夏場になると芝刈りに追われ、せっかくの休日がつぶれてしまう。緑化のために芝生を選んだのに、手入れの負担が想像以上に重いと感じる方は少なくありません。
実は芝生の品種を見直すだけで、芝刈りの回数を大きく減らせます。トヨタ自動車が開発した改良コウライシバ「TM9」と、イワダレソウの改良品種「クラピア」は、いずれも省力管理を目的に生み出された植物です。どちらも従来の芝生に比べて草丈が伸びにくく、雑草の侵入も抑えやすいという共通点があります。それぞれの特徴と、庭や緑地に合った選び方を整理します。
うちの庭、毎週末芝刈りをしていて正直しんどいんです。もっと手間のかからない芝生ってないんでしょうか。




トヨタが開発したTM9や、芝生とは別の植物ですが「クラピア」を使えば、芝刈りの回数を年に数回程度まで減らせます。庭の用途や広さに合わせて選ぶのがポイントです。
手入れが楽なグラウンドカバーに求められる条件
きれいな芝生を保つには、想像以上の手入れが必要です。芝刈りだけでなく、施肥や病害虫対策、目土入れなど、年間を通じてさまざまな作業が発生します。芝生を植える目的は美観だけではありません。土埃を抑えたり、雑草の侵入を防いだりする「グラウンドカバー」としての役割を求められる場面も多くあります。
グラウンドカバー目的の場合、見た目の美しさよりも芝刈りや草取りの手間が少なく、地面を覆う速度が速い植物が重宝されます。たとえばメガソーラーの施設でも、景観維持や雑草対策のために芝生を植えることがありますが、こうした現場では雑草管理の計画を次の4つの視点で組み立てています。
- 雑草を発生させない
- 雑草を低い草高に維持する、または低い背丈の雑草だけの植生にする
- 雑草量を減らし、管理作業の負担を軽くする
- 芝生など被覆植物によって維持管理する
1〜3を満たす被覆植物がグラウンドカバーであり、4の芝生もそのひとつです。ただし芝生の中でも、品種によって維持管理の手間は大きく変わります。
雑草を抑え込む力と、芝刈りの負担を減らす力の両方を兼ね備えた植物こそが、緑化に適したグラウンドカバーといえます。芝生を選ぶ場合も、この視点で品種を見比べると失敗が少なくなります。



芝刈り回数が半分に減るトヨタ開発「TM9」
トヨタ自動車が開発した「TM9(ティーエムナイン)」は、省力管理を目的に改良されたコウライシバです。最大の特徴は草丈の伸びにくさで、従来品種の1/3〜1/2程度しか伸びません。生長量が少ない分、芝刈りの回数だけでなく肥料の使用量も半分以下に抑えられます。芝生としての質も高く、密度が高く緑色が濃いとされています。
実際に植えた人の感想を見ると、穂が出る春に最低1回、そこから年数回の芝刈りで済んだという声が目立ちます。夏場は毎週の芝刈りが必要になる一般的なコウライシバと比べれば、負担の差はかなり大きいでしょう。
- 草丈が従来品種の1/3〜1/2程度で済む
- 芝刈り回数・肥料使用量ともに削減できる
- 芝生の密度が高く緑色が濃い
- 工場緑地や公園、日本庭園などに適する
TM9は工場緑地や河川の法面など、景観性よりも省力管理を重視する場所に向いています。一方で日本庭園や個人庭園のように、ある程度の美観も求められる場所でも採用されています。芝公園など公共施設で使われている例もあります。個人宅では、家電ECサイト「ムラウチドットコム」の社長がTM9を丁寧に育てている様子を芝生植え付け 3ヶ月後 TM9(ティーエムナイン)の成長記録 – ムラウチドットコム社長・村内伸弘のブログで紹介しています。
生長が緩やかな分、傷んだ際の回復力は低めです。頻繁に人が走り回るスポーツ競技場や運動場には向きません。
芝刈りと肥料の負担をまとめて減らせる点が最大の強みです。景観性を求めつつも管理コストを抑えたい場所には有力な選択肢になります。
具体的な商品としては芝生 TM9 高麗芝 改良品種 2平米(販売元:株式会社ハヤシ)などが販売されています。





年1〜2回の草刈りで済む「クラピア」という選択
省力管理で緑化したいなら、芝生ではなく「クラピア」を検討する価値もあります。クラピアは在来種イワダレソウの改良品種で、2005年ごろに品種登録申請されたとされる比較的新しい園芸品種です。品種や申請時期の詳細は公式サイトで確認してください。主に業務用として使われてきましたが、ローコストで緑化できる点から一般家庭でも芝生に代わるグラウンドカバーとして注目されています。
生育サイクルはコウライシバとよく似ています。平均気温13度以上で芽吹き、6〜8月にかけて盛んに生長し、15度以下になると黄変、10度以下では地表が枯れて休眠期に入ります。開花期間は5月から10月と長く、景観面でもメリットがあります。
芝生の約10倍の速度で横方向に広がり、草丈が低いため年数回の草刈りで管理できます。地表を密に覆うので雑草の侵入を抑え、人が踏んでも傷みにくい丈夫さも備えています。
1平方メートルあたり4ポットを植えると、およそ2ヶ月で地表全体を覆うといわれています。横への生長が早いため、隣接する敷地への侵入が気になる場面もあるでしょう。
クラピアは種を付けないよう改良されているため、想定以上に広がってしまった場合は除草剤で枯らせます。植える前に敷地の境界や隣地への影響を確認しておくと安心です。



クラピアも通販で購入できます。【苗】スーパーイワダレソウ「クラピア」薄桃系統 K5 10ポットセット(販売元:日光種苗)は代表的な商品のひとつで、


TM9とクラピア、どちらを選ぶべきか
両者とも省力管理を目的に改良された植物ですが、生長の方向性や向いている場所は異なります。選ぶ前に、特徴を並べて比べてみましょう。
| 項目 | TM9(改良コウライシバ) | クラピア(イワダレソウ改良品種) |
|---|---|---|
| 植物の系統 | コウライシバの改良品種 | イワダレソウの改良品種 |
| 芝刈り・草刈りの頻度 | 従来品種の半分以下(年数回) | 年1〜2回程度 |
| 生長方向 | 上方向に緩やか | 横方向に速い |
| 踏圧への強さ | 標準的 | 強く、人が踏んでも傷みにくい |
| 向いている場所 | 工場緑地、公園、日本庭園、個人庭園 | 一般家庭の庭、法面、業務用緑地 |
| スポーツ用途への適性 | 回復力が低く不向き | 踏圧には強いが競技用途は想定外 |
見た目の芝生らしさを重視するならTM9、とにかく手入れの頻度を減らしたいならクラピアという選び方が現実的です。庭の用途や家族の使い方に合わせて検討してみてください。
まとめ:省力管理の芝生品種を選ぶポイント
芝生を植えたのに手入れが行き届かず、見苦しい状態になってしまうケースは少なくありません。TM9とクラピアはいずれも、芝刈りの回数を年数回程度まで減らせる省力管理型の緑化植物です。
景観を保ちつつ管理の手間を抑えたいならTM9、とことん省力性を重視するならクラピアが選択肢になります。用途や予算に合わせて、無理なく続けられる緑化方法を選んでみてください。
- TM9は芝刈り・肥料の負担を大きく減らせる改良コウライシバ
- クラピアは横方向へ速く広がり、年1〜2回の草刈りで済む
- スポーツ用途にはTM9・クラピアいずれも不向き
- 価格や品種の詳細は公式サイト・販売店で最新情報を確認する
よくある質問
- TM9とクラピアはどちらが芝刈りの手間が少ないですか。
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どちらも従来の高麗芝に比べて手間は大幅に減りますが、生長の方向が異なります。TM9は上への生長が緩やかで芝刈り回数が従来の半分以下、クラピアは横方向に広がるため年1〜2回の草刈りで済むとされています。庭の広さや用途に応じて選ぶとよいでしょう。
- TM9は個人の家庭でも植えられますか。
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個人宅でも利用できます。工場緑地や公園のような省力管理重視の場所だけでなく、日本庭園や個人庭園のように美観も求められる場所でも採用されています。
- クラピアは周囲に広がりすぎませんか。
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横方向への生長速度が速いため、隣接地への広がりが気になる場合があります。クラピアは種を付けないよう改良されているため、想定以上に広がった場合は除草剤で枯らせます。
- TM9やクラピアの価格はどのくらいですか。
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販売店や時期によって価格差があります。TM9は2024年時点で1平方メートルあたり1100円程度という情報もありますが、価格は変動するため購入前に公式サイトや販売店で確認するとよいでしょう。
- TM9はスポーツ施設の芝生にも使えますか。
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生長が緩やかで回復力が低いため、頻繁に人が走り回る運動場やスポーツ競技場には向きません。工場緑地や河川の法面、庭など、回復力をさほど求められない場所に適しています。









