池袋駅東口からグリーン大通りを歩いて5分。一本裏の通りに入ると、手入れの行き届いた芝生とカフェレストランが広がる公園がある。南池袋公園だ。冬でも芝生が青々としているのを見て、なぜここまで手入れが行き届いているのか気になった人も多いのではないだろうか。
公園の芝生って夏には青くて冬は枯れるイメージだったんですが、南池袋公園はなぜ一年中緑なんですか。




夏用と冬用の芝を植え替える「オーバーシード」という管理と、行政・企業・住民が連携した運営の仕組みが背景にあります。南池袋公園は2016年のリニューアル以降、この二つを軸に一年中緑を保っています。
本記事では、南池袋公園がどのような経緯でリニューアルされ、常緑の芝生広場をどう維持しているのかを整理する。東京都内の広域な公園情報は東京都内の芝生がある公園(ピクニック・子連れ) も参考になる。
南池袋公園はなぜ「都会のオアシス」と呼ばれるのか
南池袋公園の芝生広場は明るく開放的で、無料Wi-Fiも整備されている。芝生に面してカフェレストラン「Racines FARM to PARK」が併設され、公園内で食事や休憩ができる点が大きな特徴だ。上野公園にスターバックスが出店しているように、公園内に飲食店を誘致して収益源とする手法が近年の都市公園再生の潮流になっている。
夏場には芝生に面してBBQやビアガーデンを楽しめるプランも用意されている。池袋のビアガーデンは駅ビルや百貨店が多いエリアのため、緑地でビアガーデンができる南池袋公園のような場所は貴重な存在だ。にぎわいの拠点として評価する声も少なくない。間違いない!池袋の人気ビアガーデン2017ランキング
南池袋公園は、代々木公園や新宿中央公園と比べても芝生の質の良さがはっきり分かるほど手入れが行き届いている。カフェ併設と常緑の芝生という組み合わせが、都心の公園にはめずらしい落ち着いた滞在体験を生んでいる。
- 池袋駅東口から徒歩5分というアクセスの良さ
- 公園内全域で使える無料Wi-Fi
- 芝生に面したカフェレストランでの食事や休憩
- 夏季に開催されるBBQ・ビアガーデンプラン
リニューアルオープンの記録に残る当日の光景
南池袋公園のリニューアルオープン当日の様子を収めた動画「MINAMI IKEBUKURO PARK opening movie」が、Minami Ikebukuro PARKによってVimeo上に公開されている。動画に添えられたコメントには、次のような紹介文がある。
未来の理想の日常を詰め込んだ、南池袋公園のリニューアルオープンの日のムービー。なんだかとても新しい光景のようで、どこか懐かしさを感じる。このムービーには、そんな「懐かしい未来」がおさめられている。ぜひ当日の空気感をムービーから感じてほしい。
2018年1月23日から24日にかけては、東京が4年ぶりの大雪に見舞われた。積雪の中でも冬芝が枯れずに残っていた様子が確認できる時期であり、常緑管理の成果が視覚的にも分かりやすく表れた出来事だった。
南池袋公園がリニューアルされた経緯
かつての南池袋公園は財政難で噴水の修理もままならず、ホームレスが集まる公園としてメディアに取り上げられることもあった。この公園が劇的に変わった背景には、豊島区の都市再開発の流れが関係している。
豊島区では老朽化した区役所の建て替えが2015年に完了し、旧庁舎跡地の再開発も進められた。この建て替えは、全国初となる民間高層マンションとの一体型再開発事業として話題になった案件だ。再開発の機運が高まるなか、2007年ごろに東京電力から南池袋公園の地下へ変電設備を設置したいという話が持ち込まれたと伝えられている。この時期については資料によって記載が異なるため、詳細は公式情報で確認してほしい。
さらに、地下駐輪場を整備すればグリーン大通り沿いの路上駐輪も解消できる。イメージの悪かった公園の再整備、放置自転車の解消、東京電力の変電設備用地確保という3つの課題が同時に解決できる見通しが立ったことで、話は具体化していった。
3つの課題がどう解決されたか
| 関係者 | 抱えていた課題 | リニューアルによる解決 |
|---|---|---|
| 豊島区 | 公園の老朽化とイメージ悪化 | 財政負担を抑えつつ全面改修を実現 |
| 地域住民・自転車利用者 | グリーン大通り沿いの路上駐輪 | 地下駐輪場の整備で解消 |
| 東京電力 | 変電設備の用地確保 | 公園地下に設備を設置 |
豊島区単体では財政的に難しかった整備も、東京電力の負担を組み込むことで前向きな提案ができるようになった。この座組みが、南池袋公園再生の出発点になっている。
公園のコンセプト作りは当初難航したという。転機になったのは2011年の東日本大震災だ。震災を経て「都市のリビング」というコンセプトが固まり、災害時には炊き出し支援の場となり、平常時はにぎわいの核となるカフェレストランを併設する構想が練られた。カフェの売上の一部を「地域貢献費」として公園運営に充てる仕組みも、このとき考案されたものだ。
南池袋公園は、日常的に人々が憩える空間整備に加え、災害時に懸念される帰宅困難者対策を担う機能を備える。グリーン大通りや公園、道路の各施設は都市空間としての有機的な連続性が不足している。南池袋公園の全面改修にあわせ、区道のリニューアルなどにより、緑の連続性を高めることが必要である。
豊島区の「現庁舎周辺まちづくりビジョン」にはこうした方向性がまとめられており、公園単体の改修ではなく、周辺道路も含めた地域全体の緑化構想として位置づけられていたことがわかる。
行政単独の予算では難しかった全面改修を、企業の設備需要とうまく結びつけ、震災後の防災意識を取り込んでコンセプトを固めた点が、南池袋公園再生の要になっている。
一年中青い芝生はどうやって管理されているのか
代々木公園より敷地は小さいとはいえ、一年中手入れされた芝生を維持するのは簡単ではない。南池袋公園では、カフェレストランや地下設備からの収益を管理財源に組み込み、西武造園が維持管理を担っている体制になっている。
芝生を市民に開放すると、どうしても踏圧で傷みやすくなる。オーバーシーディングで夏芝と冬芝を切り替える期間は養生が必要になり、立ち入り禁止への不満も出やすい。南池袋公園では、芝生を身近に感じてもらうためのコミュニケーションを重ねることで、この課題に向き合ってきた。
養生期間の立ち入り制限をどう伝えたか
オープン直後、芝生はすぐに養生に入り立ち入り禁止になったという。当初はロープと警備員での監視だけだったため、子どもたちが気軽に入れず「誰のための公園なのか」という声も出ていた。この状況を変えたのが、運営担当者と管理事業者による伝え方の工夫だ。
オープン後すぐに芝生が養生され、立ち入り禁止になってしまった。最初は芝生の周りにロープが張られ、警備員が監視していたが、そうすると「子どもたちも気軽に入れないし、誰のための公園なんだろうね」という声も聞かれた。そこで、芝生の管理を手掛ける事業者と協力して、コミュニケーションの仕方を変えた。冬の養生をするときは、「皆さんが衣替えするように芝生も衣替えを始めて、また青い芝生になるので、応援していてください」というメッセージをFacebookで出したり、公園内にコミュニケーションボードをつくって芝生について伝えたりした。公園や道路が“まちのリビング”に!南池袋公園の「nest marche」は誰もがくつろげるマルシェ – ご近所未来ラボ by ご近所SNSマチマチ
「芝生を守る」という役割を運営面から担うのは、「よくする会」である。学識経験者の立場で会長を務める平賀氏は「芝生のことを紙芝居形式で紹介する『芝生教室』を開催したり、主催した『秋サンマ祭り』では募金を呼び掛けたりするなど、芝生広場の管理に理解を求める活動を展開してきた」と話す。都市公園が、まちづくりの起点に (2ページ目) | 未来コトハジメ
- Facebookでの養生開始・終了のお知らせ
- 公園内コミュニケーションボードでの経過報告
- 紙芝居形式の「芝生教室」開催
- 秋サンマ祭りなど地域行事を通じた理解促進
2018年4月には、こうした芝生コミュニケーションの実例がさらに伝えられている。「利用禁止です」だけで済ませない丁寧な案内内容には感心させられる。オーバーシードでは、冬芝を元気づけすぎないよう春の施肥を抑える管理が一般的だが、南池袋公園は利用頻度が高く芝が傷みやすいため、冬芝の再生を促す意図があるとみられる。4月後半には夕方ごろに土を入れ、種まきをおこなうという案内もあり、これは夏芝を植える作業を指していると考えられる。
https://www.instagram.com/p/BhDHw4Gh9z9/夏芝ティフトンと冬芝ライグラスによるオーバーシード管理
南池袋公園で使われている芝の品種について、運営側からの公式な発表は見当たらなかった。ただ、芝管理を実務として手がけている方の見立てでは、夏芝にティフトン、冬芝にペレニアルライグラスが使われているとされる。夏と冬でメインの芝を入れ替えるオーバーシードでは、よく採用される組み合わせだ。



一般的な夏芝・冬芝の特徴
オーバーシードで用いられる夏芝と冬芝には、それぞれ異なる特性がある。南池袋公園に限らず、多くの公園やスポーツ施設で参考にされている一般的な特徴を以下に整理する。
| 芝の種類 | 活動時期 | 一般的な特徴 |
|---|---|---|
| ティフトン(夏芝の一種) | 初夏から秋 | 暑さに強く、踏圧への耐性も比較的高いとされる |
| ペレニアルライグラス(冬芝の一種) | 秋から春 | 発芽が早く冬場の緑を保ちやすいが、暑さには弱いとされる |
夏芝への更新期は、冬芝が暑さで枯れるタイミングと重なりやすい。実際に公園を訪れた芝管理の実務者からは、次のような報告もある。
久々に訪れた南池袋公園、夏芝への更新のため養生していました。管理頻度が少ないのでしょうか、ティフトンが徒長していました。冬芝のライグラスは暑さで枯れています。pic.twitter.com/UaXw8IyDXZ
machinaka-shibafu氏の投稿(2016年8月7日)より
徒長や暑さによる枯れは、オーバーシードの切り替え期にはよく見られる現象だ。管理頻度や施肥のタイミングによって見た目に差が出るため、養生期間中の公園を訪れる際は、こうした変化も観察の楽しみのひとつとして捉えると印象が変わってくる。
芝品種の断定的な公式情報は確認できていないため、本記事の記述は実務者の見立てとして紹介している。正確な品種を知りたい場合は、管理者である西武造園や豊島区への確認をおすすめする。
南池袋公園の参考情報
南池袋公園の運営やリニューアル経緯について、より詳しく知りたい場合は次の情報も参考にしてほしい。
- 現庁舎周辺まちづくりビジョン(平成26年3月策定)|豊島区公式ホームページ
- 東京都豊島区 南池袋公園 – 牛久市
- 公園 [南池袋公園] | 受賞対象一覧 | Good Design Award
- 都市公園が、まちづくりの起点に | 未来コトハジメ
まとめ 行政・企業・住民が支える都市公園再生
南池袋公園の再生は、財政難だった公園を東京電力の設備需要と結びつけ、震災後の防災意識を取り込んだコンセプト作りによって実現した。そして、リニューアル後の常緑の芝生は、オーバーシードという技術面の工夫と、養生期間中の住民コミュニケーションという運営面の工夫が両輪となって維持されている。
南池袋公園の常緑管理は、単に技術だけで成り立っているわけではない。財源の仕組み、管理事業者との連携、そして住民への丁寧な伝え方がそろって初めて、都心の芝生広場が一年中緑を保てている。
よくある質問
- 南池袋公園はいつリニューアルオープンしたのですか。
-
2016年にリニューアルオープンしています。かつては財政難で噴水も修理できない状態でしたが、地下変電設備の整備や地下駐輪場の設置と一体化した再開発によって、現在のような芝生広場とカフェレストランを備えた公園に姿を変えました。
- なぜ南池袋公園の芝生は冬でも青いのですか。
-
夏芝と冬芝を切り替えるオーバーシードという管理方法が採用されているためです。実務者の見立てでは夏芝にティフトン、冬芝にペレニアルライグラスが使われているとされますが、品種を明記した公式情報は確認できていません。
- 芝生の養生期間中は公園に入れないのですか。
-
養生期間は一部立ち入りが制限されます。ただ、南池袋公園ではロープと警備員による監視だけでなく、Facebookでの告知やコミュニケーションボードを通じて養生の理由を伝える取り組みがおこなわれてきました。
- 南池袋公園の芝生管理は誰が担当していますか。
-
維持管理は西武造園が担っていることが確認できます。ただし、具体的な財源額や管理時間帯については報道によって記載が異なり、運営側の公式発表としては確認できていないため、最新情報は公式サイトで確認することをおすすめします。










コメント
コメント一覧 (1件)
[…] リニューアルされて綺麗な芝生広場で話題の南池袋公園。併設するお洒落カフェ&レストラン「ラシーヌ ファーム トゥー パーク (RACINES FARM TO PARK)」。テラス席ではテントを張り出 […]