一晩で家庭菜園を掘り返される、芝生や庭がでこぼこに荒らされる――イノシシの被害は、住宅地の近くでも珍しくなくなりました。イノシシは力が強く、学習能力も高いため、思いつきの対策ではすぐに突破されてしまいます。この記事では、農林水産省などの公開情報をもとに、家庭の庭や畑でできるイノシシ対策を「寄せない・入れない・慣れさせない」の順に整理し、忌避剤の上手な使い方もあわせて解説します。
- 対策の基本は「エサをなくす」「柵で入れない」「見通しをよくする」の組み合わせ
- 取り残しの野菜や落ちた果実、生ゴミはイノシシを呼び寄せるエサになる
- 畑には電気柵やワイヤーメッシュ柵が有効。忌避剤は柵の弱い場所や通り道の補助に使う
- イノシシの捕獲には狩猟免許や自治体の許可が必要。困ったらまず市区町村に相談
イノシシが庭や畑に来る理由
野生鳥獣による農作物の被害額は2020年度で約161億円にのぼり、そのうちシカとイノシシによる被害が約63%を占めています(農林水産省「いま各地でおきている鳥獣被害を考える」)。イノシシが人の生活圏に出てくる主な理由は、次の3つです。
| 理由 | 庭や畑で起きていること |
|---|---|
| エサがある | 収穫しないまま残した野菜や果実、落ちた柿や栗、生ゴミ、芝生や土の中のミミズ・虫 |
| 隠れ場所がある | 家や畑のまわりの藪、手入れされていない空き地や耕作放棄地 |
| 入りやすい | 柵がない、柵の下にすき間がある、道路や水路から出入りしやすい |
農林水産省も、収穫しないままの果実や収穫後の残りなど、何気なく放置している作物が野生鳥獣のエサになっていると注意を呼びかけています。芝生を掘り返されるのは、土の中のミミズや虫を探しているためです。
イノシシ対策の方法を比較|自分でできること・自治体に相談すること
| 方法 | ねらい | 手間・費用の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| エサの除去(取り残し・落果・生ゴミの片付け) | 来る理由をなくす | 費用はほぼ不要 | まず全員がやるべき基本 |
| 藪の刈り払い | 隠れ場所をなくし、見通しをよくする | 手間はかかるが効果が長続き | 家や畑のまわりに藪がある |
| 電気柵 | 触れると電気ショックで学習させ、侵入を防ぐ | 購入費がかかる。草刈りなどの管理が必要 | 畑・家庭菜園を守りたい |
| ワイヤーメッシュ柵 | 物理的に入れない | 資材費と設置の手間がかかる | 長く続けて使える柵がほしい |
| 吊るす・置くタイプの忌避剤 | においで近寄りにくくする | 手軽。効果の持続は製品表示を確認 | 柵の弱い場所、通り道、柵を張れない場所の補助 |
| 自治体に相談 | 捕獲の手続き、柵の補助制度の案内(自治体による) | 相談は無料 | 被害が続く、捕獲が必要 |
電気柵を使うときのポイント
イノシシの体は硬い毛に覆われていて電気を通しにくく、鼻先などに触れたときに効果が出ます。電線はイノシシの鼻の高さに合わせて張るのが基本で、地面から20cmと40cm程度の2段に張る方法が一般的です。電線の下を雑草が覆うと電気が逃げて効果が落ちるため、定期的な草刈りが欠かせません。通電していない時間帯をつくると、その間に学習されて突破されやすくなります。
忌避剤は「補助」として使う
イノシシは学習能力が高く、においや音だけの対策には慣れてしまうことがあります。忌避剤は単独で頼るのではなく、柵の出入り口や角など弱くなりやすい場所、柵を張れない通り道などに、柵やエサの除去と組み合わせて使うのが効果的です。
イノシシ対策で知っておきたい法律
イノシシは鳥獣保護管理法の「狩猟鳥獣」に指定されています(環境省「狩猟鳥獣」)。ただし、捕獲できるのは狩猟免許を持つ人が猟期に行う場合や、自治体の許可を得た場合に限られます。わなを自分で仕掛けることはできないので、被害が続く場合は市区町村の担当課に相談してください。自治体によっては、電気柵などの購入費を補助する制度もあります。
芝生や庭を荒らされたとき
掘り返された芝生は、めくれた芝を元の位置に戻して上から押さえ、すき間に目土を入れて水をたっぷり与えると回復しやすくなります。土の中のミミズや虫を目当てに掘られることが多いため、何度も同じ場所を掘られる場合は、その周囲に柵や忌避剤を置いて通り道からずらします。



イノシシに出会ってしまったら
- 大声を出したり、石を投げたりして刺激しない
- 背中を見せて走って逃げず、イノシシから目を離さずにゆっくり距離をとる
- 子どものイノシシ(うり坊)の近くには親がいることが多いので、近づかない
- 住宅地で見かけた場合は、市区町村や警察に連絡する
よくある質問
- イノシシよけの忌避剤だけで被害は防げますか?
-
忌避剤だけで完全に防ぐのは難しいと考えてください。エサの除去や柵と組み合わせ、柵の弱い場所や通り道の補助として使うと効果が出やすくなります。
- イノシシが出やすい時期はありますか?
-
一年を通して被害は起きますが、作物が実る夏から秋は、畑や果樹が狙われやすくなります。収穫期の前に柵や忌避剤の準備を済ませておくと安心です。
- 自分でわなを仕掛けてもいいですか?
-
できません。イノシシの捕獲には狩猟免許や自治体の許可が必要です。市区町村に相談すると、地域の捕獲の担い手につないでもらえることがあります。
芝生の手入れ.com編集部が、農林水産省・環境省などの公開情報と市販製品の表示を確認して作成しています。忌避剤以外の方法も含めて比較しました。
最終確認日:2026年9月22日
この記事のイノシシ対策に使える忌避剤
柵の出入り口や角、柵を張れない通り道には、吊るすだけで設置できるタイプが使いやすいです。エサの除去や柵と組み合わせて、弱くなりやすい場所を補強しましょう。
対策する広さで選ぶ:効き目が切れる前に交換できるよう、範囲が広い場合や交換用もまとめて用意したい場合はセットがおすすめです。











