芝生が丸く茶色に枯れる、葉にオレンジ色の粉が付く、朝に蜘蛛の巣のような白い糸が見える。こうした症状は芝生の病気のサインで、症状の形・色・時期から病気を見分けられます。ただし、芝生が茶色くなる原因は病気だけでなく、水切れや害虫、冬の休眠のこともあります。主な病気の見分け方と対策をまとめました。
- 春・秋に丸く大きく枯れ、縁がオレンジ色ならラージパッチ(高麗芝に多い)
- 葉をなでるとオレンジ色の粉が付くならさび病
- 朝、蜘蛛の巣のような白い糸が見えるなら、ピシウム病やダラースポットの可能性
- 予防の基本は水はけの改善、夜の水やりを避ける、刈りかすを片付けること
- 殺菌剤は、製品ラベルで「芝」への登録と適用病害を確かめてから使う
症状から見る芝生の病気(早見表)
| 症状 | 疑われる病気 | 起きやすい時期 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| 丸く大きく枯れ、縁がオレンジ色 | ラージパッチ | 春・秋(夜温10〜15℃で雨が続くころ) | 日本芝のラージパッチに登録のある殺菌剤(グランサー水和剤など)を発病初期に散布。秋は特によく観察する |
| コイン大の円形に枯れ、朝に白い菌糸 | ダラースポット | 早春〜晩秋 | 夜の水やりを避ける。窒素不足にしない |
| 葉にオレンジ〜鉄さび色の粉 | さび病 | 初夏・秋 | 芝のさび病に登録のあるサプロール乳剤などを発病初期に散布。刈りかすを回収して処分 |
| 蜘蛛の巣のような白い糸、不定形に色が抜ける | ピシウム病 | 夏の高温多湿 | 排水を改善し、過湿を避ける |
| 冬に全体が茶色 | 病気ではなく休眠(日本芝) | 晩秋〜春 | 春の芽吹きを待つ |
水切れや害虫、肥料のやりすぎなど、病気以外で芝生が枯れる原因の見分け方は、次の記事で解説しています。



ここからは、ラージパッチ・ダラースポット・さび病・ピシウム病それぞれの症状と対策を詳しく解説します。
早見表の病気のほかにも、芝生にはフェアリーリング病、うどんこ病、いもち病などが発生します。症状の形・色・時期を組み合わせて判断するのが、病気を見分ける基本です。
芝生の病気「ラージパッチ」の症状と対策









「ラージパッチ」の症状
ラージパッチは「葉腐病」とも呼ばれ、高麗芝などの日本芝をはじめとする暖地型の芝に発生します。直径数十cmから数mに広がる円形のパッチ(継ぎ当て)状に芝が枯れるのが特徴です。最も目立つ見分けポイントは、パッチの縁がオレンジ色に変色することで、内側は枯れた状態になります。
病原菌はリゾクトニア菌の仲間(Rhizoctonia solani AG2-2 LP)で、夜間の気温が10〜15℃前後で降雨が続くような高湿条件を好みます。春と秋の2シーズンが主な発生時期です。
リゾクトニア菌は地際に感染します。夏になると日本芝が再生したように見えても菌は芝の中に残っており、秋に再発することが多い点に注意してください。秋の感染は、翌春の芽吹きが悪くなる原因にもなります。また、芝刈り機や園芸道具に付いた土や刈りかすを通じて、離れた場所に広がることもあります。使ったあとの道具は洗っておきましょう。
「ラージパッチ」の対策と予防
ラージパッチを見つけたら、発病初期のうちに、日本芝のラージパッチに登録のある殺菌剤を散布します。希釈倍数・使用液量・使用回数は、ラベルに書かれたとおりに守ってください。
- グランサー水和剤(有効成分:トルクロホスメチル):芝(日本芝)の葉腐病(ラージパッチ)に登録があり、使用時期は「発病初期」、本剤の使用は5回以内です。疑似葉腐病(春はげ症)にも登録があります(農林水産省 農薬登録情報 第15761号)
- ほかの薬剤を使う場合も、ラベルの適用作物に「日本芝」(または「芝」)、適用病害に「葉腐病(ラージパッチ)」と書かれているかを確認してください
ラージパッチは、夏に症状が消えても秋(9月中旬〜10月ごろ)に再発しやすい病気です。この時期は芝面をこまめに観察し、縁がオレンジ色のパッチが出始めたら、すぐに散布しましょう。グランサー水和剤のラージパッチへの使用時期は「発病初期」なので、症状が出る前の予防散布には使いません。
芝生の病気「ダラースポット」の症状と対策
「ダラースポット」の症状
ダラースポットは日本芝・西洋芝の両方に発生する病気です。名前のとおり、ドル硬貨ほどの大きさ(直径数cm)の、くぼんだ円形のパッチが特徴です。葉の病斑は縁が赤褐色で、パッチがいくつもつながると、広い範囲が枯れたように見えます。
スポット状の症状はほかの病気でも出るため、見分け方が大切です。ダラースポットに特有の見分け方として、早朝に白い綿のような菌糸が見られる点が挙げられます。朝露が付きやすい環境や、窒素不足で乾燥気味の場所で発生しやすい傾向があります。病原菌は糸状菌の一種で、以前は Sclerotinia homoeocarpa と呼ばれていましたが、2018年に新しい属 Clarireedia に分類し直されました(Salgado-Salazar et al., 2018)。
他のスポット病との見分けは「早朝の観察」が決め手です。ダラースポットは日の出直後、パッチの上に白い綿状の菌糸が広がります。日が昇ると乾燥して消えてしまうため、朝露が残っている時間帯に確認しましょう。
「ダラースポット」の対策と予防
朝露はダラースポットの感染を後押しするため、水やりは夜を避けて早朝に行うのが基本の予防策です。早春から晩秋まで発生期間が長く、繰り返し発生しやすい病気です。殺菌剤を使う場合は、同じ系統の薬剤を続けて使うと効きにくい菌(耐性菌)が出やすくなるため、系統の違う薬剤を交互に使います。家庭の日本芝でダラースポットに登録のある薬剤は限られるので、ラベルの適用作物と適用病害を必ず確認してください。
- 散水は夜間を避け、早朝に行う
- 系統の違う殺菌剤を交互に使い、耐性菌の発生を防ぐ
- 窒素不足で発生しやすくなるため、生長期に適量の肥料を与える
- 夜間の散水(朝露と合わさり菌の繁殖を促進する)
- 同じ系統の薬剤を長期間使い続ける(耐性菌が定着する)
芝生の病気「さび病」の症状と対策
「さび病」の症状
さび病は芝生だけでなく農作物を含む幅広い植物に害をもたらす病気です。日本芝・西洋芝のどちらにも発生しますが、特に高麗芝で初夏から秋にかけての発生が多い傾向があります。湿度が高く日陰になりやすい場所を好みます。
冠さび病・葉さび病・黄さび病・黒さび病など種類はさまざまですが、いずれも葉に鉄さびのような病斑が現れ、やがて褐色〜鉄さび色の胞子を飛ばします。胞子は靴や服に付いて広がるため、早く見つけて早く対処することが大切です。
芝の葉を手でなでてみて、オレンジ色や黄色の粉(胞子)が手に付いたら、さび病の可能性が高いです。目に見えるほど胞子が多い場合は感染が進んでいるサインなので、早めに対処しましょう。
「さび病」の対策と予防
さび病に感染しても初期は枯れることはありませんが、放置すると芝が弱って枯れるため、早めの対処が肝心です。発生初期に、芝のさび病に登録のある殺菌剤を散布します。
サプロール乳剤(有効成分:トリホリン)は、作物名「芝」のさび病に登録があります(1000倍、使用液量1〜2L/㎡、発病初期、6回以内)(農林水産省 農薬登録情報 第22133号)。複数の会社から同じ名前で販売されているので、ラベルの適用表を確認してから使ってください(Amazonでサプロール乳剤を探す)。
- 発生初期にサプロール乳剤(トリホリン乳剤)を、ラベルの希釈倍数で散布する
- 日当たりと風通しを改善して湿度を下げる(枝の剪定・エアレーションが有効)
- 感染した葉は芝刈りで取り除き、刈りかすを袋に入れて処分する
芝刈り後のクリッピング(刈りかす)にはさび病の胞子が付着しています。そのまま放置せず、必ず回収して廃棄してください。庭内で堆肥化すると感染源になります。
芝生の病気「ピシウム病」の症状と対策
「ピシウム病」の症状
芝生の上に蜘蛛の巣のような白いもやがかかっているように見えたら、蜘蛛ではなくピシウム菌の菌糸です。日本芝・西洋芝のどちらにも発生し、芝生に不定形の退色部が広がり最終的に枯死して褐色になります。病原菌は土壌中に常在していますが、夜間に湿度が高くなった翌朝に突然発症するケースが多く見られます。
ピシウム菌の仲間には多くの種類があり、症状や発生時期によって「赤焼病」「雪腐病」などに分けられます。なお、ピシウム菌は厳密にはカビ(真菌)ではなく、卵菌と呼ばれるグループに属します。
- 赤焼病
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25℃以上の熱帯夜が続いたあとの雨など、高温多湿の条件が重なったときに発生しやすい病気です。西洋芝のベントグラス(ゴルフ場のグリーン)に大きな被害を出す病気として知られています。
- 雪腐病
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北海道〜日本海側で融雪直後にパッチとして現れる病気の総称です。複数の病原菌が存在しますが、「褐色雪腐病」はピシウム菌の仲間が原因です。
「ピシウム病」の対策と予防
ピシウム菌は水分が多い環境で増えやすくなります。家庭の芝生では、排水を良くして過湿を避けることが最優先の対策です。ゴルフ場では、大型の送風機で芝面の湿気を飛ばす対策も取られています。
芝生周辺の排水経路を確認し、水が溜まりやすい場所はエアレーションや目土で改善します。土壌の透水性を上げることが根本的な予防になります。
同じ系統の薬剤を繰り返し使うと、効きにくい菌(耐性菌)が出やすくなります。登録のある薬剤の中で、系統の違うものを順番に使いましょう。
ピシウム病に登録のあるランマンPフロアブル、クロステクト水和剤、ターフシャワーは、いずれもベントグラス向けの登録です。家庭の日本芝では、まず排水の改善と、夜の水やりを避けるなど過湿にしない管理が基本です。
芝生の病気に関するよくある質問
- ラージパッチとダラースポットはどう見分けますか?
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大きな違いは、パッチの大きさと縁の色です。ラージパッチは縁がオレンジ色になり、大きいものでは直径数mに広がります。ダラースポットは直径数cmほどの小さな円形のパッチで、葉の病斑の縁が赤褐色です。また、早朝に白い綿のような菌糸が見えれば、ダラースポットの可能性が高いです。
- 芝生の病気に使う殺菌剤はホームセンターで購入できますか?
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サプロール乳剤など家庭園芸向けの殺菌剤は、ホームセンターや園芸店で扱っていることが多いです。ランマンPフロアブルなどゴルフ場向けの農薬は、登録がベントグラス向けのため、家庭の日本芝には使えません。どの薬剤も、ラベルの適用作物に自分の芝の種類が、適用病害に目的の病気が書かれているかを確認してから購入してください。
- 一度ラージパッチにかかった芝は翌年も再発しますか?
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再発する可能性が高いです。リゾクトニア菌は地際に残り続けるため、夏に芝が回復したように見えても菌は生き残っており、秋や翌春に条件がそろうと再び発生します。発生しやすい秋(9〜10月ごろ)は芝面をよく観察し、発病初期に登録のある殺菌剤を散布しましょう。水はけの改善やサッチの除去も再発を減らすのに役立ちます。
- さび病は人体に影響がありますか?
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さび病の胞子が人体に直接的な害を与えることは基本的にありません。ただし、オレンジ色の胞子は衣服や靴に付きやすく、そこから別の場所へ拡散する原因になります。感染した芝の上を歩いた後は靴底を洗浄するか、別の芝エリアへ踏み込まないよう注意してください。
- 芝生の病気を薬を使わずに予防する方法はありますか?
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薬剤に頼らない基本的な予防策は、排水の改善、エアレーション、適切な施肥、夜の水やりを避けること、芝刈り後の刈りかすの回収です。芝を健康な状態に保つことが、いちばんの予防になります。ただし、一度感染が広がった場合は、登録のある殺菌剤での対処が必要になります。
- 天井裏や床下で物音がする・小さなフンが落ちている:寒くなると、ネズミなどが暖かい屋根裏や床下に入りこむことがあります。→ 足跡・フンで動物を見分ける方法/ネズミ対策/ハクビシン対策
- 芝生や花壇に猫のフンをされる:フンや尿は、芝生が丸く枯れる原因にもなります。→ 猫よけ対策
- 庭にフンをされる・ゴミを荒らされる:ハクビシンやアライグマの可能性があります。→ アライグマ対策








