芝生殺虫剤の定番オルトラン・スミチオン・フルスイング3種

芝生の害虫駆除の定番はオルトラン、スミチオン、フルスイング。芝生の三大害虫ヨトウ、ツトガ、コガネムシ全てに効くのがスミチオン、ヨトウとツトガに効くのがオルトラン、ゴルフ場など業務用のフルスイング。オルトランは家庭園芸用も出回っていて知名度があります。殺虫剤オルトラン・スミチオン・フルスイングの特徴と駆除できる害虫について。粒剤・水和剤・液剤の違い。

殺虫剤オルトランが芝生の害虫に効く!

オルトランは住友化学園芸から家庭園芸用シリーズが出ている殺虫剤。有効成分はアセフェートでアブラムシ等の吸汁性害虫、ヨトウムシ、アオムシ等の食害性昆虫に効果がある浸透移行性殺虫剤。「浸透移行性」の殺虫剤は葉や根から吸収されて植物体内を移動し、吸汁・食害した害虫を退治する仕組みです。効果が長期間持続する特徴があります。

オルトランの適用作物・適用害虫

オルトランは菊やどの観葉植物、きゅうりやトマトなど家庭菜園向けにも使われます。「GFオルトランC」「GFオルトラン液剤」「家庭園芸用GFオルトラン水和剤」「家庭園芸用GFオルトラン粒剤」の製品に分かれます。「家庭園芸用GFオルトラン水和剤」「家庭園芸用GFオルトラン粒剤」が芝生に使える殺虫剤です。

  • GFオルトランC:殺虫剤のオルトランとスミチオン、うどんこ病・黒星病に効く殺菌剤のサプロールを配合した即効性あるスプレー式殺虫剤。芝では農薬登録されていません。
  • GFオルトラン液剤:有効成分はアセフェートですが芝では農薬登録されていません。
  • オルトランDX粒剤:有効成分はアセフェート・クロチアニジンでばら・ベゴニアでコガネムシ類幼虫に効くとされていますが芝では農薬登録されていません。
  • 家庭園芸用GFオルトラン水和剤:芝の適用害虫スジキリヨトウ、シバツトガ、タマナヤガ、ケラ、シバオサゾウムシ成虫、アカフツヅリガで農薬登録されています。芝に使えます。
  • 家庭園芸用GFオルトラン粒剤:芝の適用害虫スジキリヨトウ、シバツトガ、タマナヤガで農薬登録されています。芝に使えます。

※オルトランは臭いがきついという口コミあり。
※オルトランは芝生三大害虫のうちコガネムシ類幼虫には効かない点に注意。コガネムシも殺すにはスミチオンを使ってください。
※似た名前のオルチオン乳剤はオルトランとスミチオンを混同した殺虫剤で芝で農薬登録されていません。

きく・宿根スターチスの適用害虫としてコガネムシ類幼虫が含まれていてコガネムシ類幼虫に効く口コミを見かけますが「芝の農薬としては」コガネムシ類幼虫が登録されていません。
「スミフェート」は有効成分アセフェートとオルトランと同じ成分のジェネリック農薬。芝で農薬登録されていてシバキープシリーズにもラインナップあり。

オルトランの使い方・効果

「家庭園芸用GFオルトラン水和剤」の場合、水でうすめて均一に散布します。「家庭園芸用GFオルトラン粒剤」の場合、そのまま均一に散布します。粒剤の使用上の注意点として乾燥が挙げられているのは根からの吸収が落ちること、また固体のため散水で地面に行き渡らせる目的が考えられます。

  • 土壌が極度に乾燥している時は使用しないでください(効果)。
  • 芝のスジキリヨトウ、シバツトガ及びタマナヤガの防除に使用する場合、散布後1㎡当り0.5~1.0Lの散水を行ってください(効果)。

殺虫剤スミチオンを芝生の害虫に効く!

スミチオンは草花・庭木・野菜や果樹などを加害する広範囲の害虫に効果のある代表的な園芸用殺虫剤。有効成分は有機リン・有機硫黄系のMEP(フェニトロチオン)。住友化学園芸からは「家庭園芸用スミチオン乳剤」という商品名で出ています。

スミチオンの適用作物・適用害虫

オルトランと並び代表的な園芸用殺虫剤と言われるだけあって列挙しきれないほどの適用作物名・適用害虫を持ちます。家庭園芸用スミチオン乳剤|住友化学園芸参照。

芝ではコガネムシ類幼虫、シバツトガ、スジキリヨトウ、シバオサゾウムシと芝の三大害虫全てに農薬登録されています。

スミチオンの使い方・効果

スミチオン乳剤は水で薄めて散布します。注意事項としてコガネムシ類幼虫向けには散布量を増やす、また土壌に染み込むよう水を散布する点が挙げられます。

  • 芝のコガネムシ類幼虫には、散布液が土壌中に十分しみ込むようジョロ等で1㎡当り3リットル散布してください。

殺虫剤フルスイングを芝生の害虫に効く!

フルスイングは住友グリーンが「ゴルフ場殺虫剤 売上No1!」と謳う殺虫剤。有効成分はクロチアニジン。「人畜及び魚介類に影響が少なく」とされていますがフルスイングは「ネオニコ系農薬」です。ネオニコ系農薬はミツバチの大量死との関連が疑われEUでは予防的措置として使用が制限されています。EUのネオニコチノイド剤規制に対する住友化学の見解では「ネオニコチノイド剤がミツバチの大量死、大量失踪の主たる原因ではない」という立場)。

幅広いスペクトラム
甲虫類、鱗翅目、半翅目、直翅目、アザミウマ目など幅広い害虫に殺虫活性を示すクロチアニジンを有効成分とした殺虫剤です。チビサクラコガネ、ヒラタアオコガネ、セマダラコガネ、ウスチャコガネ、アシナガコガネ、ヒメコガネ、 シバオサゾウムシ、シバツトガ、スジキリヨトウ。

優れた効果と残効性
コガネムシでは、成虫の発生期・産卵期・幼虫期のどの時期に散布しても優れた残効性を発揮します。

安全・省力・経済的
コガネムシ類とシバツトガとの「同時防除」と「長い残効性」により、経済的防除が可能です。 また、人畜及び魚介類に影響が少なく、、西洋芝ともに薬害の心配が少ない殺虫剤です。

フルスイングの適用作物・適用害虫

上述の通りコガネムシ、シバツトガ、スジキリヨトウの芝生の三大害虫に効きます。農薬としては芝でコガネムシ類幼虫、4月とが、スジキリヨトウ、シバオサゾウムシ、タマナヤガ幼虫で登録されています。

フルスイングの使い方・効果

希釈してジョウロ等で散布します。特にコガネムシ類で効果ありという口コミを見かけます。散布後数日で幼虫の死骸を見かけるようになります。前述したようにミツバチの大量死との関連が疑われることから使用上の注意でも「ミツバチを放飼している地域では使用を避けてください。」「マルハナバチに影響を及ぼす恐れがあるので注意してください。」となっています

芝生の三大害虫:ヨトウ、ツトガ、コガネムシ

芝の害虫スジキリヨトウは蛾の一種。幼虫のイモムシは日中は土中に潜み夜間に出てきて葉や茎を食害します。

芝の害虫シバツトガは蛾の一種。俗称「ツトガ」。ツトガの幼虫のイモムシは日中は地表に苞(つと)と呼ばれる芝生や砂粒で作った巣に潜み夜間出てきて葉や茎を食害します。

芝の害虫コガネムシ類はマメコガネやスジコガネなど。西洋芝の株が部分的に枯れます。日本芝は面で生育不良になります。コガネムシの幼虫はカブトムシの幼虫を小さくしたようなイモムシで地中の茎や根を食害します。成虫は照明に寄ってきます。

芝生の害虫:スジキリヨトウ

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2017/11/15
芝生の害虫:スジキリヨトウ

粒剤・水和剤・液剤の違いとは?

粒剤とは粉末の集合体が粒状になっているものでそのまま散布します。水和剤と液剤は水で希釈して散布します。有効成分は同じで流通形態が異なるだけですが散布の際の取り回しに差があります。また粒剤の場合すぐ溶けないので水を散布して浸透しやすくしたりします。

まとめ

芝生の害虫退治に代表的なオルトラン、スミチオンを紹介しました。この2つを使えば芝生の三大害虫を退治できます。ホームセンターなどで手に入りやすいオルトランと三大害虫全てに効くスミチオンの違いです。確実にコガネムシを退治したいならスミチオンを使いましょう。フルスイングの方が高いのでスミチオンでコガネムシ類への効きが悪い場合殺虫剤の選択肢になります。

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