12月に入ると、庭や公園の芝生の表情ははっきりと変わる。コウライシバは休眠期に入り地上部の枯れが目立ち始め、西洋芝も生育のペースが落ちて葉の色が少しくすんでくる。この時期に必要な手入れは決して多くないが、やっておくべき作業を見落とすと翌春の管理が余計に手間取ることもある。
本記事では、12月の気候変化がコウライシバと西洋芝それぞれにどう影響するかを整理し、必要な作業と不要な作業を分けて紹介する。11月・1月との違いも合わせて確認できるので、年間の管理計画を立てる参考にしてほしい。
芝生の管理は土地の気候によって変わる。本記事では暖地型芝草の代表であるコウライシバ(高麗芝)と、寒地型芝草の代表である西洋芝を対象に、関東以西のエリアを想定して解説する。
12月、芝生はどう変わる?気温と休眠のしくみ
関東では、12月の平均気温はおおむね10度から5度に向けて下がっていく。コウライシバは気温が15度を下回ると休眠に入り、地上部が枯れ始める。日当たりの良い場所では緑が残るものの、庭全体では枯れ葉色の面積が徐々に増えていく時期だ。
一方、寒地型芝草の西洋芝はコウライシバより寒さに強く、5度以上であれば生育を続ける。ただし秋に盛んだった生長は鈍り、緑は保たれても色の鮮やかさは少しずつくすんでくる。実際、コウライシバと西洋芝が混在する公園を12月上旬に見ると、コウライシバが枯れ始める中で西洋芝だけが鮮やかな緑色を保っている光景がよく見られる。12月の新宿御苑の芝生でも、同じように西洋芝の緑が目を引く。
朝晩の冷え込みが強い日は霜が降りやすく、霜焼けによる変色が起きることがある。急な変色を見つけても、病気とあわてて判断せず、まずは気温と霜の状況を確認したい。
| 芝草の種類 | 12月の状態 | この時期の主な作業 |
|---|---|---|
| コウライシバ(暖地型) | 休眠期に入り地上部が枯れ始める | 冬雑草の除草 |
| 西洋芝(寒地型) | 生育は鈍るが緑は保つ | 施肥、乾燥時の水やり |
コウライシバ(暖地型芝草)の12月の手入れ
コウライシバは休眠期に入っているため、12月に必要な作業は限られる。ただ、何もしなくていいわけではなく、この時期にやっておくと翌春の管理が楽になる作業もある。芝刈りや水やりが不要な理由と、今のうちに済ませたい雑草対策を分けて確認しておこう。
芝刈り・水やり・病害虫駆除・施肥はすべて不要
休眠中のコウライシバは生長がほぼ止まっているため、芝刈り、水やり、病害虫駆除、施肥のいずれもおこなう必要はない。地上部が枯れ色になるのは正常な変化であり、根が枯れているわけではない。
芝張り・種まきは春まで待つ
暖地型芝草の発芽適温は20度前後、生育適温は25度から35度とされる。12月の気温はこの範囲から大きく外れるため、芝張りや種まきをおこなっても根付きにくい。焦らず春の適期まで待ちたい。
冬雑草の除草が翌春を楽にする
スズメノカタビラなど、秋から冬にかけて発生する雑草はこの時期に取り除いておくと、翌春の除草作業がぐっと少なくなる。休眠中のコウライシバは草丈が低く、雑草が目立ちやすいので見つけやすい時期でもある。個別の対策については芝生の雑草(種類と写真、対策)も参考にしてほしい。
- スズメノカタビラなど冬雑草は根が浅いうちに引き抜く
- コウライシバが休眠中は雑草の見分けがつきやすい
- 種を落とす前に処理すると翌春の発生を抑えられる
芝刈り、水やり、病害虫駆除、施肥、芝張り、種まきはすべて不要。おこなうべきは冬雑草の除草のみで、他の作業は春を待てばよい。
西洋芝(寒地型芝草)の12月の手入れ管理
西洋芝はコウライシバより寒さに強く、12月も緑を保ったまま生育を続ける。とはいえ秋のような盛んな生長は望めず、必要な作業も少なくなる。芝刈りや病害虫駆除は基本的に不要だが、施肥だけはこの時期にも続けておきたい作業だ。
芝刈り・病害虫駆除は不要、水やりは乾燥時のみ
生育が鈍っているため、芝刈りや病害虫駆除は基本的におこなわなくてよい。水やりも通常は不要だが、乾燥した日が続く場合は葉が乾いてしまうため、様子を見て注水する。
施肥は化成肥料20g/平方メートルが目安
西洋芝は12月もゆるやかに生育を続けているため、化成肥料を1平方メートルあたり20g程度施す。秋のような多めの施肥ではなく、生育ペースに合わせた控えめな量にとどめておく。
芝張り・種まきは春まで待機
寒地型芝草の発芽適温は15度前後、生育適温は15度から25度とされる。12月の気温はこの範囲を下回るため、芝張りや種まきをおこなっても十分に根付かない。コウライシバと同様、春の適期を待ちたい。
必要な作業は施肥のみ。乾燥時の水やりを忘れず、芝刈りや芝張りは焦らず春まで待つのが基本だ。



11月・1月と比べてわかる12月の芝生管理
12月だけを見ていると、作業の少なさに戸惑うかもしれない。前後の月と比べると、この時期の位置づけがはっきりしてくる。
11月は、コウライシバが秋の穂を出した後、低温による休眠に入り始める移行期だ。西洋芝はまだ生育が盛んで、この時期が実質的な最盛期といえる。寒さが本格化する1月になると、コウライシバも西洋芝も生育がほぼ止まり、大きな手入れは必要なくなる。草取りや芝踏み、落ち葉拾いといった環境整備が中心になる。
| 月 | コウライシバの状態 | 西洋芝の状態 | 主な作業 |
|---|---|---|---|
| 11月 | 休眠への移行期 | 生育の最盛期 | 西洋芝の施肥、環境整備 |
| 12月 | 休眠期・地上部が枯れる | 生育は鈍るが緑を保つ | 冬雑草の除草、西洋芝の施肥 |
| 1月 | 休眠中で生育停止 | 生育停止に近い | 草取り、芝踏み、落ち葉拾い |
こうして並べると、12月は「西洋芝の施肥」と「冬雑草の除草」という2つの作業だけをこなせば十分な、比較的落ち着いた時期だとわかる。






よくある質問
- 12月に芝生の水やりは必要ですか?
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コウライシバは休眠中のため水やりは不要です。西洋芝は基本的に不要ですが、乾燥した日が続く場合は様子を見て注水してください。
- コウライシバが茶色く枯れてきましたが大丈夫でしょうか?
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気温が15度を下回ると休眠に入り、地上部が枯れ色になるのは自然な変化です。根は生きているため、春になれば新しい芽が出てきます。
- 西洋芝の施肥はいつまで続ければいいですか?
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12月時点では化成肥料を1平方メートルあたり20g程度施すのが目安です。気温がさらに下がり生育が完全に止まる時期には施肥を控えます。
- 12月に芝張りや種まきをしてはいけないのはなぜですか?
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コウライシバの発芽適温は20度前後、西洋芝は15度前後です。12月の気温はいずれの適温より低いため、根付きにくく生育不良につながりやすいからです。
- 冬の雑草はどう対処すればいいですか?
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スズメノカタビラなど秋冬に発生する雑草は、根が浅いうちに引き抜くのが基本です。コウライシバの休眠中は草丈が低く見分けやすいので、この時期に処理しておくと翌春の除草が楽になります。
まとめ
12月の芝生管理は、コウライシバも西洋芝も大がかりな作業を必要としない、いわば小休止の時期だ。だからこそ、冬雑草の除草と西洋芝の施肥という限られた作業を確実にこなしておくことが、翌春の芝生の状態を左右する。
コウライシバは冬雑草の除草のみ。西洋芝は化成肥料20g/平方メートルの施肥と、乾燥時の水やりを忘れずに。芝刈り、病害虫駆除、芝張り、種まきはいずれの芝草も春まで見送ってよい。






