出たので追記。

カシマスタジアムで芝の常緑化とスタジアム稼働率向上を目的として芝生の新品種を採用した件について。カシマスタジアムの芝生を管理しているIGM株式会社社長のインタビューが載っています。IGMは県立カシマサッカースタジアムの他、九州の鳥栖スタジアム・北海道の白い恋人サッカースタジアムの芝管理も担当。

「芝は生き物です。常に最高の状態で試合を迎えられるように、手入れは日々の観察が最も大切になります。試合前後の修復作業は欠かせません。サッカーにおいて、ゴール前が一番傷みやすく、良い状態を維持することは難しい。そこで素早い張り替えができれば、次の試合で何事もなく試合ができるようになるんです」
鹿島復権への相棒は最強の芝生。構想6年、ターフプロジェクトって? – Jリーグ – Number Web 2018.3.8

とあり短期間で芝生を張り替える技術を重視しています。プレスリリースでもビッグロール工法に触れていましたね。今まではシーズンが始まったら「芝生の品質をいかに維持するか」だったのに対し「傷んだら取り替える」という発想の転換がありました。生長がおう盛な夏場なら養生1週間で使用可能ということで次の試合までに張り替えられるようになりました。
–追記終わり–

カシマサッカースタジアム、2018年に芝生の全面張り替え実施

カシマスタジアムは2018年3月2日、茨城県立カシマサッカースタジアムで今季から芝生の新品種を採用したと発表。新品種によりピッチの通年利用が可能になりサッカーおよび各種イベントなどスタジアムの活用が進むことが期待されています。また「ターフプロジェクト」を通じて新品種のメンテナンス手法の開発を行い他のスタジアムや施設への展開も目指します。

カシマスタジアムでの芝の全面張り替えは2013年以来、5年ぶり。これまでは冬芝(寒地型)の品種を採用してきたが、初めて夏芝(暖地型)品種の採用に踏み切った。夏芝は暑さに強く、近年の気温上昇にも対応。冬に茶色化してしまう欠点は、芝本来の耐久性や独自開発された保温シート、ビッグロール工法と呼ばれる巻き取り式の定期的な張り替えで対応が可能だという。
【鹿島】本拠地で“芝革命”5年ぶり全面張り替えで世界初の品種採用、通年常緑化が可能に : スポーツ報知 2018.03.02

カシマスタジアム

Jリーグ 鹿島アントラーズのホーム開幕戦でカシマスタジアムの芝生をチェック!!

2018年3月3日は鹿島アントラーズvsガンバ大阪のホーム開幕戦。芝生が張り替えられたカシマサッカースタジアムを訪れました。選手も躊躇なくダッシュや競り合いしており、試合後も土のえぐれなども見られず芝生の状態は良好に見えました。以下新しい芝生管理についてポイントを見ていきます。

▼試合開始前のカシマスタジアムの芝生
一部芝生の色が薄い箇所ありますが緑色は濃く以前のケンタッキーブルーグラス並。
カシマサッカースタジアムの芝生
一部で「ビッグロール工法」が目新しいような報道を見かけましたがビッグロール工法自体は従来からあります。カシマスタジアムでは長さ7m幅1mのロール芝を使い10日で張替えを終了、6週間で芝の全面張り替えと養生を終えていて他事例では3ヶ月は養生にかかるのでビッグロール工法の優位性が出ています。近くに芝生を育てる圃場(ほじょう)があって随時傷んだ箇所を入れ替えられるようにするそうです。

鹿島サッカースタジアム

またコウライシバなど夏芝は冬枯れしますが保温性や通気性に優れた保温シート長さ79m幅24mを全面に被せる養生システムを開発。環境と合わせ芝の新品種「シーショア・パスパラム改良型」の“改良”は耐寒性あるいは緑色の保持期間が長くなる改良と推測します。夏芝一本で通年緑化できればオーバーシーディングすると春秋に必要な養生期間が短縮されスタジアムの稼働率を上げられそうです。

▼ハーフタイムに芝を見回っているグラウンドキーパーさん
グラウンドキーパー

スポーツ競技場の芝生通年常緑化手法

今回鹿島が採用した「暖地型芝草=」で通年常緑化、は国内でも珍しい手法です。参考として他のスポーツ競技場の芝生管理手法について説明します。

関東以西では夏の暑さで寒地型芝草=冬芝が傷んでしまうため旧国立競技場のように夏と冬でメインの芝を入れ替えて常緑を維持するウィンターオーバーシーディングという手法が一般的です。その場合夏芝は暖地型芝草で西洋芝のティフトン、冬芝には寒地型芝草の西洋芝ペレニアルライグラスという組み合わせがよく使われます。

冷涼地や北海道など夏の暑さが厳しくない気候では、旧カシマスタジアムのようにケンタッキーブルーグラスなど寒地型西洋芝=冬芝をメインに数種混ぜる通年常緑が可能です。また日本より寒い欧州や日照環境が悪いスタジアムでは神戸ノエスタのように天然芝を繊維で補強する“ハイブリッド芝”の採用も進んでいます。“ハイブリッド芝”は99%天然芝なのに耐久性が増すことから各種競技団体でも認可されています。

ノエスタ神戸で初採用!天然芝を繊維で補強した“ハイブリッド芝”で耐久性が上がる?

2018.01.12

カシマスタジアムの従来の芝生管理

鹿嶋市は太平洋の鹿島灘に近く、夏は暑く冬は海風が吹き込み寒い環境。従来カシマスタジアムは通年寒地型芝草=冬芝の西洋芝でしたが鹿嶋市の8月平均気温は25度、真夏日が続く冬芝には厳しい環境です。今回カシマスタジアムは通年寒地型西洋芝=冬芝でも、夏芝と冬芝を切り替えるオーバーシーディングでもない第三の道「暖地型西洋芝=夏芝で通年常緑化」を目指します。

同スタジアムの芝種は、塩害や夏の猛暑なども考慮し、寒地型のケンタッキーブルーグラスを主体にテキサスブルーグラスを混合し採用。目配りの効いた手入れによって、年間を通し鮮やかな“緑のじゅうたん”を実現している。
【茨城新聞】カシマスタジアム芝管理スタッフ 願い込め、丹念に整備 2017.11.26

▼カシマサッカースタジアム上層からの風景。練習場、灯台の向こうが海。
鹿島灘

NHK報によると2020年の東京オリンピックでサッカーの競技場に予定されていて「オリンピックで短かい期間に繰り返し試合が行われる場合もピッチをよい状態に保てる」とのことです。仮に夏を乗り切っても芝の回復が間に合わず秋以降の使用に差し支えることが予想されるので夏の回復力に優れる夏芝メインにしてしまいましょう、ということですね。
東京五輪へ暑さに強い芝 J1鹿島が開発 | NHKニュース 2018.03.02

冬でも常緑!芝生にオーバーシードする方法

2017.11.22

芝の新品種「シーショア・パスパラム改良型」とは

芝生の品種「シーショア・パスパラム(Seashore paspalum)」は西洋芝の一種で南アフリカ原産のイネ科スズメノヒエ属の暖地型芝草。「シーショア・パスパラム」の特徴は好塩性と言っても良いほど耐塩性が高くハワイやグアム、沖縄などのゴルフ場、スポーツターフの実績があります。芝質はコウライシバやバミューダグラスより茎葉が柔らかい、芝が直立するので芝目が出にくいそうです。

また吹田スタジアムのように新スタジアムあるいは全面張り替えした初年度は芝が剥がれやすいなど状態が悪い場合もあり今後の変化に注目していきたいと思います。

2017年の吹田サッカースタジアムの芝状態を解説した良記事

2017.12.26