見栄えが悪い苔(コケ)は除去したい雑草の一つ。芝生と混在したコケは根絶しづらく皆さん悩んでいるようです。芝生や庭に生えるコケ対策として代表的な除草剤、酢酸、熱湯を取り上げます。根本的には芝生が好む水はけや通気性が悪い土壌を改良する必要があります。
コケ対策の除草剤・酢酸・熱湯それぞれの違い
まずコケは草とは構造が異なるのでコケ専用の除草剤を使う必要があります。ラウンドアップなどの通常の除草剤で雑草を枯らした後コケが大量発生してしまうのは除草剤が効かないからです。
次に酢酸。木酢液(もくさくえき)を使うこともありますが酢でコケを枯らすのは伝統的に行われてきた方法。家庭でも手に入りやすいのがメリットですが広い面積ではコスト的には除草剤と変わらないでしょう。家庭で手に入りやすい所では「シバキープ」シリーズを出しているレインボー薬品の「コケレス」の成分が酢酸でゼニゴケを含むコケ類全般に効きます。
最後にコンクリートなど芝生への影響がない場所では熱湯という手段もあります。バーナーで焼くのと同じで効果は確かですが持ち運びやこぼした場合の火傷のリスクもありおすすめしません。
▼冬、枯れ葉色の芝の中で目立つ苔(おそらくギンゴケ)
庭・芝生の代表的なコケ「ゼニゴケ」
ゼニゴケは世界中に分布するコケ植物で人家周辺でも普通に見られる。繁殖力が旺盛で地表に張り付く形態から駆除が困難。
葉状体と呼ばれる地上に張り付いた葉で光合成を行い、杯状体と呼ばれる無性生殖の器官によって増える。ゼニゴケの写真右下に傘状の物体が3つ写っているがこれは雄株で有性生殖も行う。
コケ類に効く除草剤「キレダー水和剤」「ダイヤメート水和剤」
ゼニゴケに特によく効くのが「キレダー水和剤(ACN水和剤)」。芝生に使えてコケ類の光合成を阻害するタイプの除草剤です。使用方法は希釈してじょうろ又は噴霧器で散布します。キレダー水和剤の成分ACN水和剤は強力な酸化力と酸化的リン酸化の解除および光合成阻害によってコケを枯らします。
「ダイヤメート水和剤」は西洋芝(ベントグラス)にも使えるコケ類に効く除草剤。秋冬のコケ類生育時期に使用する。
「オキシンドー水和剤」は殺菌剤系の除草剤。
庭・芝生に生えるワカメのような「イシクラゲ」
「イシクラゲ」はネンジュモの仲間で陸生の藻。裸地やコンクリートなどに生え、乾くとワカメ、水を吸うとぶよぶよした藍緑色のゼリー状の見た目。「黒い苔」と形容されることもある。雨後に大量発生し乾くとパリパリになり手でも砕ける。胞子で増えるので完全除去は困難。
食用になり好奇心を呼ぶのかTV番組「ナイトスクープ」やWEBメディアで取り上げられることもある。
例:公園とかグラウンドに落ちてるワカメみたいなアレを食べる – デイリーポータルZ:@nifty
イシクラゲが順調に増えてる pic.twitter.com/IiEkJzDEBh
— メキ vs FEif (@Ph_karka) 2017年9月6日
地面に生えている緑色の雑草と思っていたもの。見た目がよくないけど「イシクラゲ」という食べられる藻らしい pic.twitter.com/q5z5r0xj4x
— 夕羽利理 (@lly_srh) 2017年9月22日
「イシクラゲ」に効く除草剤
イシクラゲは藻ですから芝生の雑草用の除草剤やコケ用の除草剤が効きません。パネフリ工業の「コケそうじ」シリーズは「グレープフルーツ種子抽出物(GSE)」がイシクラゲを良く枯らします。「グレープフルーツ種子抽出物(GSE)」は天然由来の防腐剤として食品添加物に使われる物質で防腐、殺菌、収斂効果があります。使用時の注意としてイシクラゲが乾燥している時は休眠状態で耐性が強いため湿っている状態で散布します。
なお「コケそうじ」は非農耕地専用で「芝生には登録がございませんのでご使用しないでください。」とされていますのでご注意ください。イシクラゲには効くものの「農薬」としては国に登録してないためと思われます。
踏み固められたり水はけ、通気性が悪い土壌が苔発生の原因
花見で踏み固められたり、粘土質であったりで水はけが悪い土壌に光が当たると苔が発生してしまいます。根本的には土壌を改良して苔が生えにくい環境を作るのが大事です。
▼おそらくギンゴケ。