斜面・法面に芝生を張るときは、切り芝がずれたり、雨で土が流れたりしないように「目串で固定する」「横方向に目地をずらして張る」のが基本です。広い斜面には、種の付いたシートを敷く方法もあります。斜面ならではの張り方のコツと、工法の選び方を解説します。
- 切り芝は、斜面の下から上へ、目地をずらしてレンガ積みのように張る
- 1枚ごとに目串(竹串)を刺して固定し、根付くまでのずれを防ぐ
- 急な斜面や広い法面は、種子付きのシートで土の流出を防ぎながら緑化する方法もある
- 根付くまでは、水やりで土が流れないよう弱い水で何回かに分けて与える
斜面・法面の芝張り工法の比較
| 工法 | 向いている斜面 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 切り芝+目串で固定 | 家庭の庭の斜面、ゆるやかな法面 | 張ってすぐ緑になる | 1枚ずつ固定する手間がかかる |
| 種子付きシート(不織布など) | 広い法面、土が流れやすい斜面 | シートが土の流出を防ぐ | 緑になるまで時間がかかる |
| 種まき | ゆるやかな斜面 | 費用が安い | 雨で種が流れやすい |
以下では、斜面の芝張りが難しい理由と、目串の使い方、シートを使った緑化を順に解説します。
斜面・法面での芝張りが難しい3つの理由



平らな庭の芝張りに比べ、斜面・法面の芝張りはひと手間もふた手間も多くかかります。平地と比べると、次の3つが斜面ならではの課題です。
| 課題 | 原因 | 主な対策 |
|---|---|---|
| 切り芝がまっすぐ並ばない | 斜面では目測が難しい | 水糸を横に張り、下の段から1列ずつ並べる |
| 目土・表土の流出 | 雨水が傾斜に沿って流れる | すき間を減らして張る。ネットや目串で押さえる |
| 切り芝のずれ | 根付く前に芝が斜面を滑る | 目串(竹串)を打ち込んで固定する |
また、斜面は足場が悪いため、重い芝刈り機を押すと転倒やけがのおそれがあります。軽くて取り回しのよい柄付きの芝生バリカンや、刈払機(草刈り機)を使うと作業しやすくなります。刈払機を使うときは、取扱説明書に従って保護メガネなどの保護具を着けましょう。



斜面に合った張り方の選び方
切り芝の張り方には4種類あり、斜面の条件や予算に合わせて使い分けます。斜面で比べると、次のようになります。
| 張り方 | 切り芝の量 | 全面が緑になるまで | 斜面での注意点 |
|---|---|---|---|
| ベタ張り | 多い(100%) | 張ってすぐ | すき間がなく、土が流れにくい。費用は最も高い |
| 目地張り | ベタ張りの約80% | 数か月 | 目地をずらしてレンガ積みにし、目地の目土が流れないよう固定する |
| 市松張り | ベタ張りの約50% | 半年ほど | 土が見える部分が多く、雨で流れやすい |
| 条張り(すじ張り) | ベタ張りの約50% | 半年ほど | 横方向の列なので並べやすいが、列の間の土が流れやすい |
費用を抑えるなら条張り(すじ張り)
斜面の芝張りでいちばん確実なのは、切り芝をすき間なく敷き詰める「ベタ張り」ですが、費用を抑えたい場合は「条張り(すじばり)」も選択肢です。
条張りとは、5〜10cm幅に切った芝を、5〜10cmのすき間をあけて1列ずつ横方向に並べていく方法です。切り芝をわざわざ細く切らずに、ふつうの大きさのまま一列に並べる方法もあります。使う切り芝の量は全面ベタ張りの半分ほどで済むため、費用を大きく抑えられます。
条張りは市松張りと同じく費用の面で有利ですが、全面が芝で覆われるまでの期間はベタ張りや目地張りより長くかかります。その間は列の間の土が雨で流れやすく、雑草も生えやすくなります。あまり手入れができない場所や、早く緑にしたい場合はベタ張りのほうが向いています。



目串(竹串)で切り芝を固定する方法



斜面に張った切り芝は、根付くまでの間に雨や風でずれてしまうことがあります。根がまだ張っていないうちは、切り芝は斜面に「乗っているだけ」の状態です。そこで、公共工事の法面の芝張り(張芝工)でも使われる「目串(めぐし)」で固定します。
斜面の下から上へ、目地をずらしたレンガ積みの形(または条張り)で切り芝を並べます。この段階では仮置きの状態です。
木槌や小さめのハンマーで、芝の上から目串を斜面に対して垂直に打ち込みます。切り芝1枚につき2〜3本を目安に刺すと安定します。
竹の目串は、時間がたつと土の中で分解されていくため、抜き取る必要はありません。芝が根付くころには、目串の役目は終わっています。
目串は太めのものを選ぶと、打ち込むときに折れにくく作業しやすくなります。頭が芝の表面から飛び出さないよう、しっかり打ち込みましょう。
種子付きシートで斜面を緑化する
ノシバや西洋芝を種から育てる方法は、切り芝より材料費を抑えられる一方、発芽するまで土がむき出しの状態が続きます。斜面ではとくに、雨が降るたびに種ごと土が流れてしまうおそれがあります。
そこで使えるのが、種や肥料をあらかじめ不織布やわらのシートに付けた「種子付きシート」です。法面の工事では「植生シート」などと呼ばれる資材で、斜面に広げて固定するだけで、種の流出を防ぎながら発芽させられます。家庭向けに、1㎡ほどの大きさで売られている製品もあります。
- 種と肥料が一体になっているため、種をまく作業がいらない
- シートが土や種の流出を防ぎ、乾燥もやわらげる
- 広い斜面・法面を短い時間で施工できる
家庭向けの製品には、西洋芝の種が付いたシートなどがあります(例:ぴたっと貼るだけ西洋芝)。芝の種類によって、まける時期(シートを敷ける時期)が決まっているので、製品の説明で確認してください。
種子付きシートは、緑になるまで時間がかかります。家庭の小さな斜面で早く緑にしたい場合は、切り芝と目串の組み合わせのほうが向いていることがあります。
法面(のり面)を芝生で保護・緑化する目的
法面(のり面)とは、道路・河川・宅地造成などで人工的に作られた斜面のことです。土を盛って作る「盛土法面」と、山などを切り崩して作る「切土法面」の2種類があります。河川の堤防や道路の切通しなど、身近な場所にもたくさんあります。
法面を芝生で覆うのは、見た目をよくするためだけでなく、表土が流れるのを防ぐためでもあります。河川の堤防など、公共の法面でも芝生による緑化が広く行われています。芝の根が土をつなぎとめることで、雨水による侵食を防ぐ効果が期待できます。
表土の流出を防ぐネット・ブロックとの組み合わせ
角度の急な法面では、植物が根付く前に表土が雨で流れ出してしまう問題が起きやすくなります。芝が定着するまでの間、表土を保護する資材を組み合わせるのが一般的です。
- 網目状のネット
-
斜面全体に張って固定し、土砂の流出を防ぎながら、植物の根が絡みやすい状態を作ります。
- ブロック・連節ブロック
-
大規模な法面や護岸の工事で使われる構造物です。ブロックのすき間に芝を植えることで、構造の強さと緑化を両立させます。
家庭の急な斜面では、市販のジュートネット(麻製のネット)を切り芝の上からかぶせて目串で固定する方法が手軽です。ジュートは天然素材なので、時間がたつと分解されます。
現地で撮影した写真









よくある質問
- 斜面の芝張りに目串は必須ですか?
-
ゆるやかな斜面なら目串なしでも根付くことがありますが、傾斜がきつい場所や、雨の多い時期に張る場合は、目串で固定することをおすすめします。切り芝1枚につき2〜3本の目串を打ち込むだけで、根付くまでのずれを大きく減らせます。
- 条張りと目地張りはどちらが斜面に向いていますか?
-
どちらも斜面に使えます。目地張りは目地をずらしたレンガ積みの形に並べるため、すき間が少なく、全面が早く緑になります。条張りは切り芝の量が半分ほどで済み、横方向に列を作るだけなので並べやすい反面、列の間の土が流れやすく、全面が覆われるまで時間がかかります。どちらの場合も、すき間に目土を入れて目串で固定しましょう。
- 目串(竹串)は施工後に抜き取る必要がありますか?
-
抜き取る必要はありません。竹の目串は、時間がたつと土の中で分解されていきます。芝が十分に根付くころには、目串の役目は終わっています。
- 斜面での芝刈りはどんな道具が向いていますか?
-
重い自走式・手押し式の芝刈り機は、斜面では転倒やけがのおそれがあります。柄付きの芝生バリカンや、刈払機(草刈り機)が使いやすい道具です。刈払機を使うときは、取扱説明書に従って保護メガネなどの保護具を着け、足場を確かめながら作業してください。
- 天井裏や床下で物音がする・小さなフンが落ちている:寒くなると、ネズミなどが暖かい屋根裏や床下に入りこむことがあります。→ 足跡・フンで動物を見分ける方法/ネズミ対策/ハクビシン対策
- 芝生や花壇に猫のフンをされる:フンや尿は、芝生が丸く枯れる原因にもなります。→ 猫よけ対策
- 庭にフンをされる・ゴミを荒らされる:ハクビシンやアライグマの可能性があります。→ アライグマ対策





