ガンバ大阪の本拠地、吹田サッカースタジアムの芝が2017年の夏に良くなかった原因について日刊スポーツ新聞社の報道が良かったので紹介。日刊スポーツのサッカー担当・小杉舞さんによるものでクラブW杯と天皇杯決勝のため冬芝から夏芝へのトランジションに失敗したのが原因としています。
G大阪、本拠で苦戦の理由は持ち味殺す「芝生問題」 – サッカー現場発 – サッカーコラム : 日刊スポーツが該当記事で2017年8月22日の報道です。
小杉記者はガンバが本拠地吹田サッカースタジアムで勝てず苦境に陥っているとし、その原因の一つは明らかに芝生だと指摘。
欧州と異なり日本では夏芝と冬芝、季節でメインの芝生を切り替えるオーバーシーディングしていることに触れた上で今シーズンの夏芝が育たなかったのは冬芝から夏芝への切り替え=トランジションに失敗し夏芝が育たなかったからだとしています。シーズン終了後の冬期に行われたクラブW杯と天皇杯決勝の影響があったようです。
欧州のスタジアムとの違い、夏芝と冬芝、専門用語は使っていないもののオーバーシーディングなど芝生管理についてこれだけきちんと触れている記事は珍しいです。
▼2017年10末の吹田サッカースタジアム。ゴール前は荒れやすいエリアですが芝がまばらな様子
オーバーシーディングのリスク
オーバーシーディングには通年常緑のメリットがありますがデメリットとしては夏芝の勢いが無くなってくることが挙げられます。よくあるのはオフシーズンに開催された大会のためトランジションを遅らせる → 夏芝の勢いが無くなり数千万円かけて全面芝張り替えが必要に、のパターンです。
例えばラグビーの聖地“秩父宮ラグビー場”の芝生管理でも2010年6月に秩父宮ラグビー場 芝張替え工事実施する必要が出たのは2009年6月に行われた「ジュニアワールドカップラグビー」のためトランジションを遅らせたからとされています。
本当にオーバーシーディングのトランジション原因なのか
クラブW杯は12/17、天皇杯決勝は2017/1/1で夏芝の休眠期なのでオーバーシーディングに影響ない気もしています。
吹田サッカースタジアムの夏芝がバミューダグラス/ティフトンどちらかわかりませんが私の理解では夏芝=暖地型芝草は15度から生育を開始し25-35度くらいで盛んに生育する芝草です。大阪の気候では冬芝から夏芝への切り替え=トランジションは4〜6月ですから十分余裕があります。
▼テフィフトンは国立競技場でも使われいてた繁殖力旺盛な芝草。オーバーシーディングするスポーツ競技場では家庭で一般的なコウライシバは春の芽生えで冬芝に負けてしまうので使われません。
一つ考えられるのは吹田サッカースタジアムのオープンが2016年シーズンで夏芝としては1シーズン目なんですね。2016年シーズンも夏芝の状態は良くなかったと聞いていますので翌春に影響していそうです。いずれにしても新しい施設で芝生管理も試行錯誤があると思いますので数シーズンは見守ってほしいと思います。
吹田スタジアムの芝生watching
ガンバの吹田移転後最初のシーズンとなる2016年5月。きれいな芝に見えます。5月なので夏芝に切り替わりつつある所。
2017年5月。全面きれいな芝に見えます。
試合前にピッチに水をまいています。夏は毎日必要な西洋芝の水やりにはスプリンクラーが便利。
2017年11月シーズン最終戦。サイドの芝は薄くなっているようです。
2017年12月。この時期はもう冬芝です。スタジアムツアーで芝の近くに入れたようです。