松本山雅FCの本拠地アルウィンが芝生全面張替え、古い芝は学校や広場へ移植 #Jリーグ #スタジアム

サッカーのJリーグ松本山雅FCの本拠地長野県松本平広域公園総合球技場(愛称アルウィン)が2001年のオープン以来初となる全面芝張り替えを実施中。剥がされた芝はホームタウンの松本市や安曇野市、塩尻市の公共施設など15箇所に譲渡されました。

芝張り替えの関連報として松本山雅ホーム開幕戦で同県内の「長野Uスタ」を探している件(12/23)、更に「長野Uスタ」の芝が傷んでいて難しいことから県外も視野に探している件(1/5)を追記しました。

【1/5追記】松本山雅ホーム開幕戦県外確実に

アルウィンが芝養生中のためホーム開幕戦のスタジアムとして「長野Uスタ」打診している報道が12/23にありましたがスタジアムを管理する長野市は芝の状態が悪いため開催不可と判断、松本山雅は正田醤油スタジアム群馬、東京・味の素フィールド西が丘、山梨中銀スタジアム、愛知・豊田スタジアム、愛知・パロマ瑞穂スポーツパークなど県外複数スタジアムに開催を打診しています。

1/12に予定されるJリーグの開幕戦&ホーム開幕戦カード発表で開催地未定となる可能性が出てきています。

J2松本 ホーム開幕戦は県外確実 長野U使用申し入れも「不可」― スポニチ Sponichi Annex サッカー

【12/23追記】松本山雅ホーム開幕戦「長野Uスタ」打診

信濃毎日新聞によるとJリーグの本山雅のホーム開幕戦がライバル「AC長野パルセイロ」本拠地「長野Uスタ」になる可能性があります。既報の通りアルウィンは芝張り替え工事中で養生期間が必要なためです。

このニュースのポイントは3つあります。

1.アルウィンの芝生養生期間
芝張り直後は見た目はきれいですが土の上に切り芝(スタジアムならロール芝)が乗っているだけなので芝生が根付くまで立ち入らない養生期間を設けます。芝生の養生期間は最低1ヶ月ですがアルウィンでは2月に芝張り、3末まで養生のスケジュールです。J2が2末に始まるので3月中にどうしてもホームゲームを挟まないと、という事情があります。

ラグビーの聖地“秩父宮ラグビー場”の芝生管理のようにすぐ使うとめくれ上がってしまいます。スポーツ競技場の天然芝では状態を維持しつつ養生期間を短くし利用期間を長くするバランスが求められます。

2.「同一大会でのアウェー戦は3試合以上連続しない」Jリーグ規約
アルウィンが使えない間全てアウェーになるのでは…と思ったのですが国立競技場で試合の場合もどちらかのホーム試合になるわけで本拠地=ホーム試合ではないんですね。

「Jリーグ規定」によるとホームゲームの80%以上はホームスタジアム(=アルウィン)で開催しなければならないとあります。またアウェイは3試合連続しないこととなっています。長野県内でJ2開催できるスタジアムは「長野Uスタ」のみで白羽の矢が立ったようです。

第2節 公式試合
第 40 条〔公式試合〕

(2) Jクラブは、前項第 1 号、第 2 号または第 3 号のホームゲームの 80%以上をホームスタジアムで実施しなければならない。ただし、理事会の承認を得た場合は、この限りではない。
(中略)
第3節 試合の運営
第 55 条〔リーグ戦の開催〕

③ 同一大会でアウェイゲームが3試合以上連続しないこと。ただし、J3に関してはこの限りではない。

3.サッカーでホームスタジアムが使えない場合どうする?
スタジアム改修やホームスタジアムの建て替えで長期間スタジアムが使えない場合どうしているのでしょうか。例えばロンドンでは収益拡大のためスタジアムの移転・建て替えを検討しているクラブが多いのですがトッテナムはウェンブリー(国立競技場)を間借り、チェルシーは来期から改修で数年は間借りが必要と言われています。

また単純にホームスタジアムを共有している例としてセリエAのインテル、ACミランが共有しているスタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ、またドイツW杯会場となったアリアンツ・アレーナはバイエルン・ミュンヘンと3部の1860ミュンヘンが有名です(1860ミュンヘンが4部に降格しスタジアムと契約解除)。アリアンツ・アレーナはクラブカラーであるバイエルン・ミュンヘンの赤、1860ミュンヘンの青、ドイツ代表戦などでは白にそれぞれ発光する外観を持っています。

松本山雅ホーム開幕戦 「長野Uスタ」打診へ | 信濃毎日新聞[信毎web]

アルウィンの芝生張替えの注目ポイント3つ

信濃毎日新聞が良い取材をしていますが注目ポイントは3つあります。1つ目は記事中の写真が豊富なこと、2つ目は芝が地元に譲渡されること、3つ目は張替え予定の詳細がわかることです。

写真グラフ 新天地で根付け アルウィンの芝

記事中の写真からわかる芝張り替え作業

40〜50cm角くらいの切り芝にして切り出していることがわかります。また南安曇農業高校が砂を譲り受けていることからアルウィンの床土ごと入れ替えることがわかります。

アルウィンの芝が地元に譲渡される件

古い芝は競技をするには痛みすぎているが校庭などの利用には問題ないそうです。部分補修を除くと2001年のオープン以来アルウィンの芝が全面的に張り替えられるのは初めて。芝生は5〜10年で根詰まりや土壌の通気性、排水性が悪化などで勢いがなくなってきますので17年も引っ張ったのは良く頑張ったと言えます。

スカイパーク通信1307webによるとアルウィンの芝生には3種類の「寒地型西洋芝」が使われています。北海道など冷涼地で使われるケンタッキーブルーグラス、踏み圧や擦り切れ圧に強いトールフェスク、冬のオーバーシーディングにも使われるペレニアルライグラスの3種です。家庭向けでも西洋芝の種子は特徴の異なる何種類かの芝草を混合するのが一般的です。

▼寒地型芝草のケンタッキーブルーグラスは北海道では主流の芝草。
ケンタッキーブルーグラス

東京の国立競技場では暖地型芝草()のティフトンと寒地型芝草(冬草)のペレニアルライグラスで夏と冬のメインの芝を切り替えるオーバーシーディングをしていますが比較的冷涼な松本では夏も寒地型芝草をメインにできた、ということでしょう。それでも寒地型芝草の生育適温15〜25度から比べると松本市は夏は30度以上、冬は氷点下に下がるので芝生の管理に気を使う気候です。真冬は養生シートを敷いて保温しています。

真冬に芝の張替えを行うスケジュールについて

記事中では切り芝を広場などに移植している様子が写っていましたが根が出ない真冬は通常芝張りには向きません。松本山雅の今季最終戦の翌日2017/11/20には早速芝を剥がしており何か事情がありそうです。

今回の全面張り替えについて松本山雅の公式サイトでは工事内容を「フィールド天然芝の全面張り替え」と「フィールド散水設備の改修」を目的としています。芝の張替えだけなら2〜3月にできますがスプリンクラーなど散水設備の改修のため早めに剥がしたと思われます。

今後の予定ですが、2018年1月に床土として砂を入れて整地、2月に新しい芝を移植、3月に養生、4月に幾つかの公式戦を挟んで5月まで利用を制限します。移植した芝が根付くまで1ヶ月はかかりますので芝張り後数ヶ月利用制限するのが普通です。

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