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斜面・法面の芝生の張り方とコツ

法面の芝張り

 

 

平らな庭への芝張りに比べ、斜面・法面への芝張りはひと手間もふた手間も多くかかります。切り芝が真っ直ぐ並ばない、雨のたびに目土が流れ出す、せっかく張った芝がずれてしまう——こうした悩みを抱える方は少なくありません。

本記事では、斜面・法面での芝張りにおける工法の選び方から、プロも使う目串(めぐし)による固定方法、不織布タイプの緑化資材まで、実践的なポイントを整理して解説します。斜面での芝刈りを安全に行うための道具選びについても触れています。

この記事でわかること
  • 斜面・法面に適した芝張り工法の違いと選び方
  • 目串(芝串)を使った切り芝のズレ防止方法
  • 種子付き不織布を使った斜面緑化の方法
  • 斜面での安全な芝刈り道具の選び方
目次

斜面・法面での芝張りが難しい3つの理由

平地での芝張りと比べると、斜面や法面では次の3点が特有の課題となります。それぞれの問題を理解しておくことが、対策選びの第一歩です。

課題原因主な対策
切り芝が真っ直ぐ並ばない斜面での目測が難しい条張り(筋張り)で列を揃える
目土・表土の流出雨水が傾斜に沿って流れる網目状ネットや目串で固定
切り芝のズレ養生中に芝が斜面を滑る目串(竹串)で打ち込んで固定

また、斜面は足場が悪いため、通常の芝刈り機では転倒や怪我のリスクが伴います。軽量で取り回しのよいポール柄付きの芝生バリカン、または草払い機(刈払い機)を使うのが安全面でも作業効率面でも得策です。

斜面に適した芝張り工法の選び方

芝張りには複数の工法があり、斜面・法面の条件に合わせて使い分けることが大切です。代表的な4つの工法を比較してみましょう。

工法切り芝の使用量全面緑化までの期間斜面への適性
ベタ張り多い(100%)短い高い(隙間なし)
目地張り中程度中程度やや低い(目測が難しい)
市松張り少ない(約50%)やや長い中程度
条張り(筋張り)少ない(約50%)長い高い(列が揃いやすい)

斜面でのおすすめ:条張り(筋張り)

斜面の芝張りで最も簡単なのは切り芝を隙間なく敷き詰める「ベタ張り」ですが、コストを抑えたい場合は「条張り(すじばり)」が有効な選択肢です。

条張りとは、5〜10cm幅に切った芝草を5〜10cmの隙間を空けて1列ずつ横方向に並べていく工法です。切り芝をわざわざ細く切らずに、通常サイズのまま一列に並べても同様の効果が得られます。使用する切り芝の量は全面ベタ張りの約半量で済むため、コスト削減効果が大きいのが特徴です。

注意点

条張りは市松張りと同様にコスト面で有利ですが、全面が芝で覆われるまでの期間がベタ張りや目地張りよりも長くかかります。あまり手入れができない環境や、早期に緑化したい場合はベタ張りの方が向いています。

マンションの法面など、定期的なメンテナンスが難しい環境では、最初から隙間のないベタ張りを採用するのが管理の手間を抑えられる実用的な選択です。中央に空いた隙間部分を条張りで補完するハイブリッド方式も現場では使われています。目砂を均一に入れることで仕上がりも美しくなります。

プロも使う!目串(竹串)で切り芝を固定する方法

斜面に張った切り芝は、養生期間中に雨や風でズレてしまうことがあります。根がまだ張っていない状態では、切り芝は斜面に「乗っているだけ」の状態に過ぎません。この問題を解決するのが、プロの施工現場でも標準的に使われる「目串(めぐし)」による固定方法です。

STEP
目串(芝串)を用意する

竹製の目串(長さ約15cm)を準備します。「芝串」「芝 竹串」などの名称でホームセンターや通販サイトで市販されています。竹串 丸型(200本入)210mm 18-412(勝亦商店)などから入手できます。Amazonで見る

STEP
切り芝を所定の位置に配置する

条張りまたはベタ張りで切り芝を斜面に並べます。この段階では仮置きの状態です。

STEP
木槌やハンマーで打ち込む

木槌または小型の金属ハンマーを使い、芝生の上から目串を垂直に打ち込みます。切り芝1枚につき2本を目安に刺すと安定します。

STEP
そのまま養生する

目串は竹製なので、時間が経つにつれて自然に腐食し、土に還ります。抜き取る必要はありません。芝が根付いた後は自然に目串の役目が終わります。

目串(竹串)は太めのものを選ぶと、養生期間中に誤って踏んでも折れにくく安全です。小石川後楽園などの公園管理でも太めの竹串が活用されています。

種子付き不織布(わら芝タイプ)で斜面を緑化する

ノシバや西洋芝など、種から育てる方法は切り芝よりも初期コストを抑えられる反面、種が発芽するまでの間、むき出しの土面が続くという難点があります。斜面では特に、雨が降るたびに種ごと土が流れてしまうリスクがあります。

そこで活用したいのが、種子・肥料をあらかじめ不織布に付着させ、ネットに装着した状態で販売されている業務用緑化資材です。「わら芝」とも呼ばれるこのタイプの製品は、斜面に広げて固定するだけで種の流出を防ぎながら発芽を促進します。

不織布タイプのメリット
  • 種・肥料が一体化しているため、播種作業が不要
  • 不織布が土砂の流出を防ぎながら発芽を助ける
  • 切り芝に比べて初期コストが低い
  • 広い斜面・法面に短時間で施工できる

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不織布タイプは広い法面や公共工事向けの業務用品が中心です。家庭の小規模な斜面では、切り芝+目串の組み合わせの方がコストパフォーマンスが高い場合があります。

法面(のり面)を芝生で保護・緑化する目的

法面(のり面)とは

法面(のり面)とは、道路・河川・宅地造成などで人工的に作られた斜面のことです。盛り土によって形成される「盛土法面」と、山を切り崩して作る「切土法面」の2種類があります。河川堤防や道路の切通しなど、私たちの身近な場所にも多く存在します。

法面の芝生緑化には、景観の向上だけでなく表土の流出防止という重要な役割があります。隅田川の河川敷堤防など、公共の法面でも芝生による緑化が広く採用されています。芝の根が土をしっかりとつなぎ止めることで、雨水による侵食を防ぐ効果が期待できます。

表土流出を防ぐネット・ブロック器具との組み合わせ

角度の急な法面では、植物が根付く前に表土が雨で流れ出してしまう問題が顕著です。芝が定着するまでの間、表土を物理的に保護する資材を併用することが現場では一般的です。

網目状ネット

斜面全体に張り付け、土砂の流出を防ぎながら植物の根が絡みやすい環境を作ります。気象庁の法面工事でも採用された実績があります。

ブロック・連節ブロック

大規模な法面工事で使用される構造物です。ブロック間の隙間に芝を植えることで、構造的な強度と緑化を両立させます。

家庭の急斜面では、市販のジュートネット(麻製ネット)を切り芝の上から被せて目串で固定する方法が手軽です。ジュートは天然素材なので土に還ります。

まとめ:斜面・法面の芝張りを成功させるポイント

斜面・法面の芝張り 要点まとめ
  • コストを抑えたい場合は「条張り(筋張り)」が斜面に適している
  • 早期緑化や管理の手間を省きたい場合は「ベタ張り」が確実
  • 切り芝のズレ防止には「目串(竹串・芝串)」を1枚2本で打ち込む
  • 広い斜面や種からの緑化には「種子付き不織布資材」が有効
  • 芝刈りは軽量なポール柄バリカンか草払い機で安全に行う

よくある質問

斜面の芝張りに目串は必須ですか?

緩やかな斜面であれば目串なしでも定着することがありますが、傾斜が15度以上ある場合や雨が多い季節の施工では、目串による固定を強くおすすめします。切り芝1枚につき2本の目串を打ち込むだけで、養生中のズレを大幅に防ぐことができます。

条張りと目地張りはどちらが斜面に向いていますか?

斜面では条張りの方が適しています。目地張りは碁盤目状に目地を揃える必要がありますが、斜面では目測が難しくなります。条張りは横方向に列を作るだけなので、斜面でも揃いやすく施工ミスが起きにくいのが特徴です。

目串(竹串)は施工後に抜き取る必要がありますか?

抜き取る必要はありません。目串は竹製のため、時間の経過とともに自然に腐食して土に還ります。芝が十分に根付いた頃には目串の役割を終えており、そのまま土壌に吸収されます。

斜面での芝刈りはどんな道具が安全ですか?

通常の自走式・手押し式芝刈り機は斜面での使用に適しておらず、転倒や怪我のリスクがあります。ポール柄付きの芝生バリカンか、草払い機(刈払い機)を使うのが安全です。軽量で操作性が高く、足場の悪い斜面でも安定して作業できます。

 

 

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著者

「芝生の手入れ.com」のほぼ全ての記事を書いています。都内在住のブロガー/エディター。好きな芝はケンタッキーブルーグラス。育てている芝はコウライシバ・ノシバ、西洋芝のバミューダグラス・JターフⅡ。

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