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芝生の病気対策(薬剤)

芝生の病気 / ラージパッチ

 

 

美しく整えた芝生が突然茶色く変色したり、丸いパッチ状に枯れてしまったりした経験はないでしょうか。芝生にはラージパッチ・ダラースポット・さび病・ピシウム病など、季節ごとにさまざまな病気が発生します。いずれも原因は菌類であることが多く、早期発見と適切な殺菌剤の散布が被害を最小限に抑える鍵となります。本記事では、各病気の症状・発生時期・効果的な薬剤を一覧できるようにまとめました。庭の芝生のトラブルを解決するためにお役立てください。

読者

芝生が丸く枯れてきた…これって病気?どの薬を使えばいいか全然わからない。

専門家

症状の形・色・発生時期を確認すれば病気の種類を特定できます。病名さえわかれば、使うべき殺菌剤も自然と絞り込めますよ。

目次

芝生の主な病気と発生時期の一覧

芝生の病気はいずれも菌類(カビ・糸状菌)が原因です。気温・湿度・芝の状態が病原菌にとって好条件になると一気に広がります。まず下表で代表的な病気の特徴を把握しましょう。

病気名主な発生時期対象芝症状の特徴
ラージパッチ春・秋(10〜15℃)日本芝・暖地型西洋芝縁がオレンジ色の大型パッチ
ダラースポット早春〜晩秋日本芝・西洋芝窪んだ円形の赤茶色パッチ
さび病初夏・秋高麗芝中心・西洋芝も葉に鉄さび色の胞子が付着
ピシウム病(赤焼病)夏(25℃以上の高温多湿)西洋芝(ベントグラス)不定形の退色・白い菌糸
ピシウム病(雪腐病)融雪直後(北海道・日本海側)日本芝・西洋芝融雪後にパッチが出現

上記以外にも、うどんこ病・いもち病・フェアリーリングなども芝生に発生します。症状の形・色・時期を組み合わせて判断するのが病気特定の基本です。


芝生の病気「ラージパッチ」の症状と対策

「ラージパッチ」の症状

ラージパッチは「葉腐病」とも呼ばれ、日本芝・西洋芝を問わず暖地型芝生に発生します。数cmから最大10mに及ぶ大型のものまで、パッチ(継ぎ当て)状に芝が枯れるのが特徴です。最も目立つ見分けポイントはパッチの縁がオレンジ色に変色することで、内側は枯れた状態になります。

病原菌はリゾクトニア菌の仲間(Rhizoctonia solani AG2-2 LP)で、夜間の気温が10〜15℃前後で降雨が続くような高湿条件を好みます。春と秋の2シーズンが主な発生時期です。

注意点

リゾクトニア菌は地際に感染します。夏になると日本芝が再生したように見えても菌は芝の中に残っており、秋に再発するケースが多い点に注意してください。秋の感染は翌春の萌芽不良にも直結します。また芝刈り機や農作業器具を通じて、飛び地で感染が広がることもあります。

「ラージパッチ」の対策と予防

ラージパッチを発見したら速やかに殺菌剤を散布します。薬剤は希釈してパッチ全体と周辺に均一にまくのが基本です。

  • ベンレート水和剤(有効成分:ベノミル)
  • グランサー水和剤(有効成分:フルトラニル)
補足情報

かつて使用されていたキャプレート水和剤は2015年に農薬の芝登録が解除されており、現在は農薬として使用できません。解除理由は「登録維持に必要な資料整備に経費と時間を要するため」とされています。現行の登録薬剤から選んでください。

秋の散布が翌春の萌芽を守ります。夏に症状が消えても秋の発生前(9月中旬〜10月)に予防散布しておくと安心です。


芝生の病気「ダラースポット」の症状と対策

「ダラースポット」の症状

ダラースポットは日本芝・西洋芝の両方に発生する病気です。名前の通りコイン(ドル硬貨)ほどの大きさから始まる窪んだ円形のパッチが特徴で、初期の病斑の縁は赤茶色で、進行すると地下部まで侵されて裸地化します

スポット状の症状は他の病気でも現れるため、正確な判断が必要です。ダラースポット特有の見分け方として、早朝に白い雲状の菌糸が確認できる点が挙げられます。日中の寒暖差が大きく朝露が付きやすい環境、また窒素不足で乾燥気味の場所(ゴルフ場のグリーンなど)で被害が深刻になりやすい傾向があります。病原菌は複数存在し、現時点では特定されていません。

ダラースポットの発生事例はこちらの投稿でも確認できます(naru_kさん(@n_a_r_u___k)がシェアした投稿)。

早朝チェックのポイント

他のスポット病との見分けは「早朝の観察」が決め手です。ダラースポットは日の出直後、パッチの上に白い綿状の菌糸が広がります。日が昇ると乾燥して消えてしまうため、朝露が残っている時間帯に確認しましょう。

「ダラースポット」の対策と予防

朝露はダラースポットの感染を後押しするため、散水は夜間を避けて早朝に行うのが基本の予防策です。早春から晩秋まで発生期間が長く、繰り返し発症しやすい病気のため、同じ薬剤を使い続けると耐性菌が生まれるリスクがあります。

  • 散水は夜間を避け、早朝に行う
  • 複数の殺菌剤をローテーション散布して耐性菌の発生を防ぐ
  • 窒素肥料を適切に施し、芝の免疫力を高めておく
  • 夜間の散水(朝露と合わさり菌の繁殖を促進する)
  • 同一薬剤を長期間使い続ける(耐性菌が定着する)

芝生の病気「さび病」の症状と対策

「さび病」の症状

さび病は芝生だけでなく農作物を含む幅広い植物に害をもたらす病気です。日本芝・西洋芝のどちらにも発生しますが、特に高麗芝で初夏から秋にかけての発生が多い傾向があります。湿度が高く日陰になりやすい場所を好みます。

冠さび・葉さび・黄さび・黒さびなど種類はさまざまですが、いずれも葉に鉄さびのような病斑が現れ、最終的に褐色〜鉄さび色の胞子を放出します。胞子は靴や服に付着して広範囲に拡散するため、早期発見と早期対処が大切です。さび病の発生事例は野菜農楽人 YUICHI ISHIDAさん(@stonefield1982)がシェアした投稿でも確認できます。

さび病の見分け方

芝の葉を手でなでてみて、オレンジ色や黄色の粉(胞子)が手に付いたらさび病の可能性が高いです。目に見えるほどの胞子量になっている場合はすでに感染が進んでいるサインで、早急に殺菌剤を散布する必要があります。

「さび病」の対策と予防

さび病に感染しても初期段階では枯死には至りませんが、放置すると芝が枯れるため早めの対処が肝心です。発生初期にトリホリン乳剤(商品名:サプロール乳剤)などを希釈して散布します。

サプロール乳剤(有効成分:トリホリン)はさび病に対する代表的な殺菌剤です(住商アグロインターナショナル 殺菌剤 サプロール乳剤 100ml)。購入はAmazonで見るからも可能です。

  • 発生初期にトリホリン乳剤(サプロール乳剤)を希釈して散布する
  • 日当たりと風通しを改善して湿度を下げる(枝の剪定・エアレーションが有効)
  • 感染した葉は芝刈りで取り除き、刈りかすを袋に入れて処分する

芝刈り後のクリッピング(刈りかす)にはさび病の胞子が付着しています。そのまま放置せず、必ず回収して廃棄してください。庭内で堆肥化すると感染源になります。


芝生の病気「ピシウム病」の症状と対策

「ピシウム病」の症状

芝生の上に蜘蛛の巣のような白いもやがかかっているように見えたら、蜘蛛ではなくピシウム菌の菌糸です。日本芝・西洋芝のどちらにも発生し、芝生に不定形の退色部が広がり最終的に枯死して褐色になります。病原菌は土壌中に常在していますが、夜間に湿度が高くなった翌朝に突然発症するケースが多く見られます。

ピシウム菌は150種類以上が知られており、そのうち30〜40種類が病原性を持ちます。症状によって「赤焼病」「雪腐病」などに分類されます。

赤焼病

25℃以上の熱帯夜が続いた後の降雨など、高温多湿条件が重なったときのみ発生します。西洋芝のベントグラス(ゴルフ場のグリーン)に大きな被害を及ぼす病気として知られています。

雪腐病

北海道〜日本海側で融雪直後にパッチとして現れる病気の総称です。複数の病原菌が存在しますが、「褐色雪腐病」はピシウム菌の仲間が原因とされています。

ピシウム菌の菌糸が芝生に発生した事例はpic.twitter.com/OKjCK21aLn2016年5月22日でも確認されています。

「ピシウム病」の対策と予防

ピシウム菌は水分が多い環境で繁殖が加速します。排水性を高めることが最優先の予防策です。ゴルフ場などでは大型の送風機を使って芝面の過湿を防ぐ対策が取られています。

STEP
排水環境を整える

芝生周辺の排水経路を確認し、水が溜まりやすい場所はエアレーションや目土で改善します。土壌の透水性を上げることが根本的な予防になります。

STEP
発症を確認したら殺菌剤を散布する

ランマンPフロアブル・クロステクト水和剤・ターフシャワーなどがピシウム病・赤焼病に有効な殺菌剤です。規定の希釈倍率で均一に散布してください。

STEP
薬剤をローテーションする

同一薬剤を繰り返し使用すると耐性菌が生まれます。2〜3種類の殺菌剤を順番に切り替えながら使用し、耐性化を防いでください。

ピシウム病対策のまとめ

有効な殺菌剤:ランマンPフロアブル、クロステクト水和剤、ターフシャワー。いずれも赤焼病・ピシウム病に対応しています。複数剤をローテーションすることで耐性菌の発生リスクを下げられます。


芝生の病気対策まとめ

芝生の病気はいずれも「早期発見・早期対処」が被害を最小化するポイントです。病気が広がってからでは回復に時間とコストがかかります。定期的に芝面を観察し、異変を感じたら症状を確認して適切な殺菌剤を選びましょう。

病気対策の基本チェックリスト
  • 春・秋の気温が低く湿度が高い時期はラージパッチに注意する
  • 早朝に芝面を観察し、白い菌糸・茶色い変色・オレンジ色の縁をチェックする
  • 殺菌剤は複数種類を用意してローテーション散布する
  • 夜間散水を避け、排水性を高めて過湿状態を作らない
  • 芝刈り機・農具は使用後に洗浄し、病原菌の飛び地感染を防ぐ

芝生の病気に関するよくある質問

ラージパッチとダラースポットはどう見分けますか?

最大の違いはパッチのサイズと縁の色です。ラージパッチは縁がオレンジ色になり、大きいものでは数メートルに達します。ダラースポットはコイン大〜数十cmの小型パッチで縁が赤茶色です。また早朝に白い雲状の菌糸が見えればダラースポットと判断できます。

芝生の病気に使う殺菌剤はホームセンターで購入できますか?

ベンレート水和剤・サプロール乳剤などは大型ホームセンターや園芸店で取り扱っていることが多いです。ランマンPフロアブルなどゴルフ場向けの農薬は農薬販売店やインターネット通販での入手が現実的です。いずれも農薬登録の有無を確認してから購入してください。

一度ラージパッチにかかった芝は翌年も再発しますか?

再発する可能性が高いです。リゾクトニア菌は地際に残り続けるため、夏に芝が回復したように見えても菌は生き残っています。翌年の春に条件が揃うと再び発生します。秋の発生前(9〜10月)に予防的な殺菌剤散布を行うことで再発リスクを下げられます。

さび病は人体に影響がありますか?

さび病の胞子が人体に直接的な害を与えることは基本的にありません。ただし、オレンジ色の胞子は衣服や靴に付きやすく、そこから別の場所へ拡散する原因になります。感染した芝の上を歩いた後は靴底を洗浄するか、別の芝エリアへ踏み込まないよう注意してください。

芝生の病気を薬を使わずに予防する方法はありますか?

薬剤に頼らない基本的な予防策として、排水改善・エアレーション・適切な施肥・夜間散水の回避・芝刈り後のクリッピング除去が挙げられます。芝を健康な状態に保つことが最大の病気予防です。ただし一度感染が広がった場合は殺菌剤による対処が必要になります。

 

 

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著者

「芝生の手入れ.com」のほぼ全ての記事を書いています。都内在住のブロガー/エディター。好きな芝はケンタッキーブルーグラス。育てている芝はコウライシバ・ノシバ、西洋芝のバミューダグラス・JターフⅡ。

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